http://www.asyura2.com/11/genpatu14/msg/593.html
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現在、牛肉の放射能汚染問題が大きな話題を集めているが、住民の被曝も、牛肉などの食材放射能汚染も、うっかりとか想定外といった話ではなく、経産省=菅政権が3・11以降ベースにしてきた“思想”に照らせば、極めて当然に拡大的に発生する放射能汚染だと言える。
戦前戦中の支配層の“思想”が「国体護持」(念のため天皇護持ではなく天皇をダシに使った支配層の護持)に集約されるとしたら、今回の震災で支配層が抱いている“思想”は「東電護持」と「財政緊縮」である。
「東電護持」と「財政緊縮」が政府の“思想”としてあるからこそ、
● 原発事故のレベルや被害を過小に説明する姿勢が貫かれ、被害状況を知るために重
要な様々な放射性物質や放射線の測定も、遅れ遅れで、調査範囲も限定的なものに抑え込まれた。
被曝した相当部分の住民は、賠償額=国家財政負担を増大させる住民避難や放射能除染などをできるだけ避けようとした国家政策の犠牲者である。
● 東電が債務超過にならないよう早期の賠償支払い対象も絞り込まれた。対象になった農家も損害賠償額がふざけた「逸失利益」で算定されしかも1/2のみの支払いになり、なぜか農協が立て替え払いをするハメになった。
(損害賠償額が「逸失利益」で算定されしかも1/2のみでの支払いを決定した審査会の第一次メンバーにはあの山下俊一氏がいる)
● 国家行政機構であれば予測が可能な様々な放射能汚染も、知らん顔で放置し、汚染が発覚してからやおら対処に乗り出すという恥ずべき転倒状況を繰り返している。
海洋や河川に生息する生物の汚染も本格的には調査せず、日本人の主食である稲(米)の汚染問題も収穫の秋まで放置しようとしている。
汚染がどうせ発覚するなら早く動いても同じなのにという疑問も出てくるかもしれないが、政府が現在の国会に提出している「原子力損害賠償支援機構法案」が成立する前に、東電の“賠償債務”が表立って増大する事態はできるだけ避け、判明するとしても後ろにずらしたいというのが政府の本音なのである。
「原子力損害賠償支援機構法案」が成立すれば、今回の福島第一事故の損害賠償は、東電の債務ではなく、支援機構の債務になる。
東電は、支援機構に対する一定額の負担のみが“債務”になり、本来負うべき“債務”からは逃れられる仕組みである。
「原子力損害賠償支援機構」を将来の原発事故(安全と口先ではいいながら事故を想定した法案)に向けた相互扶助スキームとしながら、会計を今回の事故とごちゃ混ぜにすることで、東電(株主&金融債権者)を救済する仕掛けにしている。
このような破廉恥な政策は、「原子力損害賠償支援機構法案」を閣議決定(6・14)したときの「援助には上限を設けず、必要があれば何度でも援助し、損害賠償、設備投資等のために必要とする金額のすべてを援助できるようにし、原子力事業者を債務超過にさせない」に如実に現れている。
東電を債務超過=倒産させないために、「援助には上限を設けず、必要があれば何度でも援助」するという閣議決定を原発事故の被害者が知れば怒り心頭であろう。
菅政権は、住民(国民)の健康や生命そして生活よりも、電力供給という面を考えても意味があるわけではない「東電護持」を優先させたのである。
飯舘村に象徴されるホットスポットを放置することで乳幼児から老人まで高い放射線に被曝し続けたり、あらゆるといってもいいほどの食材が放射能で汚染された事実が後追い的に発表され「食べても健康には害がない」と繰り返される事態は、すべて「東電護持」と「財政維持」に由来すると言っても過言ではない。
民主党よりも原発や電力会社に利権を持ち、東電の賠償支払い先送りに荷担する「政府仮払い法案」を提出した自民党が最大野党だから、このままずるずる審議が行われれば「原子力損害賠償支援機構法案」は可決する可能性が高いと思う。
みんなの党や自民党の一部勢力、そして、共産党や社民党の反対を後押しする国民世論の盛り上がりが重要である。
(浅尾代議士も質疑を大相撲中継を理由に中断したNHKは国会喚問されてもおかしくない。中断から5分ほどで質疑応答は終わるものだった。相撲なら、取組に合間があるからビデオでいくらでも見てもらうことができる)
通産省官僚は、「原子力損害賠償支援機構法案」に「東電護持」だけではなく、さらに、「原発存続」の仕掛けまで埋め込んでいる。
菅首相の「脱原発」宣言が無視され、NHKが大相撲放送のために中継をぶった切った7月12日の衆議院震災復興特別委員会でみんなの党の浅尾代議士が質した内容である。
(http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm)
詳細は、添付した質疑応答の内容を参照していただくこととし、要点を示す。
「原子力損害賠償支援機構法案」の三十七条には、「次に掲げる者(これらの者であった者を含む。)」とあり、これが負担をしていくと書かれている。
「(これらの者であった者を含む。)」というものの政府解釈は、原子力発電事業をやめた後も、燃料プールの中に核燃料がある限りにおいては保険料を払っていく意味であると。
それで、その核燃料を燃料プールの中から取り出すにはどこに持っていったらいいのかと問うたら、「六ケ所村」と答え、では、「六ケ所村」が引き受けなかったらどうするのかと問うたら、それに政府は責任を持たないと答えたという。
このようなことから、3月11日時点で原発を保有していた電力会社が「原発同盟」から離脱しようとしても、「原子力損害賠償支援機構」にはつなぎ止めるというえぐい内容であることがわかる。
※ 核燃料再処理システム関連での菅首相の重要発言
浅尾代議士の質疑を受けて、菅首相は、「実は、フランスに出かけたときに、フランスの方は、もしあれでしたら、自分の方で昔のように再処理を引き受けてもいいですよという提案もいただきました。ただ、それをお願いするとなれば、日本における再処理を半ばあきらめるという選択にもなってまいります」という重要な答弁もしている。
【7月12日衆議院震災復興特別委員みんなの党浅尾代議士質疑:前半及び後半は略】
○浅尾委員
さて、この原子力損害賠償支援機構法案、きょうもさまざま議論が出ておりましたけれども、第一条の「目的」、あるいは三十七条、三十八条を読んでも、これはどう考えても原子力発電事業を継続して行うことを前提に立てた法案だというふうに思えるわけでありますが、海江田大臣は多分違うお答えをされると思いますが、少なくとも菅総理は脱原発だというふうに言っておられるわけでありまして、そうだとすれば、この法案を、原子力事業を継続するということについてこういう書き方をされたというのは、ちょっとおかしいのではないか。
もし菅さんが脱原発だということであれば、菅総理がそういうふうにおっしゃるんであれば、この法案を少し書きかえるべきだと思いますが、菅総理はどのようにお考えになりますか。
○菅内閣総理大臣 先ほども他の委員にお答えしましたが、本法案の第一条の目的規定、「原子炉の運転等に係る事業の円滑な運営の確保」というのは、基本的には電力の安定供給と原発事故の収束を適切に行うことを確保する、こういうことを意味していると理解しております。
電力事業形態のあり方等を含むエネルギー政策については、今後予断なく検討を行うことといたしておりまして、今回の支援の枠組みでこういう表現があるからといって、そうした電力事業形態そのもののあり方の議論に予断を与えるものではない、こういう理解をいたしております。
○浅尾委員 お役所の書かれた答弁を読んでおられるわけでありますけれども、三十七条を見ますと、これは、「次に掲げる者(これらの者であった者を含む。)」というふうに書いてありまして、これが負担をしていくと。この「(これらの者であった者を含む。)」というものの解釈は何かときのう政府の当事者に聞いたら、これは、原子力発電事業をやめた後も、燃料プールの中に核燃料がある限りにおいては保険料を払っていくんだということでございました。
その上で、では、その核燃料を燃料プールの中から取り出すにはどこに持っていったらいいんですかと言ったら、これは六ケ所村ですと。では、六ケ所村が引き受けなかったらどうするんですかと言ったら、そこは政府は責任を持ちませんというきのうの段階での説明でありました。つまり、それは六ケ所の再処理のところと当該原子力事業者の間の相対の話であって、政府が介在するものではないという話でありました。
そうなってくると、仮に、私の顔が見たくないんだったら早くこの法案を通せ、再生可能エネルギーだというふうにおっしゃった法案がありますよね。あれをもしどこかの原子力事業者が、そうだ、この際、我が社だけは原子力事業から早く撤退しよう、再生可能エネルギーでもって積極的に投資をしていこうといって、その決断をしたとしても、結局、核燃料プールに使用済み核燃料がある限りにおいては負担しなければいけないということになるので、それはかつて菅総理がおっしゃったことと矛盾するのではないですかということで、先ほどの質問をさせていただきました。
その点についてお答えいただきたいと思います。
○海江田国務大臣 今度のこの機構の法律というのは、これから将来、原子力の事業者が事故があったときに相互扶助ということがございまして、今核燃料が、使用済み燃料がそのプールにあれば、何かそこで本当に安心かというと、やはり必ずしもそうでないんですね。
今度の東京電力の福島第一発電所の状況を見れば、既に四号炉は、これは炉の部分から燃料棒は抜けておりますが、それが、その上の使用済み燃料のプールに千六百本ぐらい入っております。これがなかなか温度が下がらなくて、今、大分安定をしておりますけれども、やはりこれにも注水を続けなければいけないということがありました。
それから、共用プールというのがございます。ここにも大量の燃料が入っておりまして、これがどういうふうになるのかということを大変私どもも気をもんだことがございまして、その意味では、原子炉から抜けましても、やはり共用プールなどにあるうちは、これは万々が一、あってはならないことでありますけれども、それが事故につながるという可能性は、全く一〇〇%ないと言い切れないわけでございます。その点をぜひ御理解いただきたいと思います。
○浅尾委員 私の質問はそういうものではなくて、幾つも電力会社はあります、ある電力会社が、この際、原子力発電事業から我が社は撤退をしようということを決めて、そして、では、その使用済み燃料をどこかに持っていこうと。どこかといったら、これは再処理施設のあるところに持っていく以外に今、日本の中にはありません。しかし、その再処理施設に持っていくための支援も政府の方でもない。そして、逆に、再処理施設をやっているところが、仮に、この再処理というのはまさに再処理なのであって、最終的な処分場じゃないから受け入れないとなったら、撤退しようと思っても撤退できない。
したがって、そのインセンティブが入っていない法案について、脱原発だとおっしゃっている菅総理はどういうふうに思われるのかという指摘なのであって、別に海江田大臣が言われたのはそのとおりですから、もう御答弁は結構ですから、菅総理に伺いたいと思います。
○菅内閣総理大臣 この条文の中身に関連して、浅尾委員が深く読み込まれた結果の一つの考え方だとお聞きをいたしました。
確かに、条文ということを超えて言えば、私も、今回の事故で使用済み燃料の方もどうこれから処理するのか。実は、フランスに出かけたときに、フランスの方は、もしあれでしたら、自分の方で昔のように再処理を引き受けてもいいですよという提案もいただきました。ただ、それをお願いするとなれば、日本における再処理を半ばあきらめるという選択にもなってまいります。
今、浅尾さんはそこまで言われたのかどうかわかりませんが、少なくとも、この使用済み燃料の問題をどうするかは、今回事故のあった原発だけではなくて、事故のないところでも同じように蓄えられている、中間貯蔵庫もまだ十分は動いていませんし、蓄えられておりますので、その問題は、極めて本質的な問題として存在しているという認識は私にもあります。
ただ、そのこととこの法案が、そこまで何か考えて、それが撤退ができないような仕組みとして規定されているというところまでは、もうちょっと私も研究してみますけれども、そこまで結論を持って私もそうだとは、ちょっと私の立場で言い切れません。
○浅尾委員 要は、原子力発電所をやめようというインセンティブが個別の電力会社に与えられていない法案だということを指摘したわけであります。
次に、菅総理は、私が初めて国会に当選をさせていただいたときに、当時の長銀、日債銀の特別公的管理ということがまさに言われているときの民主党の代表でございました。
私は、その法案の議論をするに当たって、当時民主党の代表の菅総理ともさまざまお話をさせていただきましたけれども、東京電力を単体で再生させる、他の電力事業会社を巻き込まないということを考えた場合には、さまざまな債務者がいる中では、もし東京電力が不測の債務超過になっていろいろなことが起きたら困るから、特別公的管理下に置いたらどうだろうか。かつての長銀、日債銀というのも債務者がいっぱいいました。それをきれいにするというか、不測の事態がないように特別公的管理ということを、まさに当時民主党の代表の菅現総理が当時の自民党に丸のみをさせたわけでありますから、同じ発想を今回の東京電力についてどうしてとらないのかということを伺いたいと思います。
○菅内閣総理大臣 まず一つの大きな違いは、御指摘の問題は金融危機のときでありまして、長銀、日債銀が破綻してしまうと、我が国ばかりでなく、日本発の世界金融恐慌を招きかねないという心配がありまして、そういう意味で一時国有化というスキームを民主党として提案し、今おっしゃったように、自民党の賛同を得てそういう処理をいたしたわけです。
東電についても、あるいはそういう選択肢も決してゼロだとは思いません。ただ、金融のときの世界金融恐慌といった要素は全く東電の場合はありませんので、それは別の意味で、この原子力発電所のリスクを一つの民間企業として負うことがいいのかどうかということを含めた現在の問題、あるいは近い未来の問題での選択の一つの考え方としては、一般論としてはあろうと思いますが、今御指摘の問題との性格はかなり違っている、こう思っております。
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