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主食が危ない! 「セシウム米が食卓に上る日」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/14455
2011年08月06日(土) フライデー :現代ビジネス
「肉も魚も汚染された、米だけが大丈夫な道理はない」と、農家は嘆く。
いったいどうしたらよいのだ、この現実を---。
見渡す限り青々とした田園風景の中で、ササニシキやコシヒカリなどブランド米の産地として知られる宮城県栗原市の米農家、佐藤護さん(77)が言う。
「この時期ににわか雨がどっと降ると、一気に穂が出てくる。あと1ヵ月もすれば収穫が始まります」
少し早い実りの秋を控えているのに、佐藤さんの表情は晴れない。栗原市や同県登米市の稲わらから暫定基準値の2.7倍超のセシウムが検出され、畜産農家だけでなく、米農家までをも混乱の渦に巻き込んでいるからだ。
「この地域では汚染米の心配をしている農家は多い。特に稲わらの収穫が遅れ、春以降も田んぼに放置していた農家は戦々恐々としています」
登米市で畜産と稲作を営む伊藤貞幸さん(63)も、不安を隠せない。
「うちは60頭の黒毛和牛を飼っていますが、以前なら最上級のA5クラスの肉は1kg当たり2000円で売れたのに、今は1200円。A3クラスは1kg1300円から、200円にまで値が落ちた。今は出荷を自粛していますが、肉だけならまだしも、米が気になる。(原発事故以降に)野外に放置していた稲わらは牛の餌として使ったり、肥料のために田んぼに鋤き込んでいるので、『稲が(セシウムを)吸い上げてしまうのではないか』と不安に感じている農家が多いんです」
登米市の別の稲作農家は、「肉も魚も汚染されているのに、米だけが大丈夫なはずがない」とあきらめ顔だ。
セシウムに汚染された疑いのある2900頭超の汚染牛が全国46都道府県に流通して国民を戦かせている。汚染牛はセシウムに冒された稲わらを食べて内部被曝した可能性が極めて高く、そうした稲わらはこれまでに福島県ばかりでなく宮城県、岩手県でも確認されている。
となれば、恐るべき放射線の「負の循環」は肉牛だけに留まらないのではないか。これから汚染は日本人の主食に及ぶ可能性が高い―そう警告を発するのは、日本環境学会前会長で、大阪市立大学大学院の畑明郎特任教授(環境学)だ。
「原発事故が起きた3月中旬以降に田んぼに置かれていた稲わらが汚染されていたのだから、その田んぼ自体が汚染されている可能性は拭えない。米は野菜や果物などと比べてセシウムの吸収率が高く、その移行係数は0.1です」
移行係数0.1とは、土壌1kg中に含まれるセシウムの10%が米(玄米)に移行する、決して低くない数値だ。平成22年産の水稲の収穫量(主食用)は3位が秋田県(44万300t)、4位が福島県(43万9100t)、6位が宮城県(39万1300t)、7位が山形県(38万9200t)であり、福島第一原発から半径200kmの円内に掛かるこれらの県が日本人の主食を支えているといっても過言ではない。
北海道に次ぐ全国2位の米どころで、「魚沼産コシヒカリ」で知られる新潟県(56万9100t)も多くが200km圏内だ。気になる作付け状況を訊ねると、「風評被害の報告もなく進んでいる。水田に関しては福島と同様、国のマニュアルに沿って、作付け前に1回(土壌)、玄米になってから1回の二重チェックを行う」(新潟県農産園芸課)と話すが、この国の検査が万全でないことは汚染牛の例を持ち出すまでもない。
■玄米食がより危険
立命館大学名誉教授で放射線防護学が専門の安斎育郎氏が言う。
「これから米の汚染は必ず出てくるでしょう。なぜもっと早く土壌だけでなく、水田の検査をしなかったのか。セシウムは水溶性なので、土壌を調べるのと、水を引いた田を調べるのではまったく違う調査結果が出る可能性があります。また汚染は関東、北陸、東海地方にまで拡大しているので、広い範囲でチェックを行うことが必要です。稲が吸収したセシウムは主に玄米に留まり、籾殻や糠などに高い数値が出ます。これを精米し、白米にするとグンと落ちますが、低線量の内部被曝に弱い児童の給食などに用いられると、白血病やがんなど深刻な疾患のリスクを高めます」
政府は1kg当たりの土壌中の放射線量が5000ベクレルを超える場合には作付けを禁止し、収穫された玄米の放射線量が1kg当たり500ベクレルを超える場合には出荷停止の措置をとるとしているが、徹底できるのかは甚だ疑わしいし、そもそも国の基準値は低線量の内部被曝による健康リスクを度外視した数値なのだ。
■「もし来年もダメだったら」
全面的に作付けを禁じられた福島第一から30km圏内にある農家たちの姿には胸が締め付けられる。福島県いわき市の大久地区も稲作が盛んだったが、今では長閑な田園風景には似つかわしくない「緊急時避難準備区域」という名が付けられている。約80年間も稲作に人生を捧げてきた若松山司さん(94)は、腰を屈めて田んぼの雑草を刈っていた。
「今年はあきらめて、来年頑張るしかねえ。でも、来年できた米が汚染米だったらと思うと・・・。冬は原発からこの地方に向かって北風が吹いてくるから、一日も早く(汚染を)止めてほしいよ」
周囲には膝上ほどまで育った緑の稲穂が風に揺れる水田と、雑草が生い茂り荒れ果てた田んぼが混在している。
「自分で食う分だけ稲を作っている農家もいるが、放射能で疎開したり、稲作をあきらめたりした農家の田んぼは、ほったらかしだ。小さい子供のいる家も疎開して、もう帰って来ないな」
江戸時代から10代続くという田んぼが自分の代で終わってしまうのではないかと、若松さんは不安を感じている。
原発から31.5km離れたいわき市四倉町の農家、青木一夫さん(68)は作付けはできたが、「見通しは暗い」と言う。
「この辺の土壌のセシウムは4000ベクレルぐらい(1kg当たり)。汚染米じゃないとしても風評被害で売れないだろう。30km圏内は見舞金が出るが、ここら辺はもらえないし、売れないと分かっていても米を作らないことには(いざという時)補償がもらえないから作る。やる瀬ない」
収穫までに八十八回手を掛けるという米は、農家の丹精込めた作業を経て私たちの食卓に上る。ふっくらした新米を味わう季節はすぐそこに迫っているが、その湯気の中に放射線が含まれていたとしても、私たちに気付く術はまったくない。
「フライデー」2011年8月12日号より
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