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http://jp.wsj.com/US/Economy/node_281454
「今、いちばん気がかりなのは、福島県内の学校で行われている土壌処理の方法だ。放射性物質の広がりが助長され、コントロールできなくなる恐れがある」
大震災以来、東京電力福島第1原発の問題解決に向けて奔走する、ある日本の専門家は、放射性物質を含んだ土壌をめぐる当局の方針について、そう憂慮する。
日本ではほとんど報じられていないが、現地からの情報や英メディアによると、5月後半以降、県内被災地などの学校の校庭では、放射性物質を含有した表層土壌を掘り起こし、遮水シートでくるんで、地面に掘った穴に埋める作業が進められているという。「可及的速やかに、かつ簡便に空間線量を低下させるために、剥離をはじめとする、放射性物質を含む土壌を地表から遠ざける方法が現実的」(日本原子力研究開発機構5月11日付報告書)との認識に基づき、文科省が主導している模様だ。
もちろん、子どもたちの安全と健康を守るための一時的措置ではある。だが、表層土を地中の空洞(トレンチ)に保管する方法にせよ、表層土と放射性物質を含まない下層土を入れ替える上下置換法にせよ、この2つを組み合わせた方法にせよ、放射性物質が混じった土を地中深く埋めることで汚染が拡大し、収拾がつかない事態になりかねないと、米国人専門家も大きな懸念を示す。
その一人が、放射線測定や放射線による影響などの研究で高い評価を得ているキンバリー・キアフォット教授(原子力工学・放射線医学・生体工学)だ。同教授は、米原子力工学のメッカであるミシガン大学で教鞭を執る一方、震災後、来日し、福島第1原発の状況について独自調査を行った。日本の原発問題に心を砕くキアフォット教授に電話で話を聞いた。
――現在、福島県で行われている土壌処理についてどう思うか。
キアフォット教授 1940年代から50年代にかけて、米国で行われていた方法とまさに同じだ。問題解決よりも、むしろ多くの問題を引き起こす。旧ソ連でも、同じ方法が取られていた。つまり、21世紀の日本で50年代のアプローチがなされている、といえる。放射性物質を含む表層土を埋め込み、上に土をかけることで、放射性核種が地中に広がり、検出がいっそう困難になってしまう。汚染部分が拡大すればするほど、ますます手に負えなくなる。
埋めた場所を正確に記録する必要があるが、放射性物質が環境内を移動するため、難しさが増す。ビニールシートを使っても、放射性物質は地中で飛び散り、四方に拡散しかねない。地中に埋めると、さらにコントロールできなくなる。
――では、どうすればいいのか。
キアフォット教授 表層土を専用の保管コンテナに入れるのが、はるかに望ましいやり方だ。米国でも使われているが、天候や放射性元素にも耐久性のある非常に頑強な大型コンテナがいい。あくまでも一時的使用が目的だが、水など、あらゆるものを遮断する。
米国には、昔から多くの低線量放射性廃棄物があったため、除染やデコミッショニング(原子炉や核燃料、および関連施設の解体や処分)を手がける企業が多い。その結果、50年代とはまったく違う方法が普及している。保管場所については、日本には、米サウスカロライナ州バーンウェルのような低線量放射性廃棄物処分場がないと思われるため、第1原発の敷地内に一時保管するのが理想的と言うしかない。
万一、地中に埋める場合は、すべての場所を記録し、モニターし続けねばならない。地下水だけでなく、川や泉、湧き水など、地表水も、だ。放射性物質は、非常にゆっくりと環境内を移動しながら、こうした地表水にも入り込む可能性がある。繰り返し言うが、表層土と下層土が混ざることで汚染部分が拡大し、突き止めるのが至難の業になってしまう。今、行われている土壌処理は、長期的に見れば誤りだ。
――かつて米ソで、こうしたアプローチがとられていた?
キアフォット教授 そうだ。米国では、小型研究炉から地面に放射性物質が漏れ出したりした敷地がいくつもあり、除染する必要があった。1920年代には、たぶん日本でもあったと思うが、(放射性物質の一つである)ラジウムの影響もみられた。ラジウムを使った新薬製造によるものだ。ラジウムは半減期が非常に長いため、今も崩壊していない。
――放射性物質は環境内を移動するというが。
キアフォット教授 長い時間をかけて、ゆっくりと地表から地面のより深部へとしみ込み、川や海岸などの地表水、そして、地下水に浸透していく可能性がある。地下水にまで達するまでには、かなり時間がかかるが。いったん土壌に入ると、時を経て植物や野菜、干草に放射性核種がたどり着く。そして、牛が、その干草を食べ、牛の体や筋肉にセシウムが蓄積していく。こうした放射性物質の流出量や移動経路を分析するのが「経路解析」といわれるものだ。
――放射性物質の移動は、どのくらい危険なのか。
キアフォット教授 放射性物質の量による。微量ならば、まったく心配は要らない。注意が必要な一方で、日本では、多くの人々が微量の放射性物質の移動などについて心配しすぎているのも問題の一つではないか。多量なのか少量なのか、状況によってリスクを判断する必要がある。
――原発問題の対処において、最も大切なことは何か。
キアフォット教授 日本政府が、国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)の指示に従うことである。たとえば、以前、問題になった子どもの放射線量の年間許容限度量にしても、ICRPが定める20ミリシーベルトという水準は、(成人の)事故直後に限った数字であり、その後はただちに減らさねばならないと定められている。子どもの許容限度量を20ミリシーベルトとした日本政府の当初の判断は、明確さに欠けるか、誤解を招くものだったといえる。あの決定は大きな誤りだったと思う。
日本政府が、失った信頼を取り戻すには、情報や決定をクリアにすることに尽きる。そして、IAEAやICRPのアドバイスを正確に遂行することが不可欠だ。
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