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「福島の作業員被ばく別枠」 保安院が上限緩和要請、厚労省拒否
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011072890090219.html
2011年7月28日 10時26分 中日新聞
経済産業省原子力安全・保安院が、福島第1原発の事故収束に当たる作業員の被ばく線量を、通常時の被ばく上限値と「別枠」扱いにすることで、上限値を大幅に緩和するよう厚生労働省に働き掛けていたことが分かった。保安院は原発や作業員の安全を守るのが主な役割だが、これに逆行する行為ともいえ、批判を浴びそうだ。
保安院によると、同院の寺坂信昭院長が4月1日、厚労省の労働基準局長と面談。今後、収束作業で作業員が被ばくしていくと、現在の被ばく線量のルールでは人手不足になる恐れがあると説明した。
既に政府は、福島第1の収束作業に限って、被ばく線量の上限を250ミリシーベルト(通常は年間50ミリシーベルト、5年間で計100ミリシーベルト)まで緩和していたが、寺坂院長はさらに、福島第1での被ばく量は通常時の上限値に含めないよう「別枠」とする緩和を求めた。
この通り緩和されると、仮に福島第1で250ミリシーベルトを被ばくしても、別の原発に移れば「5年間で100ミリシーベルト」の枠が残ることになる。最高で2年間に350ミリシーベルトまでの被ばくが認められることになる。
面談に先立ち保安院は、東京電力に対し、今後の収束作業で50ミリシーベルト以上の被ばくをする作業員が何人出るか予測するよう指示。東電が協力企業などから予測値を集めた結果、約2千人という数字が出た。保安院側はこの数字を面談の席で厚労省側に示し、大幅緩和を求めたという。
厚労省は福島第1での被ばく量を別枠扱いにすることは拒否した。代わりに、福島第1での被ばく量が50ミリシーベルトを超えても、これまでなら1年間、他の原発で働けなくなるところを、5年間で100ミリシーベルトを超えない範囲なら作業を続けてもよいと認めた。4月25日付で保安院に伝えた。
保安院の森山善範原子力災害対策監は「一義的には作業員の被ばく管理が保安院の役割。一方、事故収束も大切で、緩和を求めた。東電の懸念を踏まえた対応だが、東電から正式に要望されたことはない」と述べた。被ばく人数の予測については「(事故当初は)今後の見通しが立っていないことから、大まかな概算しかできなかった」と、根拠が薄いことも認めた。
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