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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110720-00000301-playboyz-soci
運転停止中の玄海原発2、3号機(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐり、運転再開を誘導する「やらせメール事件」が発覚した九州電力。
その渦中、経営陣はさぞや反省し、再稼働に向けてより慎重な姿勢を見せているはず……と思いきや、その経営トップから記者を前にして「まさか!」の発言が飛び出した。以下にそのやりとりを再現しよう。
時は7月10日夜。発言の主は松尾新吾九州電力会長。自宅前に詰めた複数の記者に向けて、インターホン越しに取材に応じた際のことであった。まず、「玄海原発の今後の稼働方針」を問う質問に対しては、以下のように明言。
「玄海原発は再稼働するべきだと思ってます。再稼働しないことで、(火力発電の燃料費で)一日6億円のマイナス。日本国民が働いてためた国富が外国に流出している。すぐに運転再開して、そういう事態を止めたい」
――安全性については?
「十分に安全だと思っています。2号機は3月28日に、3号機は4月7日だったかな、運転再開の予定だった。その時点で、いわば車検が終わった車が手元にあるのに、それに『乗れない』というのはおかしいと思いませんか?」
そこで記者が「3月11日の大震災で、その車検(原発の安全審査)自体がズサンだったことが明らかになったのでは?」と問うと、「そんなこと、ありません! あなたがどれだけ原発の点検のことを知っているのか知りませんが、精緻を極めた厳しい検査なのです。よその国では運転中でもいいことを(日本では)止めて分解、厳しいチェックをしている。日本が一番厳しいのではないか。ズサンと言われても困る」と語気を荒らげるのであった。
一方で「菅総理が自家発電などの活用で夏を乗り切れる」と見込んでいることに対しては「それ(自家発電)がどれくらいあるのか、(経産省は)把握していないと思う」と返答。だが、実際には資源エネルギー庁が5300万kWあると発表済み。電力会社のトップでありながら、そうした数字が公表されていることを知らないようだった。
その翌日の11日には、九州電力の中村明・原子力発電本部副本部長が鹿児島県議会での聴聞に出席。そこで中村副本部長は、「やらせメールは原子力管理部の課長の独断だった」と説明したが、その指示をしたのは自分自身であると認めた。そして、中村副本部長に対して指示した人物については「上司」とだけ述べた。
こうしたことからの推察でしかないが、「やらせメール事件」の深層には「再稼働ありき」の松尾会長の意向を各段階で部下が思い量ったという部分があったのでなかろうか。
その松尾会長、冒頭の取材の最後には、記者陣に向けてこんな発言も残したのだった。
「(九州電力は玄海原発が再稼働しないために)500億円くらいの赤字になっています。(玄海原発を)稼働するように、あなたたちも言ってくださいよ。本当にお願いします。車検が終わった車に乗ってもいいじゃないかとみんなで言ってくれれば、明日からでも動くのです。ぜひ、そういうふうに(世論)誘導してください」
大事なのは安全よりもカネ勘定。そのうえ、世論誘導の依頼? 報道陣もナメられたモノである。
(取材・文/横田一)
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