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東松浦郡玄海町が玄海原発のプルサーマル受け入れに伴う核燃料サイクル交付金を活用し、本年度から着手した町道整備事業に疑問の声が上がっている。延長1・8キロで、総事業費は約20億円。町道の整備費は1キロ1億円が相場といわれ、通常の10倍に相当する。将来的には唐津市内を通って西九州自動車道に直結し、住民の避難道としても活用する計画だが、市側には西九州道へのアクセス整備の予定はなく、玄海町の構想に困惑している。
核燃料サイクル交付金は国から支給された60億円のうち、玄海町に30億円、県と隣接の唐津市に各15億円が配分された。
同町が整備を計画しているのは町道長倉−藤平線で、2003年に完成した農業用の藤ノ平ダムの管理道路(幅6・5メートル)を幅7メートルに拡幅、歩道も設置する。整備区間は1・8キロ、総事業費は概算19億5500万円。このうち15億2500万円が同交付金で、15年度の完成を目指す。
町道整備は工事が容易なら1メートル当たり10万円前後で済むというが、「ダムに隣接した道路の整備で制約が多く、山を削るなど費用がかさむ」と町財政企画課は説明する。
将来は現在建設中の西九州道北波多インターチェンジ(唐津市)と直結、産業用道路や災害時の避難道路として活用する構想。しかし、そのためには隣接する唐津市が少なくとも6キロ近く延長整備する必要がある。
市道路河川課は「玄海町から打診はなく、当面改修する計画もない。避難道とはいえ、付近に集落はなく、市が整備する必要性は見い出せない」と困惑気味。町は県の支援を期待して県道昇格を働き掛けているが、県道路課は「新たな県道昇格は考えていない」としており、今のところ見通しは立っていない。
同交付金は「地域振興につながる新規事業」が条件。自治体の使途はいきおい“ハコもの”に傾斜しがち。玄海町は既に薬草研究所と次世代エネルギーパーク整備に活用しており、町財政企画課は「新たな観光拠点ができる以上、アクセス整備は欠かせない」と強調。一方で、住民からは「交通量も少ないのに、今のままで十分。国から流れてくる大金を無理して使っている印象をぬぐえない」と疑問の声も漏れてくる。
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