http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/624.html
Tweet |
【読み解き鍵】九電やらせメールは価値観なき悪質行為
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110722/dms1107220931000-n1.htm
2011.07.22 夕刊フジ
馬の視界は350度、死角は真後ろ10度だけ。草食動物の馬は、その10度に、隠れた事象を察知し防御行動を取る。人の視界ははるかに小さく、死角は180度超。今求められるのは、その大きな死角に隠れた事象の「読み解き能力」。目指すは、まずは馬と同じ350度視界良好。
玄海原発の再稼働を巡り、九電がその関係者に対し、国主催の説明会に向けて再稼働に賛成する内容のメールを送信するように働き掛け、その結果、“賛成メール”が多数を占めたとされる、いわゆる「やらせメール」事件が発覚した。
九電関係者は、基本的に原発再稼働を願うのであるから、賛成意見をメールで送信したところで、その賛成意見自体に偽りはない。そのため、偽計業務妨害罪にも問い難い。それでは何が悪いのだろうか。今回は、その点について視界良好にしておきたい。その「読み解き鍵」はこうである。
今、日本社会では、4つの価値観が社会の基軸になりつつある。(1)公正、(2)透明性、(3)情報公開、(4)説明責任−である。日本社会で生起している社会問題は、この価値観に照らして判断すれば、視界良好になることが多い。今回のやらせメール事件は、これら4つの価値観全てに関わる問題である。
公正とは、一つには邪(よこしま)な心がないことである。九電関係者が九電の指示に従って関係者の身分を隠して一般市民として原発再稼働の賛成意見を送信したということは、組織ぐるみで原発再稼働の機運をこっそり高めようという邪(よこしま)な心があったと疑われるに十分である。
そもそも公正という価値を真に実現するためには、邪心があると疑われること、つまり、公正さを疑われることにも厳正な対処が必要である。今回の事件は公正という価値観を台無しにするに等しい。
次に、一番微妙なこの時期にかような「やらせメール」事件を起こすなど、九電のリスク管理能力の欠如にも甚だしいものがあるが、それはとりもなおさず、身分をあえて隠しながら賛成メールを送信するという点で、透明性という価値に反する。
さらには、原発関連企業に従事していない一般市民が再稼働にどのような意見を有しているのか、その正確な情報公開にも影響を与えている。ひいては原発再稼働に関する九電の考えを説明する際にも不信感がただよい、説明責任の真の履行も事実上難しく、説明責任という価値にも大きく背く。
かくして、今回のやらせメール事件は、日本社会の基軸になりつつある4つの価値観を大きく損ねることになり、極めて悪質なものと言わざるを得ない。「やらせ」という言葉は、させた側からすれば「やらせた」、させられた側からすれば「やらせられた」のあい重なる文字による造語ともいえよう。
将来、今を振り返った際、原発再稼働を「やらせた」あるいは「やらせられた」との気持ちを抱かせないためにも、今回の事件を重大視しなければならない。
大震災後の日本社会はいわば砂時計状態にある。無為無策状態のまま、無慈悲にも砂は落ち続けている。4つの価値観を充足した電力会社における言動を希求するゆえんである。
■若狭勝(わかさ・まさる) 元東京地検特捜部副部長、弁護士。1956年12月6日、東京都出身。80年、中大法学部卒。83年、東京地検に任官後、特捜部検事、横浜地検刑事部長、東京地検公安部長などを歴任。2009年4月、弁護士登録。座右の銘は「桃李言わざれども下自ずから蹊を成す」。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素14掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。