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細野原発相「隠す方がパニック」 放射能の情報公開に意欲を示す
http://news.livedoor.com/article/detail/5730462/?p=1
2011年07月24日11時00分 BLOGOS編集部
7月22日、東京・麹町の自由報道協会の会見場は60人近い報道陣が詰めかけ、いつになく緊迫した空気にあふれていた。無線機を持ったコワモテの男たちが、会見場の警備を固めている。警視庁のSPだ。これから現れるのは、細野豪志・原発事故担当相(39)。フリーランスやネットメディアにも開かれた記者会見を実現するべく作られた自由報道協会だったが、現職大臣が会見に応じるのは初めて。しかも、相手が福島第一原発の事故処理を担当する細野氏とあっては、緊張するのも当たり前だろう。【取材・文:安藤健二(BLOGOS編集部)】
■「放射能は200万分の1まで減少した」
定刻通りに颯爽と現れた細野氏は、ノーネクタイのリラックスした姿。カメラのフラッシュが焚かれる中で、立ったまま挨拶。「前に事務所を伺ったときは、随分狭苦しいところだと思いましたけど、立派な会見場を開かれたということでお祝い申し上げたいと思います」と軽口を叩いて笑いを取った。民主党の若手ホープと言われるだけあって、堂に入ったしゃべり方だ。「自由な場所なんでフランクにやりたいところではあるんですけど、私の扱っている問題というのは、なかなかフランクにやれる種類の物ではないものですから、中身は堅い物になってしまいますが、しっかりやりたい思います」として、会見を始めた。まずは、司会者の上杉隆氏から質問があった。
―今週ですね。福島第一原発事故の収束に向けた工程表のうち、「ステップ1」が終了したという発表がありましたが、「当初の目標を達成できてないのでは」という声も出ています。何を持って「終了した」と言えるのかという根拠を教えてください。
細野豪志氏(以下、細野氏):確かに、上杉さんが指摘されたように、4月17日に作られたロードマップの中には、途中で達成を諦めた物もありますし、「100%達成できてない」という物もあります。
例を一つあげますと、当初、冷却のやり方として「冠水」という方法を考えておりました。この原子炉圧力容器・格納容器に水を溜めていっぱいにすることで冷やすつもりだったんですが、ただ現実的には圧力容器にも格納容器にも穴が開いていることが、割と早い時期に明らかになりました。なので、循環注水冷却という方式を取ることになりました。やり方は変わりましたけども、冷却そのものは安定的に出来るようになったと思っています。
具体的には1号機については100度ちょっと、2号機と3号機は130〜150度あたりという形になっていますので、方法は変わりましたが、安定的に冷却できたと。そういうことで、結果は出せたということでこういう評価をさせていただきました。
もう一つ、非常に重要なのは、何のために冷却するのかということです。もちろん、発電所の暴走を止めるという意味で非常に大事なんですが、もう一つ重要なこととして、外に漏れている放射能の量をできるだけ少なくしなきゃいけないという目的があるわけです。その目的からすると、事故の直後に出ていた放射能の量と、今の(第一原発の)足元の数字を比較しますと、大体、200万分の1まで減少してきている。これは東京電力が評価をし、それを(原子力安全・)保安院が是とした物でございます。
これまで、3月に相当量出ていますから、それが地上に付着して(未だに)高い放射線レベルに達しているところも、もちろんあるわけですけども、日々、どれくらいの放射能の量が出ているかということで比較すれば約200万分の1まで減少している。それもかなり大目に見積もって、という数字になっています。
「全く出ていない」と言うことまではできないわけですけれど、当初の目的だった「放射能の飛散を低下させていく」という方向も含めて、ステップ1が達成できたと考えました。
細野氏:まあ、上杉さんからは常に「情報がなかなか出てない。隠蔽体質がある。原子力村は閉鎖的だ」という厳しいご批判をいただいて参りまして、私自身もそこ(原子力村)とある種しっかりと、戦うべきところは戦っていかないと思って、やって参りました。随分、この4カ月で変わったと思います。
変わったと思いますけども、仮に皆さんが「十分ではない」と思われるところがあるならば、そこは一つ一つ、私としてはとにかく情報公開して、しっかり説明していくということが信頼を得る唯一の道ですから、それしかありませんので、その努力をしていきたいと思っております。
■「情報公開すればパニックにならない」
この後、フリージャーナリストらからは、変速球な物も含めて、様々な質問が寄せられた。だが、細野氏は戸惑う姿も見せず、ソツなく答えていった。私も何とか質問をしようと、何度も挙手をしたが、あまりに手を上げる報道陣が多すぎて、一時間半近くに及んだ会見で、結局、一度も当たることはなかった。細野氏は夜のうちに新幹線で福島県に向かうということで、足早に会見場を後にしたため、質問できなかった人も多かったのだ。
だが、興味深いやり取りもあった。細野氏はこれまでの政府の情報公開が不十分で、「反省点があった」と率直に認めた。その上で、「情報は隠しても必ず漏れるので、意味はない。むしろ、どんどん正確な情報を発信することがパニック防止に繋がる」と、更なる情報開示に意欲を示したのが印象的だった。記者団との、詳しいやり取りは以下の通りだ。
―(原発や放射能に関する)政府の情報公開について、大分改善されたということもおっしゃってましたが、国民のほとんどはそう思っていないと思うんです。政府としては、どのように情報公開して行きたいと思ってますか?
細野氏:(東電と自分の合同の)記者会見を始めたのが4月の半ばごろでした。そのときに、私が一番初めに言ったのは「とにかく悪い情報をここに集めてくれ」と。「いい情報は各自が自由に発信してもらっていいけども、悪い情報をとにかく私のところに届けてくれ」ということを言いました。
正直言うと、すぐに全部集まったわけではありません。「あれ?」と思う情報が変なところからポロッと出てきたりとか、新聞とかテレビで出てきた後に情報が確認できたこともありましたので、最初からスッと出来たわけではないんですね。
ただ、そうしてやっていく中で、やはりみんな学んできたんですよね。徐々に情報が集まるようになってきて、私が意識的に言ったのは「もう必ず情報は漏れる」と。「必ずどこかで出てしまう」と。(暴露サイトの)ウィキリークスの例を挙げるまでもないんですけども、情報が政府が隠して国民から見えないようにしていくというのは、完全にフィクションです。必ず出るわけです。
そうなった場合に、最も合理的なリスクヘッジは(情報を)出すことなんですよ!本当にそうなんです。現実的に。そういう考え方に立って、「一番我々が合理的に行動するには情報を出すことだ」と。「そのことを国民にしっかり説明することだ」と指示しました。これは私の主観的な思いも入っていますが……。
そういう中で、政府から情報は出ています。これからやり続けることは一つしかなくて、(情報を)出し続けることですよね。
―枝野さんが対応してきたときには「メルトダウンは起きていない」とか、当初はいろいろ(事実ではないことを)言ってましたよね。それを政府としてはどう総括されるんですか?
細野氏:メルトダウンが、あったかなかったかで言うと、情報の出し方としては大いなる反省が必要だと思っています。これはIAEA(国際原子力機関)の報告書にも書いたんですけども、「隠していた」というわけではないんです。隠していたって何の意味もないですから。
あとで、明らかになって、それこそ「おかしかったじゃないか」と言われることになるわけだから、隠すことには何の意味もないわけですね。
で、我々がまだ(東電と合同の)記者会見をする前でしたが、心がけていたのは「正確な情報を出そう。分かった事実を出そう」ということでやってきていました。その時点では、燃料が溶融していることは分かっていたんですが、そして原子炉の下の方に行ってるであろう、ということも分かっていた。ただ、それが完全に下にまで行って、完全に溶けてしまっているかが確認が取れていなかったんですね。だから私が聞かれれば、こういう言い方をしていました。
「燃料は溶融しています。ただし、その程度はよく分かりません」と。本当に分かっていなかったから。これをもって、我々は正確な情報を伝えていると思っていたわけですね。
ところが、その後の解析の結果として、ほとんど全ての燃料が溶融しているという事実が分かり、その一部が圧力容器の中からも落ちているということが分かった。それが解析結果から明確になる中で、正確な情報公開というのが、必ずしも分かってる事実だけを伝えるだけじゃないと。
事実としては、まだ十分確認は出来ていないけども、「おおよそ、こういう状況である」ということを「不正確である」ということを含めて、おおよその情報を伝えることの方がむしろ正確なんだと。つまり、「個別の事象の積み上げではなくて、全体像をしっかりお伝えした方が、むしろ本当の意味で正確な情報発信なんだ」という発想に立ってなかったんですね。
で、ある時期からそういう発信を心がけました。それこそ「放射能の250ミリシーベルトを超えた被曝をした人が何人いるか?」と。最初は、1人だ、2人だ、それ以上は「分かりません」と言いそうになってたんだけれども、私はデータを見て、まだ調べられてない範囲まで含めて「まだ何人かいるな」と思いました。「おそらく複数いるでしょう。まだ調べられてないけども」と伝えることにしました。
事実として全部正確に分かっていなくても、おおよそのことが分かるなら、そういうことを伝えていくことの方が、むしろ国民にとっては分かりやすい、そして正確な情報発信になるんだ、と途中からなりました。その反省をしています。
―では、最初の情報の公開の仕方が間違ってたということなんですか?
細野氏:うーん。間違ってたかどうかという評価を、今、私がするほど、私が全てを分かってるとは思わないので。ただ、当初の情報発信のやり方には反省点があったと思いますね。
―枝野長官にも是非、自由報道協会の会見にも出ていただきたいで話してもらいたいところですね
細野氏:枝野長官は限られた情報の中で、会見を頑張ったと思いますよ。ただ、なかなか全ての情報がなかったというのは事実です。
―細野大臣は情報開示の姿勢が非常に感じられるのですが、実際には伝わってない面もあると思うんですが、(放射能の)パニックを防ぐということと、情報開示のバランスをどう考えているかをお聞きしたいのですが
細野氏:そこはですね、明確な方針がありまして。日本人はパニックを起こす、とんでもない状況になるということは基本的にない国民性だと思っています。むしろ、情報を隠したときの方がパニックになる可能性があると。より危険なのはね。むしろ「開示をしてキチッと説明をすることで、国民の皆さんの安心感を取り戻す」と、これしかないと思うんですよ。
ですから、過去の3月11日以降の情報の出し方でも、そういったところで(パニックにならないようにと)いろいろ逡巡があった部分が、おそらく、何らかの形であったと思うんですね。そこの反省も含めて、「正確な情報をしっかり出すことが国民の安心感に繋がるんだ」という発想に立って情報公開していくべきだと、そのように思います。
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