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東日本大震災:汚染牛問題 同一牛、部位で濃度差−−セシウムの検出値
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110731ddm041040104000c.html
毎日新聞 2011年7月31日 東京朝刊
◇統一指針づくり急務
福島第1原発事故の影響で放射性セシウムに汚染された肉牛が見つかった問題で、同じ1頭の牛でも部位などにより検出値の違いが出るケースが指摘されている。専門家も「セシウム濃度は部位により異なる」と説明している。各自治体が今後踏み切る全頭検査の信頼性を高めるため、国は検査の統一指針づくりを迫られそうだ。【吉永康朗、井上英介、石川隆宣】
宮城県は28日、1頭の牛の肉で、部位によって国の暫定規制値(1キロ当たり500ベクレル)を超えたり、下回る検査結果が出たことを明らかにした。
この牛は仙台市内で6月21日に解体され、肩肉(二十数キロ)が流通した横浜市が検査した結果、規制値未満の380ベクレルだった。ところが、もも肉(37・7キロ)の流通先の北海道が肉を調べたところ、530ベクレルを示した。
宮城県から6月1日、東京都内に出荷された、別の牛の肉では同じ部位で検査値の食い違いがあった。都内の食肉卸業者が、この牛の肩肉(12・9キロ)を自主検査し、1150ベクレルを検出。しかし川崎市が、この肩肉の残りを調べたところ、618ベクレルだった。
県によると、この4件の検査ともゲルマニウム半導体検出器を使っていた。県は「精密に調べられるもので、機器に問題はない」と話す。ただ、課題は検査手法の統一基準がない点で、県は「検査した肉の部分がどのくらいの脂肪分を含んでいるかや、肉の詰め方で結果に差が出る」と説明する。
自治体が今後、全頭検査に相次いで踏み切るのに先立ち、厚生労働省は29日、検査の基本方針を発表した。ゲルマニウム半導体検出器より短時間で調べられる簡易測定機器の使用を認めるなどの内容だが、調べる部位には言及していない。
厚労省は検出値のばらつきは把握しているが、「これまでの例ではセシウムは筋肉に均質に蓄積するとされている。全頭検査を重ねて適切な対処方法を見つけていくしかない」(監視安全課)と説明。各自治体には、同じ牛で1カ所でも規制値を超える部位が見つかれば、全量を出荷停止するよう求めている。
◇
東日本大震災:汚染牛問題 同一牛、部位で濃度差 夏堀雅宏氏の話
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110731ddm041040107000c.html
毎日新聞 2011年7月31日 東京朝刊
◇赤身に多くたまる−−動物と放射線の関係に詳しい夏堀雅宏・日本動物高度医療センター院長の話
セシウムは動物の細胞内に多く蓄積するため、脂身より赤身に多くたまる。同じ1頭の牛でも部位によってセシウム濃度が異なる。規制値は十分安全な値に設定されており、これを少し上回っても本来、問題はない。肉のセシウム濃度と相関関係がある血液を調べる手法を確立すれば、検査も簡易になり、安全な肉まで廃棄する事態を避けられる。
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