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クローズアップ2011:汚染牛肉 揺らぐ「流通品は安全」 自己申告に限界
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20110713ddm003040066000c.html
毎日新聞 2011年7月13日 東京朝刊
福島県南相馬市の畜産農家から出荷され、国の暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された黒毛和牛は、出荷時に公的チェックをすり抜け、流通先は11都道府県に拡大したが、なぜ事前に見抜けなかったのか。再発防止策として県などは全頭検査の方針を打ち出したが、果たして実効性はあるのか。問題点を探った。
「『流通している食品は安全だ』という前提が崩れかねない。極めて深刻な事態だ」。厚生労働省幹部は危機感を募らせる。
東京電力福島第1原発事故を受け、厚労省は4月4日、暫定規制値を超えた食品が流通しないよう、福島と周辺の11都県(のちに14都県に拡大)に対し、野菜や牛肉などの放射性物質検査計画の策定を指示。複数の市町村で規制値を超える食品が出た場合は出荷停止とし、「流通している食品は安全」と強調することで風評被害を防ぐ対策をとってきた。
一方、農水省も3月19日、放射性物質による汚染を防ぐため、屋内で保管された飼料を与えるなどの注意点を挙げて畜産農家を指導するよう福島県などに通知。県内の計画的避難区域と緊急時避難準備区域からの肉牛出荷前には、飼料が原発事故以前に収穫されたもので、屋内保管か、仮に屋外でもラップなどで包んで保管したものかなどを県に聞き取り調査させていた。
しかし、汚染牛を出荷した農家は、原発事故後に水田に野ざらしにされていた稲わらを牛に与えていたにもかかわらず、県の聞き取り調査に「問題なし」と回答。鈴木義仁・県農林水産部長は「農家の自己申告による限界」とチェック体制の甘さを認め、鹿野道彦農相も12日の閣議後会見で「農家に理解してもらえなかった」と、指導の不十分さを認めて反省の弁を述べざるを得なかった。
一方、この農家に同情する声も畜産関係者から漏れる。
肉牛の主な餌は稲わらと、トウモロコシなどを混ぜた配合飼料。1日当たり稲わらは1〜1・5キロ、配合飼料は10キロ弱が必要だが、震災直後は多くの飼料工場も被災し、農家は配合飼料の入手も困難になった。南相馬市内の肉牛生産農家の男性は「配合飼料で苦労しなかった農家はない。だれもが精いっぱいだった」と振り返る。
会津地方と違って降雪が少ない南相馬市では稲わらを水田にそのまま置くことも少なくない。同市の農家の男性(78)は「牛のえさが足りない状況になった時、それを使わなければいいが」と懸念する。【佐々木洋、佐藤浩、種市房子】
◇全頭県内検査、施設不足も
「市場に出回る福島牛を安全・安心とみてもらうには全頭検査しかない。政府と東電の責任でやってほしい」
県内約4300戸の肉牛生産農家は、早急な全頭検査態勢の確立を強く要望した。
それまでの検査は、出荷前に牛の体表の放射線量を調べるスクリーニング検査と、食肉処理場で肉の中の放射線量を調べるサンプル検査。「全頭」は、このサンプル検査の対象を、計画的避難区域と緊急時避難準備区域の農家約260戸から出荷される全ての牛に広げるものだが、これまで県外で処理していた牛を県内で処理して検査する必要がある。
だが、県内で牛を食肉処理できる施設は郡山市の「県食肉流通センター」のみ。1日平均処理頭数は10頭程度で、最大処理能力は36頭でしかない。
全頭検査の対象となる肉牛を、県は年間約2000頭程度とみるが、出荷時期が重なると処理能力を超える恐れがある。県畜産課は「放射性物質の検査方法より、食肉処理場の受け入れ容量の方が大きな問題だ」という。
JA福島の幹部の一人は「理想は県内で安全確認を全て済ませて外に出すこと」と話すが、出荷調整など順番を待っていられない事情もある。「良質のものは平均1頭100万円の値がついていた」という県産和牛は原発事故後に70万〜80万円程度まで下がり、今回の問題が表面化した週明けには1頭50万〜60万円台まで下落した。「値下がりで一日でも早く出荷したいというのが本音」と訴える農家もおり、出荷調整となった場合には難航も予想される。【神保圭作、川上晃弘、野倉恵】
◇セシウム、尿で排せつ
独立行政法人「農研機構・畜産草地研究所」(茨城県つくば市)によると、放射性セシウム137の半減期は約30年だが、尿を通じて排せつされるため大人の牛は約30日、子牛は約50〜60日で半分になる。研究所は「ほぼ1カ月ごとに半分になるので出荷時期を遅らせれば量を減らせるが、老齢になれば商品価値は下がる」と話す。
セシウムが人の体に入るとどうなるのか。林正信・酪農学園大教授(放射線生物学)は「100日程度たてば半分が排せつされる。毎日食べ続けなければ過剰に心配する必要はない」と指摘。伊藤伸彦・北里大教授(獣医放射線学)によると、汚染された牛もきれいなエサを与え続ければ数カ月間で放射性物質は排せつされ、汚染はほぼなくなるという。【小島正美、五味香織】
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