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以下は、広瀬隆氏と明石 昇二郎氏が連名で東京地検特捜部宛に提出した、告発状のPDF 文書です。
http://www.olivenews.net/img/20110717pdf/indictment.pdf
告 発 状
東京地方検察庁 特捜部直告班
ご担当者 殿
平成23年7月8日
告発人 明石 昇二郎 印
同 広瀬 隆 印
当事者の表示
別紙「当事者目録」記載のとおり
第1 告発の趣旨
被告発人らの下記所為は、刑法第211条(業務上過失致傷罪)に該当すると思料されるので、徹底捜査の上、厳重に処罰されたい。
第2 告発の原因
1. 当事者
(1) 山下俊一(被告発人1)
被告発人1である山下俊一(以下「被告発人山下」という)は、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長の職にある医学者である。日本甲状腺学会理事長を務めると同時に、平成23年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所の重大事故を受け、福島県より「放射線健康リスク管理アドバイザー」に任命されている。
(2) 久住静代(被告発人2)
被告発人2である久住静代は、放射線影響学を専門とする医学者である。広島大学医学部医学科を卒業後、日米共同研究機関・放射線影響研究所臨床研究部副部長、広島大学原爆放射能医学研究所非常勤講師、(財)放射線影響協会放射線疫学調査センター審議役などを経て、平成16年4月より原子力安全委員会委員の職にある(常勤)。
(3) 国(文部科学省、被告発人3及び4及び15ないし17)
被告発人3である文部科学省(以下「文科省」という)を代表する大臣は、高木義明である。文科省は、教育の振興および学術、スポーツおよび文化の振興並びに科学技術の総合的な振興を図ることを任務とする国の機関である。
また、被告発人4である板東久美子は、文部科学省生涯学習政策局長の職にある国家公務員である。
被告発人15である山中伸一は、文部科学省初等中等教育局長の職にある国家公務員である。
被告発人16である合田隆史は、文部科学省科学技術・学術政策局長の職にある国家公務員である。
被告発人17である布村幸彦は、文部科学省スポーツ・青尐年局長の職にある国家公務員である。
(4) 国(原子力安全委員会、被告発人10ないし13)
被告発人10である原子力安全委員会(以下「安全委」という)を代表する
委員長は、班目春樹(以下「班目」という)である。安全委は、原子力安全・
保安院による安全審査等を精査・検証し、専門家の立場から、科学的合理性に
基づいて、安全確保のための基本的考え方を示し、改善・是正すべき点につい
ては提言や勧告を行なうことによって、行政機関や事業者を指導する国の機関
である。
被告発人11である久木田豊は、原子力熱工学を専門とする科学者である。
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了後、日本原子力研究所東海研究所安
全性試験研究センター原子炉安全工学部熱水力安全研究室長、名古屋大学大学
院工学研究科教授などを経て、平成21年4月より原子力安全委員会委員の職
にある(常勤)。
被告発人12である小山田修は、東京大学大学院工学系研究科修士課程修了
後、(株)日立製作所技師長、(独)日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研
究部門長、(独)日本原子力研究開発機構原子力科学研究所所長などを経て、平
成21年4月より原子力安全委員会委員の職にある(常勤)。
被告発人13である代谷誠治は、京都大学大学院工学研究科博士課程単位取
得退学後、京都大学原子炉実験所教授、京都大学大学院エネルギー科学研究科
教授(兼任)、 京都大学原子炉実験所長などを経て、平成22年4月より原子
力安全委員会委員の職にある(常勤)。
被告発人2及び11ないし13は、班目とともに安全委において提言や勧告
を行なう職務に就いている。
(5) 放射線専門家
被告発人5である神谷研二は、広島大学原爆放射線医科学研究所長の職にある医学者である。平成23年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所の重大事故を受け、福島県より「放射線健康リスク管理アドバイザー」に任命されている。
被告発人6である寺沢秀一は、福井大学教授の職にある科学者である。
被告発人7である長瀧重信は、長崎大学名誉教授の職にある医学者である。日本アイソトープ協会常務理事、放射線影響研究所理事長などを経て、現在は
国際被ばく医療協会名誉会長を務めている。
被告発人8である谷川攻一は、広島大学大学院教授の職にある科学者である。
被告発人9である高村昇は、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授の職にある医学者である。平成23年3月11日に発生した東京電力福島第1原子力発電所の重大事故を受け、福島県より「放射線健康リスク管理アドバイザー」に任命されている。
被告発人14である佐々木康人は、(社)日本アイソトープ協会常務理事の職にある科学者である。
また被告発人7である長瀧重信と被告発人14である佐々木康人は、平成23年4月15日付の首相官邸ホームページで「チェルノブイリ事故との比較」(http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html)と題する論評(書証6)を連名で発表し、原子力発電所の事故による健康への影響に関して「福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト以下になっているので、放射線の影響は起こらない」とする解説をしていたが、文科省をはじめとした各機関等の調査により、福島県内各地に「年20ミリシーベルト」を上回る地域が多数存在していることが確認されている。
2. 事故の発生
平成23年3月11日、東京電力株式会社が保有する福島第1原子力発電所1号機〜4号機で、安全対策の不備から多量の放射性物質の放出を伴う重大事故(以下「本件事故」という)が発生した。
本件事故によって福島第1原子力発電所の1号機〜3号機が炉心溶融(メルトダウン)し、1号機と3号機、4号機では原子炉建屋の屋根を破損する水素爆発が発生し、これまでに77京(77×10の16乗)ベクレルに及ぶ大量の放射性物質が環境中に放出された。
本件事故は、本告発時の平成23年7月8日現在もなお、収束しておらず、環境中に放射性物質を放出し続けている。
3. 被害の発生
本件事故による大量の放射性物質の放出により、10万人以上に上る原子力発電所近隣の福島県民が被曝し、かつEPZ(原子力防災対策を重点的に充実すべき地域の範囲。国の定める緊急時計画区域のことで、概ね半径8〜10キロメートル内の地域)を遥かに上回る原子力発電所から半径30キロメートル以遠の飯舘村、福島市、郡山市等に暮らす多数の一般市民、児童、生徒、学生までが大量の被曝に晒された。
4. 被告発人らの過失
この際、被告発人8である谷川攻一・広島大学大学院教授、同6である寺沢
秀一・福井大学教授らは、国から「放射線専門家」として福島県に派遣され、被曝した避難住民の除染レベルを13000カウント(CPM)から7倍以上の10万CPM以上に引き上げることに関与し、事故で被曝した市民にとって貴重な初期除染の機会を失わせたばかりか、住民の被爆実態を事実上隠蔽する役目を果たした。
また被告発人2である久住静代、同10の班目春樹ら安全委は、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」等を用いて、福島第1原子力発電所から放出された放射性物質による汚染がEPZ以遠の広範囲に及んでいる事実を早期に察知していながら、放射性物質による被曝に弱い子供らへの防御策を積極的に取らずに放置し、国が福島県に派遣した複数の「放射線専門家」らもまた、原子力発電所の近隣自治体に配備されていたヨウ素剤を服用する必要はないとして、子供たちにヨウ素剤を服用させなかったばかりか、特に被告発人1である山下、被告発人7である長瀧、被告発人9である高村、被告発人14である佐々木らは、放射性物質による福島県内の汚染実態を把握しないうちから「大丈夫」、「安全」との主張をし続けた。
これほどの本件大事故でもヨウ素剤が必要ないとするなら、必要になる時などないことになる。
特に被告発人山下らは、放射線専門家として子供らの安全を図る義務があることを認識していたにもかかわらず、その期間ずっと放置し、なおかつ可及的速やかに子供らを避難させなければならないにもかかわらず、一般市民、児童、生徒、学生らの避難と放射性物質による被曝からの防御対策をサボタージュした。
また安全委や山下らは、我が国の法令が定める「放射線管理区域」の汚染レベル(3か月当たり1・3ミリシーベルト。1時間当たりに換算して約0・6マイクロシーベルト)を5〜6倍も上回る汚染(1年当たり20ミリシーベルト。1時間当たり3・8マイクロシーベルト)をわずかでも下回れば「安全」であるとして、そうした地域に暮らす一般市民、児童、生徒、学生らの安全対策を怠った。「田中龍作ジャーナル」飯舘村 山下教授「洗脳の全容」(書証5)
(http://tanakaryusaku.jp/2011/05/0002408)によると、山下に至っては、飯舘
村全域が国から「計画的避難区域」に指定された4月11日直前の4月1日に
来村して講演し、「現在、20歳以上の人のガンのリスクはゼロです。ですから
この会場にいる人達が将来ガンになった場合は、今回の原発事故に原因がある
のではなく、日頃の不摂生だと思ってください」等の被曝安全説を触れ回って
いた。
あまつさえ、我が国の法令が定める一般公衆の被曝限度「1年当たり1ミリシーベルト」を「1年当たり20ミリシーベルト」にまで引き上げたことは、福島県民を高放射線量の汚染地帯から早期に避難させる機会を決定的に奪い、被曝防御策を否定したのと同義である。
すべての被告発人には、SPEEDIで汚染の事実を覚知した時に一般市民、児童、生徒、学生らの避難策を講ずべき作為義務があり、それを怠った過失がある。
そのため、今後こうした汚染地域に暮らしていた被曝住民らの中から、甲状腺がん等の健康被害が発生する可能性が極めて大きい。
第3 告発に至る事情
これまで述べてきたように、作為義務を怠ったことにより被告発人らは、被曝した一般市民、児童、生徒、学生の間で健康被害が発生する危険を増大させていながら、甲状腺がん等の健康被害は晩発性の症状が主であるため、被告発人らが証拠隠滅を図る恐れが大である。
従って、東京地検においては、いまだ事故が収束していない最中ではあるが、必要な証拠を保全し、公正な処罰が行なわれるよう、直ちに捜査に着手するよう促すために、敢えて本告発をするに至った。
以 上
立証方法
1 告発人 明石昇二郎及び同 広瀬隆の共著書『原発の闇を暴く』(集英社刊。2011年7月発行)
2 原子力発電所で発生する過酷事故の危険性を指摘してきた告発人明石昇二郎の著書『原発崩壊 誰も想定したくないその日』(金曜日刊。2007年11月発行)
3 原発事故の可能性と被曝のメカニズムを論証した告発人広瀬隆の著書『原子炉時限爆弾 大地震におびえる日本列島』(ダイヤモンド社刊。2010年8月発行)
4 福島第1原発事故による被曝のメカニズムを論証した告発人広瀬隆の著書『福島原発メルトダウン』(朝日新聞出版朝日新書。2011年5月発行)
5 田中龍作ジャーナル「飯舘村 山下教授『洗脳の全容』」
http://tanakaryusaku.jp/2011/05/0002408
6 被告発人7である長瀧重信と被告発人14である佐々木康人が、平成23年4月15日付の首相官邸ホームページで公開した「チェルノブイリ事故との比較」と題する論評
http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html
7 告発人 明石昇二郎 陳述書
8 告発人 広瀬隆 陳述書
9 別冊宝島『原発の深い闇』(2011年7月14日発売号)
添付書類
前記書証 各1
当事者目録
告発人 氏 名 明石 昇二郎
住 所
職 業 文筆業
生年月日
電 話
告発人 氏 名 広瀬 隆
住 所
職 業 文筆業
生年月日
電 話
被告発人 1 氏 名 山下 俊一
住 所 長崎市坂本1−7−1
長崎大学大学院 歯薬学総合研究科
職 業 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科長
(日本甲状腺学会理事長、福島県放射線健康リスク
管理アドバイザー)
被告発人 2 氏 名 久住 静代
住 所 東京都千代田区霞が関3丁目1番1号 中央合同庁舎 第4号館 6階 原子力安全委員会 職 業 原子力安全委員会委員
被告発人 3 氏 名 高木 義明
住 所 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号
文部科学省
職 業 文部科学大臣
被告発人 4 氏 名 板東 久美子
住 所 東京都千代田区霞が関3丁目2番2号
文部科学省
職 業 文部科学省生涯学習政策局長
(以下、住所など省略)
被告発人 5 氏 名 神谷 研二
職 業 広島大学原爆放射線医科学研究所長
(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
被告発人 6 氏 名 寺沢 秀一
職 業 福井大学教授
被告発人 7 氏 名 長瀧 重信
職 業 長崎大学名誉教授
(元日本アイソトープ協会常務理事、元放射線
影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
被告発人 8 氏 名 谷川 攻一
職 業 広島大学大学院教授
被告発人 9 氏 名 高村 昇
職 業 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授
(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)
被告発人 10 氏 名 班目 春樹
職 業 原子力安全委員長
被告発人 11 氏 名 久木田 豊
職 業 原子力安全委員長代理
告発人 12 氏 名 小山田 修
職 業 原子力安全委員
被告発人 13 氏 名 代谷 誠治
職 業 原子力安全委員
被告発人 14 氏 名 佐々木 康人
職 業 (社)日本アイソトープ協会常務理事
(前・放射線医学総合研究所理事長)
被告発人 15 氏 名 山中 伸一
職 業 文部科学省初等中等教育局長
被告発人 16 氏 名 合田 隆史
職 業 文部科学省科学技術・学術政策局長
被告発人 17 氏 名 布村 幸彦
職 業 文部科学省スポーツ・青尐年局長
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