http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/243.html
Tweet |
「突然話題になった超高線量放射物質の配管内残留は、秘密裏に、1号機で“ドライベント”が実施された証だと考えている。」(http://www.asyura2.com/11/genpatu15/msg/225.html)で、「(昨年(たぶん)、福島第一の1号機は、原子炉頂部から直接ベントが出来るように配管工事を行っている)」と書いたが、調べたところ、工事は平成20年(2008年)秋だったことがわかったのでお詫びして訂正させていただく。
末尾に示す東電公表資料のなかで、
「原子炉圧力容器頂部冷却系配管取替工事
原子炉内で、水の放射線分解によって生成される混合ガス(水素・酸
素)が蓄積・滞留する可能性のある原子炉圧力容器頂部冷却系配管につ
いて、混合ガスを連続して排出させるベント配管を新たに設置します。」
と記述されている。
まさに水素ガスの排出のために新設されたベント装置と言えるのに、衝撃的な水素爆発も起きた今回の事故で、使用の有無どころか、その存在の有無すら説明されていない。
我が国政府と東電は、放射能防護・事故原因・事故対応などで肝心なことはまったく説明していないのである。
ベントに関して認識のズレもあるようなので、元の投稿のコメント欄に書かれている内容をベースに補足の説明をしたい。
【引用】
「02. 2011年8月03日 10:24:33: t5gzmyyhXY
ベント(ドライベント、ウェットベント)は
今回のような事故でなくても
安全を守るために通常運転中でも行われる事がありますよね。
だとしたら、ベントが原因で配管に燃料が詰まったと考えるのは不自然では?。
ベントした時に、すでに格納容器が壊れていて燃料がはみだしている状態
だったら、何とかわかります。(そんな早い時期にメルトダウンしてたの?)」
【コメント】
気体が漏れ出し周辺に放射性物質が放出される事故はたびたびありますが、原子炉ないし格納容器から意図的に気体を放出するベントの実施は、今回の事故が初めてのことです。
ですから、「安全を守るために通常運転中でも行われる事」はありません。
1993年までは原発にベント装置という“恐ろしい”仕掛けはありませんでした。
(1994年3月31日にベント管を付設する指針が出されています)
当然ですよね、格納容器は原発で発生する放射性物質を閉じ込めるために設備されているものですから、そこから放射性物質を含む気体を意図的に排出させるベント装置は、原発の安全思想や格納容器の“理念”に反する仕掛けです。
放射性物質の閉じ込めを担う格納容器の放射能閉じ込め機能を維持するために放射性物質を放出という考え方は、とんでもない自己矛盾であり錯乱した考えとも言えます。
だからこそ、今回の事故でも、東電や政府はベントの実施に強く思い悩んだのです。
正しい判断だったかどうかはともかく、ベントを行って格納容器を保護した方が、格納容器が破損するより大気中に放出される放射性物質の量が少なく住民の被曝も低いという判断がなされ、それに基づきベントが実施されたはずです。
国会でベントの遅れが菅政権の事故対応をめぐる非難の一つになっていましたが、ベントの遅れがメルトダウンを起こしたワケでも水素爆発を引き起こしたワケでもありません。
1号機のメルトダウンは、地震から4時間後(3月11日夕方6時半頃)に始まり、午後8時過ぎには全炉心(使用済み核燃料棒)がメルトダウンしたとされています。
格納容器に“穴”が開くメルトスルーも、地震から15時間後(12日明け方6時頃)に起きたとされています。
メルトダウンは、格納容器や原子炉の高い圧力が原因ではなく、“空だき”=冷却水喪失が原因ですから、地震から全炉心溶融のあいだのいずれのタイミングでベントを実施していたとしても、メルトダウンを防ぐことも遅らせることもできませんでした。
1号機だけではなく3号機もですが、水素爆発は、原子炉内の水素ガスを排出するドライベントで建屋内に水素が流れ出したことが原因で起きたと考えていますから、ベントで防げたどころか、ベントで起きてしまったものです。
1号機のベントは12日の朝9時頃から実施されたので、その前にメルトスルーが起きており、「ベントした時に、すでに格納容器が壊れていて燃料がはみだしている状態」だったと言えます。
(但し、12日午前のウェットベントで高い放射線量の物質が配管に飛散とは考えていません。15:36の水素爆発の直前に実施された原子炉頂部からのドライベントに由来すると考えています)
3号機は以前の投稿で書いたように、ベント配管が自身の水素爆発で破断しているので、ベントで1号機と同じように飛散しながらも放射性物質の多くは、配管から“外”に拡散したと考えて言います。
それが、3号機の周囲に高い放射線量の“がれき”が数多く転がっていた理由だと思います。
東北・関東から東海・甲信越・東海の範囲に高い放射能汚染をもたらした今回の原発事故ですが、放射性物質の大気中への飛散と地上・河川・海への降下は、1・3号機のベントとりわけドライベントで放出されたものと2号機の圧力抑制室破損で放出されたものが大半を占めていると考えています。
大気中に漏出された放射性物質の多くは3月21日までのもので、その後は、原子炉への注水で流れ出だしてくる放射能汚染水が主たる放射性物質の漏出と言えます。
ドライベント(格納容器から直接)はウェットベント(圧力抑制室プール経由)の10倍から100倍の放射性物質を放出すると言われていますが、原子炉圧力容器から直接排出するベントは、格納容器からのドライベントよりも放出量が多く、ウェットベントの100倍をはるかに超えると思われます。
不作為で起きたことでもきちんと公表すべきですが、意図的に実施された重大な行為が秘密裏に行われその後も何ら説明がないというのとは極めて由々しきことです。
福島・茨城・宮城を中心に、東北・関東の子どもからお年寄りまでが、秘密裏に行われた“ドライベント”で大量に被曝しているのです。
SPEEDIデータを活用せず避難する住民に余分の被曝をさせたことに匹敵するかそれを上回る暴挙だと考えています。
※ 原子炉頂部ベント管設置に関する東電公表資料
A.原子炉頂部ベント管設置工事の予告
福島第一原子力発電所1号機の定期検査開始について
平成20年10月17日
東京電力株式会社
当社は、平成20年10月18日から、福島第一原子力発電所1号機(沸騰水型、定
格出力46万キロワット)の第25回定期検査を開始いたしますのでお知らせいたし
ます。
1.定期検査のための停止予定期間
平成20年10月18日〜12月16日(60日間)
2.定期検査を実施する主な設備
(1)原子炉本体
(2)原子炉冷却系統設備
(3)計測制御系統設備
(4)燃料設備
(5)放射線管理設備
(6)廃棄設備
(7)原子炉格納施設
(8)非常用予備発電装置
3.定期検査中に実施する主な工事予定
(1)燃料集合体の取替え
燃料集合体400体中64体を取り替えます。
(2)原子炉圧力容器頂部冷却系配管取替工事
原子炉内で、水の放射線分解によって生成される混合ガス(水素・酸
素)が蓄積・滞留する可能性のある原子炉圧力容器頂部冷却系配管につ
いて、混合ガスを連続して排出させるベント配管を新たに設置します。
以 上
http://www.tepco.co.jp/cc/press/08101701-j.html
B.原子炉頂部ベント管設置工事の完了
東京電力平成21年2月公表
福島第一原子力発電所 第1号機
平成20年度(第25回)定期事業者検査の実施状況について
P.9
4.主用改造工事等の概要について
(1)原子炉圧力容器頂部冷却系配管取替工事
http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2008/pdfdata/bi9207-j.pdf
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素15掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。