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感想 放射線と自然エネルギー
http://news.livedoor.com/article/detail/5754855/
2011年08月02日14時55分 武田邦彦(中部大学)
今朝方、二つのレポートを読んで、いろいろ考えることがありました。
一つは、宮城県のお医者さんのもので、「放射線は危なくない」というもの、もう一つは、大学の文学の先生で「自然エネルギーを使おう」というものでした。
今回は「放射線」の方の感想を書きます。
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多くのお医者さんが今回の事故をキッカケに「放射線は危なくない」と声を大きくされ出したのですが、結論は私と全く違います。違うのは「放射線と人体」という科学のことではなく、実は、論理的な考え方です。
私の考え方は、
「放射線と人体の関係はよくわかっていない。そして国際的な合意、国内の法律では1年1ミリシーベルトを基準にして20年もやってきたのだから、今はそれを守った方が良い」ということで、いわば「わからないものは注意をする」というスタンスです。
これに対して、お医者さんは、「客観的な正しいデータを公開することが大切」ということを言っておられます。そして「客観的で正しいデータ」では「1年100ミリまでの放射線は怖くない」という感じです。
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一応、このお医者さんに反論しておきます。まずは論理的矛盾を指摘します。
1) 「客観的で正しいデータが存在する」ので、1年100ミリまで大丈夫、
2) 国際的な会議で1年1ミリと決まり、国内での検討でも1年1ミリと決まって法律で制限してきた、
この2つが正しいとすると、国際会議でも国内の検討でも、審議した委員の先生は「客観的で正しいデータを使わなかった」ということになります。
このお医者さんは、東北地方の首長、指導者に講演をされたそうですが、この点については講演資料には触れていません。
私は、1980年代からの国際会議の様子も、国内の委員会の議事録も目を通したのですが、もちろん放射線防護の専門家が集まっておられるので、このお医者さんが東北地方の首長さんや指導者の方にお示しになったデータはすべて知っておられる感じでした(実際にも当然、知っておられると思います)。
そうすると、
1) 原発事故が起こったから、国民に「データを示す」か(お医者さん)、
2) 原発事故が起こったら、国民に規制の意味を説明するか(武田)、
の違いということになります。この2つは本来は同じはずです。なにしろ、規制を決めた委員の人は「データ」を知っていたはずだからです。
今、多くの人が放射線に対して不安に思っています。それを解消するためには私たち専門家(いろいろな専門家)が、「なぜ、今まで規制値を1年1ミリシーベルトにしていたのか?」、「なぜ、今まで胸のレントゲンを1年に400回(20ミリシーベルト)はやめておいた方が良い」と言ったのかを最初に言わなければならないでしょう。
今までの規制値は全部、ウソだったとか、レントゲンを1年400回でも問題はない、今までは間違っていたということになれば、私たちも考え直さなければならないからです。
このお医者さんは誠意のある人と思います。こんな簡単なことがケリがつかないようでは多くの方が困るので、私も機会があればお話をしてみたいと思います。
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