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中川真のふくしま復興コラム 「足元」にご用心
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110806/dst11080607010000-n1.htm
2011.8.6 07:00 産経新聞
東日本大震災、そして東京電力の原発事故から5カ月。見えない放射線に向き合う福島の「今」を紹介するコラムを始めることになりました。新聞やテレビで大きなニュースになりにくい、復興への地道な取り組みや、普段の「暮らし」の一端を紹介できればと思います。掲載は随時。ときには三陸など県外の被災地にも足を向けるつもりです。よろしくお願いします。
マンションのエントランスに掲げられた「放射線量測定値」の表=1日(中川真撮影)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/photos/110806/dst11080607010000-p1.htm
■灯台もと暗し
「これは鋭いっ!」。2カ月くらい前だっただろうか。赴任中の住まいとして借りている福島市内のマンションのエントランスで、思わず声を上げた。
「当マンション放射線測定値」という一覧表が、ホワイトボードに書き込まれたのだ。熱血漢の管理人氏が、今も根気強く計測値の推移を更新してくれている。
当時、県や市役所などには、「空間線量率を計るガイガーカウンターを貸して」「どこで売っているの」といった要望や問い合わせが殺到していた。個別のマンションとしては、かなり進んだ取り組みといえよう。
管理人氏に聞くと、機器は最初、市から借りていたが、その後は管理組合で購入し、こまめに計っているという。国や県のデータと比べて何より優れているのは、玄関、廊下、バルコニー、駐輪場、中庭の砂場など、測定地点が10カ所以上ときめ細かいことだ。
多数の住民が借りている民間駐車場や隣接する運動公園の測定値も示しており、「ご近所の放射線量」をしっかり把握できるスグレモノなのである。
もうひとつ、国が基準にしている「地上1メートル」よりも、「地上50センチ」や「地表」で高い値が計測されている、という実態も一目で分かる。「空気中を飛んでいた放射性物質のダストが地表に落ちた」。当地では今や常識だが、かなり長い間、地域別の数値の高低だけを比較して、一喜一憂する県民が多かったのだ。
マンション内で放射線率が最も高かったのは、専用庭の芝生で毎時3・89マイクロシーベルト(6月7日)。直近では1・09マイクロシーベルト(7月29日)に下がっている。敷地外では、隣接する河川敷のグラウンドが4・14マイクロシーベルト(6月7日)から2・39マイクロシーベルト(7月29日)で最も高かった。
「測定値が下がってよかったですね。暑いのにお疲れさまでした」。感謝を込めて声をかけると、管理人氏は「実は、記入をはばかられた場所もあるんですよね」とこっそり教えてくれた。そこは、マンションの裏手の側溝で、毎時10マイクロシーベルトを軽く超えたというのだ。
「ホワイトボードに書かないけど、子供さんには『あっちに行っちゃいけないよ』と声をかけてます」という。東電福島第1原発内の「10シーベルト」とケタ違いとはいえ、身近にもホットスポットは確かに存在しているようだ。ちなみに、グラウンドの地表で記録した「2・39」は、全村避難した飯舘村役場前の地上1メートルの測定値にほぼ匹敵する水準である。
■福島は「ナマ足」厳禁?
つまり、何よりも用心すべきなのは、足元や草むらなのだ。そんなことを思いつつ、街行く人たちをウオッチすると、残念?ながらミニスカートやホットパンツで素足を露出した女性はあまり多くない。むしろ、ジーンズなどが目につく。女子高生もソックスをひざ下まで上げて、しっかりガードしている。
福島市は盆地で蒸し暑く、「サウナ都市」(地元出身者)とも言われるが、放射線の影響を考えれば、足元を守るのは極めて賢明な判断だろう。Tシャツ、短パンでマスク姿という若い男性も見かけたが、思わず首をかしげてしまった。
■「南相馬ルール」に国警戒
スカートの長さはともかく、地上から「1メートル」と「50センチ」のどちらの空間線量率を重視するかは、今後の大きなポイントになりそうだ。
国は8月3日、南相馬市の72世帯を「ホットスポット」として、特定避難勧奨地点に追加指定した。ところが、7月に690世帯の玄関先と庭先で行った線量測定では、国が今回、避難勧奨の基準にした「毎時3・1マイクロシーベルト以上」(地上から1メートル)に達した世帯はゼロだった。
ちなみに、国は3月の原発事故から1年間に浴びる放射線量の被曝限度を「20ミリシーベルト」と考えている。「毎時3・1マイクロシーベルト」というのは、これまでの積算に加えて、これから残りの約7カ月間、屋外で8時間生活した場合に、来年3月11日の段階で「20ミリシーベルト」に達すると予想されるレベルなのだという。
「1メートル派」である国の基準では、指定ゼロとなるのに、72世帯が指定されたのは、「50センチ派」の南相馬市の意向が受け入れられたからだ。特定避難勧奨地点は、詳細調査の結果をもとに、国、県、市町村が相談して決めるため、地元の考え方は判断に大きな影響を与えるのだ。
南相馬市の桜井勝延市長は、国などとの水面下の協議で、「妊産婦、子供のいる世帯は地上50センチで毎時2マイクロシーベルトにしたい」と強く主張した。
同市では、前回(7月21日、59世帯)の指定でも、この市基準を主張し、適用されている。
国の発表風に書けば、「個別の世帯の状況を総合的に勘案して決めた」「3・1マイクロシーベルト近傍の世帯も加えた」ということになるが、実際は市の明確な基準が決定要因となった。
特定避難勧奨地点は今後、福島市でも検討が始まる。最初は伊達市霊山(りょうぜん)町に接する山あいの大波地区。すでに詳細調査が済んでいるが、「地上50センチ」で2マイクロシーベルト台の世帯は相当数ある。
国はこの後、県庁から約1キロ、阿武隈川の対岸にある福島市渡利地区でも、詳細調査を行う計画だ。こちらは住宅密集地で子供もかなりいる。
自宅マンション(渡利地区から約1キロ)の例で分かるように、「南相馬ルール」を照らし合わせると、数百世帯が避難勧告対象になる可能性も想定しなければならない。
「南相馬の基準が一般化したら大変なことになる」。政府関係者は戦々恐々としながら、福島市や住民の動向を注視している。
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