http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/609.html
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昔のNHKスペシャルのチェルノブイリ特集をみると、癌だけにとどまらず、多くの子供の体力低下や、妊娠異常、精神科的な問題の多発など、悲惨な現実が眼に入ってくるが、政府は長期的な内部被爆について、「ただちに健康に問題はありません」と述べるだけの壊れたレコードになっている。これは、裏を返せば、政府は長期的な問題については、知らないし責任も持てないと言っているに等しい。
ベラルーシでの内部被爆の影響についてまとめられた小冊子が翻訳され自費出版されているとの情報を木下黄太のブログから知った。「経験からではなく、歴史から学ぶ」ための非常に貴重な情報だと思うので、投稿。この問題は、経験から学んでいたら取り返しがつかぬ。以下引用。
http://blog.goo.ne.jp/nagaikenji20070927/e/caa4017e4453051f7853bfcc1c60b43c
ゴメリ医大の学長だった、バンダジェフスキー博士の「人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響-チェルノブイリの教訓 セシウム137による内臓の病変と対策-」を一読しました。バンダジェフスキーは死亡患者の解剖と、臨床研究などを通して、セシウムの影響を確信し、低線量の危険性を訴えたものです。どうやら、彼は低線量被曝は影響しないというベラルーシの政府方針に反したため、逮捕されています。(アムネスティが救援活動していますから、彼の置かれた立ち位置はおわかりいただけると思います)こういうことが、旧ソ連では、普通におきていて、大切な情報が隠蔽されているという事です。特に旧白ロシア、現在のベラルーシでは被害もひどかった事から、情報の隠蔽は大きかったということです。こうした、基本的な政治情勢も踏まえずに、正確な情報が完全にないから被害はないという妄想をのたまう人達は私には全く理解できません。こういう、バンダジェフスキーのような活動はまさに命がけの試みであるという現実です。この文献から主要なポイントをお伝えします。東北、関東エリアは当然のこととして、全国で福島第一原発事故の影響を懸念する人々にいち早く伝えるためです。
彼が主に行ったのは、1990年から99年にかけて、数千人の大人やこどもの健康についての研究、臨床、動物実験、遺体解剖です。
研究のポイントは、体の中に入った放射性物質の量を考慮して、医学的生物学的影響を見極める事。病理学的プロセスの研究。体内の組織・機能・代謝の変化を研究。体内の統合プロセスの不調のような病理学的状態の厳しさを査定し、このアプローチでここの器官による病理学変化を見極める。
こうした簡便に研究のポイントをまとめられている事も、しかもきわめて具体的にやるべきことを認識している事がわかることも、相当優秀な病理学者にしかできないことと僕は思います。
セシウムの問題点を彼がまず指摘するのは、水に溶けやすく、環境にすぐ拡がり、チェルノブイリ事故の数年後にかなり遠いエリアで検出された状況です。土から植物、人間や動物にはいります。チェルノブイリでは、牛乳、きのこ、ベリー、獣肉が極めて高い数字を出す可能性が高い。このときに、当時の政府がセシウムの基準を大幅に甘くした事で、人体のセシウムの蓄積を許した事を批判している。
セシウムの蓄積には男女で相違があり、ゴメリ州の住民の放射能測定などで、男性の身体の方により多く蓄積する傾向があるという。ただし、妊娠中の母体にはセシウム濃度が高くなることがあり、妊娠している胎児には直接は影響しないものの、出産後、母乳を通して体内に入る。
心臓血管系等にはどういう影響が出るのか。首都圏と同程度の被曝状況と推測される、放射線管理区域に当たるゴメリ州の子供たちを心電図検査し、心臓の動きに不調があるケースを調べている。これによると、セシウムの平均蓄積量30.32±0.66Bq/kgにあるゴメリの三歳から七歳の子供は蓄積量と心電図に比例関係があった。心室内の伝導不整と心筋代謝不調が原因とする。心筋にセシウムが大量にある場合は、さらに問題で、ゴメリ医大の突然死など四百件あまりの死亡データで、心臓欠陥病を疑われるケースで、心臓域のセシウム137の濃度は高く、136±33.1Bq/kgとなっていて、心筋の不調にセシウムが関与している証拠とバンダジェフスキーは考えている。
腎臓は排出に関与していて、ゴメリ州の子供の死者で調べた平均は、なんと645±134.9Bq/kgだった。肝臓も身体の代謝変化につながる基本器官。ゴメリ州で、急死の場合に肝臓を検査したところ、セシウム137の平均濃度は28.2Bq/kgで、このうち四割に脂肪過多の肝臓病か肝硬変の症状があったという。
女性の生殖系は下垂体、卵巣、子宮のホルモン状態が変化し、卵巣と月経が初期は特に不調になるほど敏感。チェルノブイリの事故の影響を受けた地域で、妊娠可能な女性の身体に入ったセシウムは月経サイクルの不調を招いていて、40Bq/kgを超えるセシウム137は影響があるとみている。濃度が高まるにつれて、女性の健康に影響を及ぼす。生殖器に付属する器官の炎症、月経サイクルの不調、子宮筋腫、さらに不妊。
妊娠した場合は母体内の蓄積は進む。胎児には防御が効いていて、セシウムは入りにくくはなっている。しかし、入った先天的な進化欠損が重要で、汚染地住民の中で増大している。
動物の体内にセシウムが63.35±3.58Bq/kgがあると、中央の神経系の各部位で影響があるという。神経系統は放射線の影響を最初にうける。
体内放射能のレベルが50Bq/kg以上のこどもは体内の器官や系に病理変化があり、心筋はセシウム137が20Bq/kgで記録されたという。
病気も増大している。1976年と1995年のベラルーシの比較。
悪性の腎臓腫瘍 男4倍以上、女2.8倍以上。悪性膀胱腫瘍 男2倍以上、女1.9倍以上。悪性甲状線腫瘍男3.4倍以上 女5.6倍以上。悪性結腸腫瘍は男女とも2.1倍以上。
放射線管理区域のゴメリ州は腎臓ガンは男5倍、女3.76倍。甲状線ガンは男5倍、女10倍。
また、1998年のゴメリ州の死亡率は14パーセント、出生率は9パーセント。妊娠初期の胎児死亡率が高く、新生児の一部は発育不全と先天障害者だったという。新家庭で多くが子供をもっていないという。
食料の汚染が継続している事から、ミンスクの子供は20Bq/kg以上のセシウム137濃度があり、子供の85パーセントが心電図に何らかの病理変化があるという。
バンダジェフスキー博士は結論として、チェルノブイリ事故により、放射能の病理的影響は多種多様で、数世代に及ぶという。セシウムが人体に入り込むと、わずかでもかなり危険で、既存の病気を悪化させ、合併症をおこすという。心筋には影響は大きい。セシウムや他の放射性同位体に起因する病理学的プロセスを身体全部で考えるべきとしている。
最後に彼は、「尽力できるものは状況改善にベストを尽くせ」という。そして「地球上で生命ほど貴重なものはない。私たちはその防護のために可能なすべてをなすべきである。」と話す。僕の基本的な思想とバンダジェフスキーの思想は、まさにシンクロする。今回、この文献を通読して、驚いたのはまさにこの点であって、これが、創設したばかりの「放射能防御プロジェクト」の考えでもある。こうした考えを少しでも共有する人々が、集い戦っていかない事には、日本は大変な事になると僕は思っている。国家予算の二割をいまだに放射能対策にあてなければ、ベラルーシは対応できないし、それは、日本の今後の姿でもある。安全な食料の確保が急務であることは言うまでもない。
追記 この文献は久保田護茨城大学名誉教授の翻訳および自費出版で出されている。今回の福島第一原発の緊急事態において、緊急自費出版をされていて、この情報が一人でも多くのひとに伝わる事を望んでおられる。久保田名誉教授の尽力に皆さんも感謝していただきたい。
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