http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/631.html
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比較的低線量汚染されたウクライナ、Lugini地区についての健康被害報告です。ヤブロコフ編著「チェルノブイリ----」p.217-219に「第U章の結び」として書かれています。
Bq/m2÷65=Bq/kgとすると、1Ci/km2=569Bq/kg, 5Ci/km2=2,846Bq/kgです。Cs-134とCs-137の構成比が異なるなど条件は違いますが、放射線量としては関東平野に多数存在します。居住リスクを考える一つの手がかりとして、訳出します。
これはシリーズになっています。
@「第4章12節 チェルノブイリでの食品と人々の放射能汚染」fair use精神による投稿
http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/501.html
A土壌汚染現在1138Bq/kgから5695Bq/kgで将来起こり得ること。「チェルノブイリ」より抜粋
http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/568.html
原典 http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf
(以下翻訳)
第U章の結び p.217-p.219
第U章、4,5,6,7に記録された様な病的状態と個別特殊な病気の流行は、チェルノブイリにより影響された地域における民衆の健康状態について、完全な描写をいまだ与えない。
次に挙げるbox記事は、破局後10年、ウクライナの小さなLugini地区における住民の健康状態を記録している。Luginiは、Zhytomir Provinceのチェルノブイリ原子力発電所から110km南西に位置している。そして、5Ci/km2以上の放射能汚染度の場所もある。
また、数十箇所の同様に汚染された地域がある。例えば、Belarus,Ukrane,European Russia,Sweden,Norway,Turkey,Austria,South Germany,Finland,そしてこの他のヨーロッパ諸国。しかしながら、Luginiは独特だ。同一医療スタッフが、同一医療機器を同じ手順で破局の前後に使用しただけでなく、その医師たちは以下の事実を収集し公表した。(Godlevsky and Nasvit,1999) 《他地域では当局の指示で事実は破棄され隠蔽された−−訳注》
破局後10年 1ウクライナ地区における公衆健康の悪化
Lugini(ウクライナ)地区。1986年人口29,276人、1996年22,552人(子供4,227人)。1986年 50村中 22村汚染レベル1-5Ci/km2 26村1Ci/km2以下。
肺がんと胃がんと診断された後の生存期間
1984-1985: 38-62ヶ月
1995-1996: 2-7.2ヶ月
活性化結核の初めての診断(初期結核と診断された割合)
1985-1986: 17.2-28.7 100,000人あたり
1995-1996: 41.7-50.0 100,000人あたり
子供の内分泌系疾患
1985-1990: 10 1,000人あたり
1994-1995: 90-97 1,000人あたり
子供の甲状腺腫
1988まで 未検出
1994-1995: 12-13 1,000人あたり
新生児死 (誕生後0-6日)
1984-1987: 25-75 1,000生存誕生あたり
1995-1996: 330-340 1,000生存誕生あたり
全般的死亡率
1985: 10.9 1,000人あたり
1991: 15.5 1,000人あたり
寿命
1984-1985: 75歳
1990-1996: 65歳
Figure 1 は、Lugini地区における、先天性奇形を伴った各年新生児数についてのデータを示している。先天奇形を持つ事例数の増加が、Luginiの全人口が1986年から1996年にかけて25%減少したにもかかわらず、見られた。
放射能汚染地域では、色々な病気の発生率と政府の医療統計には含まれない兆候と症候群が著しく増加した。それらの中には、子供の体重の異常に貧弱な増加、病気からの回復の遅れ、頻繁な発熱などがあった。(Chapter II.5,sECTION5.2参照)
チェルノブイリの破局は世界の医学界に新しい専門用語をもたらした。それらを挙げると、
・「植物血管性筋緊張異常」として知られる症候群(自律神経系機能障害): ストレスを背景として生じるさまざまな臨床的発見を伴う、心臓血管系の神経調整の機能的変調。
・「体組織に取り込まれた長寿命放射性核種」として知られる症候群。(Bandazhevsky,1999)これは次の病理を含む。心臓血管系・神経系・内分泌系・生殖系・その他の体組織器官系。ある個人に、Cs-137とSr-90が50Bq/kg以上蓄積した結果生じる。
・「上気道の鋭い吸入」として知られる症候群。(Chuchalin,2002) 「ホット・パーティクル」を含む、吸引された放射性核種の影響と関連した身体反応を伴う、鼻炎・のどのかゆみ・乾性咳・短い呼吸の組み合わせ。
初期に認知されていた症候群のいくつかは、先例のない見当違いなwide発生率を示した。その中に「慢性疲労」として知られている症候群がある。(Lloyd et al.,1988)これは次の形で顕在化する。退屈さ・混乱した夢・周期的な鬱と不満足感・理由のない疲労・記憶損傷・拡散した筋肉痛・大関節の痛み・悪寒・頻発する気分変容・頚部リンパ節過敏・体質量減少。これらの症候群は、中枢神経系の側頭辺縁部の異常と結びついて、免疫系が障害された結果だと言うことが、自明であるとみなされた。これらは次を含む。(a)「長引く放射線病」と呼ばれる症候群(Furitsu et al.,1992,Pshenichnykov,1996)、異常な退屈感・めまい・身震い・背中の痛み・上腕骨ベルトの組み合わせ、これらはもともとは被曝者(広島と長崎の生存者)に関して記述されていた。(b)「初期栗の実症候群」や「回折格子症候群」と呼ばれる、網脈絡膜症と網膜血管の変性から構成される症候群。(Fedirko,1999,2002)
充分な医学的説明が待たれる症候群の中には、他の一群の疾病がある。それらは、「子宮内放射線被曝」・「チェルノブイリ・エイズ」・「チェルノブイリ・心臓」・「チェルノブイリ痴呆」・「チェルノブイリ後肢」を含む。
チェルノブイリの1 Ci/km2を超えるレベルの(1986-1987当時)放射能汚染は、Russia,Ukraine,Belarus地域の全死亡率の3.8-4.4%に責任がある。汚染レベルが約0.5Ci/km2(1986-1987当時)の他のいくつかのヨーロッパ諸国では、死亡率は0.3-0.7%だ。(ChapterII.7参照)Russia,Ukraine,Belarusの、重度汚染地域の追加的死亡率に対する合理的な推測に基づき、約900,000人の合計死者数が推定される。そしてこれはチェルノブイリ破局後当初15年間についてだけの推定だ。
全般的死亡率へのチェルノブイリの貢献は、1 Ci/km2以上の汚染レベルを伴う事実上すべての地域において、決定的要因だ。さまざまな病因を持つ慢性疾患が、リクイデーターのみならず被害住民に典型的に現れた。そしてそれらの疾患は放射能汚染により悪化されると思われた。多重不全polymorbidity、つまり、同一個人内にいくつもの病気が存在することは、汚染地帯でよく見られるありふれた特徴となった。チェルノブイリの癌死者数は、20世紀末に人類を苦しめ続けた癌流行の最も確実な原因の一つだと思われる。
影響を受けた地域における公衆健康の悪化に関する膨大な量のデータにもかかわらず、破局が健康へ与えた衝撃的影響の全貌は、いまだ完全な描写からは程遠い。チェルノブイリ破局が健康に与えた影響の全体的で完全な描写をつきとめるために、我々はまず次のことをしなければならない。
・近年Russia,Ukraine,Belarus でなされたように研究を減らすのではなく、医学的・生物学的・放射線学的研究を拡大すること。
・内部および外部被曝からのたくさんの放射性核種による寄与を分化した、個人線量の正確な再構成、個人の行動と習慣の確認、染色体と歯エナメル質の分析に基づく正確な線量を決定するための強制的(法的)要請。
・破局前後の(特に破局後第1年目の)、さまざまなレベルの特徴的な放射線核種に汚染された行政単位の(local and regional)、月別医学統計を比較分析すること。
旧ソ連においてだけでなく、スウェーデン・スイス・フランス・ドイツ・イタリア・トルコ・フィンランド・モルドヴア・ルーマニア・チェコ共和国、その他の国々においても、チェルノブイリ破局が公衆の健康に与えた否定的影響についての、耐えず増え続ける客観的科学的データは、楽観論をもたらす物ではない。(ChapterII,4-7に詳述)不健康状態とその結果としての死亡率を緩和し防ぐための、特別な大規模計画なしでは、約23年前に始まった汚染と結びついたチェルノブイリ関連疾患は、増加し続けるであろう。
Belarus,Ukraine,Russiaの、チェルノブイリ・フォールアウトにより汚染された地域で、公衆衛生職員を警戒させるいくつかの兆候がある。
・現在の平均年間線量と1986-1987に受けた線量との関連の欠如。
・低レベル汚染地帯の人々に対する、集団線量への著しく増えつつある放射線負荷contribution。
・影響を受けた地域の多数の人々に対する、増加しつつあるレベルの(理論的に予測されたように減少ではなく)個別放射線被曝。
・癌(皮膚・乳・肺など)が進展するために必要な、20年にわたる潜伏期間を待つのでなく終わらせる必要。異なる癌は、様々な異なる発ガン物質に曝された後、異なる潜伏期間を持つ。10代の犠牲者は明白な例だ。
長期間にわたり免疫系が抑制される結果、さまざまな病気が増加する。中枢神経系一般と脳の側頭辺縁系構造への放射線障害の結果、知的発達に問題を抱えた人々がますます増え、それは、住民全体にわたる知性喪失を引き起こす脅威となる。
放射線誘引染色体変異の結果、様々な生得的病気が広範に引き起こされるだろう。汚染された地域ばかりでなく、移民した人々についてたくさんの地域で数世代以上にわたって。
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