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菅総理の「原発国有化」は世紀の愚策だ
http://news.livedoor.com/article/detail/5705822/
2011年07月13日02時00分 提供:木走日記
13日付け日経新聞紙面記事から。
首相「現実的な脱原発依存」表明へ 原発国有化も選択肢
きょう記者会見、電力不足対策は先送り
2011/7/13 2:00
菅直人首相は13日に記者会見し、原子力発電の依存度を引き下げる「脱原発依存」を表明する。再生エネルギーの促進と組み合わせ、従来のエネルギー政策の大幅転換を目指す。電力不足や電力料金上昇への具体策は先送りする。首相の新たな「延命策」との批判を招く可能性がある。
記者会見では「脱原発」ではなく「現実的な脱原発依存」とのキーワードを使う方針だ。12日の衆院東日本大震災復興特別委員会では昨年のエネルギー計画で示した2030年までに原発依存度を53%に引き上げる目標を撤回する意向を明らかにした。
全発電量に占める原子力の割合は3割弱。原子力の割合を短期間に引き下げた場合、電力不足に陥り、経済を直撃する。「現実的な脱原発依存」との言い回しは電力不足に配慮したものだが、本質的な解決策は後回しになる公算が大きい。
■数値目標見送り
首相は復興特委でも「一時的には化石燃料への依存が高まることがあり得る」と述べるにとどめた。稼働していない火力発電所や企業の自家発電といった「埋蔵電力」がどれだけあるかも分からない。首相周辺は「数値目標を含めた『脱原発依存』を掲げるのは難しい」と述べ、理念先行であることを認める。
首相は復興特委で、原子力発電事業の電力会社からの分離に加え、原発の国有化が将来の選択肢になり得るとの認識も示した。原発事故で巨額の損害賠償が発生することを念頭に「事故の(賠償責任という)リスクの大きさを考えれば、民間企業が担い得るのか」と指摘した。
首相は「各国の例も含めて、議論が必要になる」と語った。電力各社の原発事業を別会社化し、国が一元管理する可能性に言及したものだ。現行の原子力損害賠償法についても「大きな事故に対応できるだろうか。改正も議論しなければならない」と強調した。
(後略)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E3E0E2E09C8DE3E0E2E5E0E2E3E38297EAE2E2E2
菅直人首相は13日に記者会見を予定しており、そこで「現実的な脱原発依存」表明、かつ将来の原発国有化を視野に入れる旨も示す見込みだそうです。
原発国有化ですがこれは世紀の愚策だと考えます、ひとつは倫理面で東電はじめ電力会社の責任を国有化=国民の負担により転化する究極のモラルハザードであり、もうひとつは電力自由化の動きに180度逆行する点であり、つまり電力会社の地域独占体制をやめ発送電分離をし、発電事業は自由化、送電事業は公社化(ないし国有化)し、電力の健全な自由市場の形成と、電力の公共性・安定性を維持を目指すべきなのに、逆に発電事業である原発を国有化してどうするのでしょうか。
一部原発推進派の指摘では「電力自由化などしたらコストの高い再生可能エネルギーは電力市場から締め出される」との指摘があります。現状の発電コストを単純に比較すればいっけん正論ですが、この指摘は次の点を見逃しています。原子力発電の発電コストは確かに風力や地熱などよりも安いのですが、コスト計算に大きな3つの費用が抜け落ちています。
10兆とも試算されている今回の福島第一原発事故の賠償金、それと19兆という膨大な予算を投入するとされている「バックエンド」事業つまり六ヶ所村や高速増殖炉もんじゅなどの核燃料リサイクル事業、現在に至るまで処分方法や最終処分場すら決まっていない、すなわちどれだけ費用発生するのか試算すらできていない高濃度放射性廃棄物最終処分事業です。
実は上記の賠償金を除く2事業用資金としては、電力各社は「使用済燃料再処理等積立金」として約2兆4416億円、放射性廃棄物の最終処分に使う積立金も8374億円積み立てられています。これらの費用は原子力発電に伴う費用として発電コストに含まれてしかるべきですが除外されています。積立金原資は当然ですが電力料金に転嫁されており我々国民が払っているわけです。
日本はこれまで国策として原発推進政策を進めてきました。電源三法交付金制度により原発関連施設立地自治体に金をばら撒き、またこれも国策として核燃料リサイクル事業を推し進めてまいりました。すでにこの国の核燃料リサイクルは破綻寸前であります。
その中核施設である六ヶ所村の再処理工場は1993年これまでに約2兆1,900億円の費用をかけて、現在いまなお試運転中であり、本格稼動できていません。あいつぐトラブルによりその計画は18回も延期を繰り返してきたのです。同じく高速増殖炉「もんじゅ」はどうでしょう、1995年稼動わずか4ヶ月で事故を起こし、延べ1兆円の金をつぎ込んでも現在再稼動の目安はついていません。
核燃料リサイクル事業がほとんど回転(サイクル)していないがために、各原発の使用済み核燃料プールは行く先がなく満杯にちかくなっています。
これらの費用を発電コストに含めれば原発の発電コストは異常に高くなります。電力自由化をすれば、これまで国策で守られてきた原発は一発電手段となりますから、電源三法交付金も含めて上記の費用はすべて事業者負担になります。
電力自由化すれば、これまで別計上されていたこれらの膨大な費用もいやおうなく費用計上されますから、間違いなく原発は高くつくことになります。
原発は国有化するべきではありません。電力自由化こそ目指すべき道であります。原発所有事業者すなわち既存電力会社はその費用負担の大きさで原発の運用を考え直さざるを得なくなるはずです。電力自由化したら電力市場から締め出されるのは原発のほうです。
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