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原発:新安全評価 「体制強化を」「根拠不明」 専門家ら注文
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110711dde007040103000c.html
毎日新聞 2011年7月11日 東京夕刊
東京電力福島第1原発事故後、運転を停止している原発の再稼働について政府は11日、新たな安全評価の方針を示した。欧州連合(EU)のストレステスト(耐性試験)を参考にした評価法だが、専門家からは「(評価に加わる)内閣府原子力安全委員会の体制強化が不可欠」「これで安全が確認できるとはいえない」など注文の声が相次いだ。
財団法人・エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長(原子力工学)は「原子力安全委員会を積極的に評価に関与させるのなら、(スタッフが約100人で保安院の約8分の1である)体制も強化しなければ、保安院へのチェック機能は形骸化する」と指摘した。
原子力資料情報室の西尾漠・共同代表は「安全評価の項目など中身が不明な段階で、これをクリアしたら再稼働が可能だとなぜ言えるのか分からない。なぜ再稼働のためにテストが必要なのか根拠も不明だ。そもそも、電力需給と安全性の確認は切り離して考えるべきだ」と話した。
奈良林直・北海道大教授(原子炉工学)は「政府はすでに全原発で緊急安全対策を実施しているが、その項目はすでにEUでのストレステストの内容を網羅している。緊急安全対策を実施した際に原子力安全委員会も参加して、もっと国民に内容を説明すべきだった。政府はストレステストで原子力安全委員会が妥当性をチェックするとしているが、現在の委員会は体制が貧弱であり、広く学会などの意見を聞き、技術支援を強化すべきだ」と述べた。【岡田英、久野華代、中西拓司】
◇
原発:2段階で安全評価…「1次」で再開判断 政府見解
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110711k0000e010034000c.html
毎日新聞 2011年7月11日 11時34分(最終更新 7月11日 14時23分)
政府は11日午前、原発の安全性確認に関する統一見解を発表した。定期検査で運転停止中の原発については設計上の想定を超える地震や津波などにどの程度耐えられるかを比較的短期間で確認する「1次評価」で再稼働の可否を判断。そのうえで、運転中も含むすべての原発を対象に、新たな基準に基づき、「2次評価」によって運転を継続するかを判断する2段階方式とした。
◇安全委の関与明記
統一見解は枝野幸男官房長官と海江田万里経済産業相、細野豪志原発事故担当相の連名で、枝野氏が11日午前の記者会見で発表した。菅直人首相が運転停止中の原発を再稼働させる条件としてストレステスト(耐性試験)の実施を指示したことには、政府・与党内に異論もあったが、統一見解は「欧州諸国で導入されたストレステストを参考に、新たな手続き、ルールに基づく安全評価を実施する」として再稼働前の1次評価実施を明記した。
再稼働の検査はこれまで経済産業省原子力安全・保安院が行ってきたが、首相は内閣府の原子力安全委員会も関与するよう指示。新たな安全性の確認作業は(1)安全委員会も関与して保安院が評価項目・評価実施計画を作成(2)電力事業者が安全評価を実施(3)その結果を保安院と安全委員会がダブルチェック−−という手順で行う。
運転停止中の原発については暫定的な安全基準を作成し、基準をクリアした原発から再稼働できるようにすることで電力供給の確保を図る。稼働中の原発に対しては、欧州連合(EU)が6月から導入したストレステストや東京電力福島第1原発の事故調査・検証委員会の状況を踏まえた安全基準を改めて作成する。
枝野氏は会見で、1次評価の基準について「週単位ではなく日単位で判断する」と述べ、早ければ週内にも作成するとの見通しを示した。一方で、評価の開始・終了時期のめどについては「できるだけ早いことが望ましいが、第三者機関である安全委員会に『いつまでに結論を出せ』と言ったのでは、1次評価をやる意味がなくなる」と明言を避けた。
民主党執行部は首相の退陣時期を8月末と想定しており、それを前提にすれば事実上、首相在任中の再稼働は難しいとの見方も出ている。【影山哲也】
原発安全評価の流れ
http://mainichi.jp/select/seiji/news/images/20110711k0000e010078000p_size6.jpg
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