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『ホットスポット』となった「柏と那須の現実」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/14449
2011年08月05日(金) フライデー :現代ビジネス
軒並み高い放射線量を記録する関東の二つのエリア。本誌は小・中学校をはじめ126ヵ所の放射線量を独自調査した。市民の怒りに、国はどう応えるのか
「再三報道されていますから、この辺りの放射線の数値が高いことは柏市民の皆さんが知っていますよ。テレビのコメンテーターの話を聞いても、安全だという人もいれば、そうでないという人もいます。何を信じれば良いのかまったく分かりません。私たちは人体実験≠ノ使われているような気さえしています」
7月23日、千葉県柏市で犬を散歩させていた40代の女性は、本誌の記者に対し、不安な胸の内を明かした。
東京電力・福島第一原発の事故により局所的に放射線量が高くなる地域は『ホットスポット』と呼称されている。本誌はほぼ1ヵ月にわたり、独自の放射線量調査を続けてきたが、千葉県柏市を含む東葛地域と栃木県北部にある那須地域が極端に高い放射線量を示した。
これまで本誌では、測定した放射線量を列挙することで警告を発してきた。だが、その異常とも言える数値を自治体が把握し、何らかの対策を講じない限り、事態に進展はない。
そこで今回は、千葉県柏市、栃木県那須塩原市・那須町の3市町について、自治体内の各所に設置されている小・中学校と、夏を迎え人出が増えているプール施設の放射線量を計測した上で、自治体及び政府に放射能汚染に対する対策があるのかを聞いた。計測方法はこれまでの例にならい、地表1mの放射線量を5回連続で測定、誤差を補正するためにその平均値を求めている。また、本誌では以前より『毎時0.16マイクロシーベルト』という基準値を設け、それ以上の数値を危険としてきた。しかし、ホットスポットとなった両地域では、今回の調査でも軒並みこの数値を超える結果となった。その結果は4ページの表の通りだ。
■那須町が抱えるジレンマ
まずは那須方面に向かい、那須塩原市の南部にある旧西那須野町地区で測定を開始。西小学校と槻沢(つきのきざわ)小学校で毎時0.52マイクロシーベルトを記録するなど、やはり高い数値であった。
北上しながら計測を続ける中で、那須町の那須小学校に子供を通わせる男性に話を聞いた。
「数値が公表されていますから、那須の放射線量が高いことは知っています。しかし、子供の保護者としては数値を公表するだけでなく、それが子供の身体にどんな影響を及ぼすのかを知りたいですね。子供の通っている那須小は校庭の土を入れ替えたんですが、それまでは普通に遊ばせておいて、急に危険だから遊ばせるなと言われても国や町に対して不信感が増すばかりです」
人口3万人弱の町は不安に包まれている。那須町住民生活課の高内章環境整備係長に話を聞いた。
---那須町は放射線量が高いようだが。
「(『週刊現代』を取り出して)このように雑誌に載ると、読者はそれが町全体であるかのように受け取るんです。
確かに(同じ栃木の)宇都宮などと比べたら高いかもしれませんが、平均的には雑誌に載っているよりも低いんですよ」
---那須町では6ヵ所の校庭で1マイクロシーベルトを超えているが(1マイクロシーベルトの基準値を超えると、校庭の表土除去に補助金が出される)。
「現在、線量が低かったところも含め、町内にあるすべての学校・保育園の表土を除去しています。合計27ヵ所で、補助金を差し引いても7375万円が持ち出しです。町の一般会計予算が100億円余りなので、痛い出費ではあります。さらに、表土を除去することで、住民の方が『やっぱり危険だったんだ。だから土を削るんだ』と不安がってしまうこともあり、このあたりがジレンマですね」
---国に対して要望は。
「表土の除去について、県の調査では基準値を超えたので補助金が出るのですが、国の調査では基準値を下回りました。そのため国からの補助金は出ていません。那須町は地震の被害も出ており、その修繕費用もあるので、せめて放射能関連の補助金は国に負担していただきたいですね。あとは、町民からの放射線に関する問い合わせに対して、安全か危険かを回答できる明確な基準を示して欲しいです」
話を進めるにつれて住民とともに最前線にいる不安をこぼし始めた。
放射線に関する国の情報公開が自分たちの生活の不安を取り除くレベルに達していないという不満も感じているようだ。
また、旧塩原町地区の金沢小学校で0.9マイクロシーベルトを計測した那須塩原市にも同じように取材を申し込んだが、市の環境対策課からは
「信頼の置ける情報を国から出してもらわないと、末端の自治体は困ってしまいます。それが国に対する要望です」と、答えるのみだった。
■身動きの取れない大都市
一方、人口40万人を誇るベッドタウン千葉県柏市では、那須地域ほどではないものの柏第三中学校などで計測された0.48マイクロシーベルトを筆頭に、測定箇所すべてで毎時0.16マイクロシーベルトを超えた。
柏市の住民も、那須地域の人々と同様に自分たちの住む場所が置かれた状況を正しく認識している。そしてこれも同様に、行政の対応に不満があるようだ。柏市に長く住んでいる70代の男性は、
「孫たちの将来が心配ですね。正直な話福島県よりはマシだけど、国とか自治体がしっかりと対策を立てるべきだと思いますね。孫たちは毎日プールに行っていますが、室内プールに行かせています」
と、行政対応への不信感を明かした。買い物途中の30代の主婦も、信頼できる情報の少なさに不安を隠しきれない様子だ。
「小学校2年生と5年生の子供が二人いるんですが、毎日サッカーや野球の練習に行っています。子供たちが帰宅したらすぐにお風呂に入れるようにしていますが、手や足に擦り傷を作って帰ってくることが多いんです。傷には放射能の影響はないんでしょうか。そういった情報が入ってこないので心配です」
市は住民の不安をどう受け止めるのか。秋山浩保市長に話を聞いた。
---柏市の放射線量が高めだが。
「相対的に高いことは大きな問題だと認識しています。ただ、周辺の我孫子市や流山市、松戸市とは同じぐらいの線量だと思います。これは柏市だけの問題ではないので、周辺自治体と6市協議会を作りました。さらに、放射線問題は自治体で対応しきれる問題ではないのです。例えば焼却灰に関しても最終的にどうするかということについては、国に判断を仰がなければなりません。ですが、現状では国でさえ結論が出ていないんです」
小中学校などの放射線量 :クリック拡大
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/f/5/-/img_f56aaf776b29f8e82093665355b4b7c4560074.jpg
柏市から出るゴミの最終処分場の焼却灰からは基準値(1kg当たり8000ベクレル)を超える4万8900ベクレルもの放射性物質が検出されている。
---市民からの要望は。
「校庭の表土の除去が多いですね。その次が給食に関するものです。こちらについては、25日から測定機を導入しました。9月以降の給食については検査を実施していきます。1台250万円の機械を3台導入しましたが、半分は補助が出るのではないでしょうか。現在は、国からの金銭的な補助は出ていません。国に突き放されると、財政的につらくなりますね」
さらに、この放射線量なら安全という基準を求める点では、那須町と同様だった。特に柏市では、未経験の大問題に校庭の表土除去など具体的な動きは取れていないようだ。
自治体の本音を聞いたところ、結局は正確な情報と除去にかかる費用負担を国に求めている。これは、日々住民の不安に接している自治体からすれば当然の要望だろう。これに対して、政府はどのように対応するのか。文部科学省の原子力災害対策支援本部に聞いた。
■自治体を見殺しにする政府
---放射線関係費用を国は補助するのか。
「福島県に関しては簡易の線量計を国から送りましたが、自治体が独自にやっていることに対して国が面倒を見ることはないと思います。国の調査と県の調査で違う数値が出たというのは、測定方法によるのでしょうが、基本的には国の調査で1マイクロシーベルト以上が検出されないと、補助金は出ません」
---住民が放射線に不安を持っているが。
「国が考えた危険な地域はすでに指定してあります。点として危ないところは、『特定干渉地域』として措置をしてあります。国としては、それ以外の地域は『安全』だと言う見解は崩していません。そこにお住まいの方は、皆さん基本的には普通の生活をされていると思いますから」
「普通の生活をされている」のではない。そうせざるを得ないのだ。
26日、食品安全委員会が突然決定した「生涯被曝100ミリシーベルト以上が危険」という基準が示すとおり、政府は基準を簡単に変え、その度に人間の被曝許容量は引き上げられる。裏には、補償の対象を増やしたくない政府の思惑がある。
東京電力の原発事故による放射能汚染は、現代日本に棄民≠生んだ。やはり、自分の身は自分で守るしかないのだ。
那須・柏の高放射線量を記録した地点 :クリック拡大
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/1/3/-/img_1320d4da867442ce1e8e2c628c2a7bc3538908.jpg
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