http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/878.html
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菅首相は、3.11原発事故によりまき散らされた放射能に関して、避けられる被曝に適切に対応せず国民(住民)を過剰に被曝させた“重犯罪者”である。
そのような彼が、6月2日の「内閣不信任決議案騒動」を契機に、孤軍奮闘に近いかたちで“脱原発”への道を模索し始めたように思える。
“脱原発”とは言えないまでも、菅首相が、原発に関わる既存方針と明確に決別する意志を見せたのは、「原発事故担当大臣」なるポストを新設し細野氏を任命したときである。
原発に対する規制や原発事故への対応に関する法律に、そのようなポストが入り込む余地はない。
内閣総理大臣と経産大臣(その指揮下にある原子力安全・保安院)そして原子力安全委員会については原発やその事故への関わり方が法律で規定され保証されているが、細野原発事故担当大臣に原発に関して法律で保証された権限はなく、首相補佐官となんら変わらぬ権限しか有していない。
しかし、そのような立場でありながら、会期延長後久しぶり開催された衆参の予算委員会では、原発事故や定期検査終了後の再稼働について“担当大臣”として越権とも言える答弁を数多く行った。
その答弁と菅首相の答弁の内容から、細野原発事故担当大臣は、“原発事故と原子力安全委員会”を担当する立場であり、経産省&原子力安全・保安院&資源エネルギー庁に対抗する行政権力の確立を目指すポジションとして内閣に送り込まれたことが見えてくる。
事故担当=安全担当というロジックで、原発推進行政を原子力安全委員会の権限を使って抑え込んでいくという発想である。
端的に言えば、原子力安全・保安院や資源エネルギー庁の代弁者である(海江田)経産大臣の職責を浸食するために置かれた大臣である。
海江田経産大臣は一昨日(6日)「玄海原発再稼働騒動」を建前にそう遠くない時期に辞任することを示唆したが、このような“仕打ち”を受ければ辞任の意思を持つのは当然だろう。菅首相が続く限り、後任の経産大臣は、原発事故担当大臣と権限を分かち合うことを承知の人でなければ務まらないことになる。
(かといって、原発事故担当大臣を経産大臣と兼務にする“愚”は犯さないだろう。それは、経産省官僚に取り込まれ、たんなる経産大臣になってしまうことを意味するからだ)
復興基本法の成立でただでさえ少ない大臣枠(17名)がぎちぎちになり、江田法務大臣が環境大臣を兼任し、蓮舫さんが首相補佐官に更迭される事態になることを承知で原発事故担当大臣を新設するほどのこだわりだったのである。
その予兆とも言える動きは、6月17日に行われた参議院復興特別委員会の質疑で、これまで福島第一原発事故の原因を津波としてきた態度から、「原因不明」を言い出したときであろう。
TV局や新聞は、菅首相が定期検査終了の原発再稼働について発言がブレてきたかのように言っているが誤りである。
6月17日の参議院復興特別委員会で社民党の福島党首の質問を受けて、菅首相は、「まあ、今回の事故で全電源が落ちたこと。そして、それを本来ならカバーすべきディーゼルが動かなかったこと。津波で動かなかったこと。また今ご指摘のように地震そのもので、どの部分が大丈夫であったか、あるいは、どの部分に損傷があったのかということは、その後の津波の影響ではっきりとしない状況にあることなど、非常にそういった意味で、今回の検証はまだまだこれから本格的に始まると、このように理解しております。そのいうなかにあって、再稼働については、安全性と言うものをまずしっかり確保することが大前提であり、そのうえで、一方での電力需要といった問題もありますが、何をおいても安全性の確保というものが重視しなければならないということは私はその通りだとこう考えております」と答えた内容がこの間の一貫とした立場なのである。
6月17日の国会論戦を取り上げた投稿で、「巷間「津波原因説」が伝わっているなか、政府が“事故原因は不明”との答弁(公式見解)したのは一大スクープであるにも関わらず、腐り切っている大手メディアは国会でのこのやりとりをまったく無視している」と書いたが、そのような姿勢で報道しているからこそ、国民のある部分も再稼働問題で菅首相がぶれているかのように誤解するのである。
大手メディアは、「ストレステスト」問題絡みで原発推進派に肩入れして電力供給不足を煽っているが、自家発電の活用と電力需要削減に関する少しの工夫で解決できる話である。
自民党は“熱中症”まで持ち出して原発再稼働の遅れを問題視しているが、“節電”の過剰な宣伝こそが“熱中症”多発の元凶である。
「全原発 ストレステスト実施へ (NHK) 菅総理が海江田経産大臣に5日夜遅く指示」
(http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/824.html)のコメント欄に、
「他もうまくいくかどうかはわからないとしても、とりあえず、再稼働の“先鞭”を玄海原発で付けたかに思えたタイミングで唐突に「ストレステスト」を持ち出したのは、菅首相が原発依存に見切りを付けたということだろう。
誰の入れ知恵なのかわからないが、官僚機構と正面切ってことを構えるのではなく、抵抗しにくいネタでじりじりと原発の再稼働を引き延ばし、全原発が運転をしていない状況を作り出してしまおうと考えているようにも思える。
大躍進政策の大失敗で失権した毛沢東は、形式的序列一位の権威を背景に“クーデタ”を起こし「文化大革命」なる手法で実権を奪還したが、菅首相は、6月2日の“内閣不信任決議案事件”を契機にある種吹っ切れて、微妙なレベルながら「脱官僚・政治主導」を模索しているのかもしれない。
3月11日以降の原発事故対応及び震災復旧復興政策の誤りを許すことはできないし、「税と社会保障の一体改革」なる日本破壊政策も認められないが、“脱原発”への思いがあるように見えるから、しばらくは様子見をしてみたい。
今回の「ストレステスト」要求は、TVや新聞が「脱原発解散」もあり得ると言っていた情況の一端なのかもしれない。
内閣不信任決議案が否決された国会の延長であり、ただ早くやめて欲しいというだけの反対勢力との対峙関係のなか、長く居座るつもりはない菅首相の“独断”を止める手立てはないだろう。
“脱原発”はほぼ間違いなく世論でもあるから、菅首相のそれに向けた動きを力づくで止めようとする政治勢力は自ら墓穴を掘ることになりかねない。
NHKニュースで、玄海町の岸本町長が「小バカにされたようだ」という感想を漏らしていたが、今回の「ストレステスト」は、経産大臣が「国が安全を保証する」とミエを切り、それを受け止めた岸本町長が「再稼働を容認する」と勇ましく語ったあのやりとりを一気に茶番劇に貶めたことは事実だ。」と書いたが、不謹慎を承知で、日本では滅多に見られない、原発を巡っての権力闘争の行く末に興味津々である。
「ストレステスト」に関しては、昨日の参議院予算委員会で自民党(片山さつき氏)が安全重視はいいことだがそれならもっと早く打ち出すべきだと言ったくらいで正面切った反対の声は上がっていない。
「ストレステスト」への反対や疑念の声は、“再稼働のお墨付き”になりかねない懸念から、脱原発派側から上がっているように思える。
菅首相に誰が助言しているのかわからないが、「ストレステスト」なるものを5日に持ち出したのは、玄海原発の再稼働の機運が高まった時期を見定めての所為であろう。
経産省にぎりぎりまで活動させたあげく土壇場でひっくり返すことで、“再稼働の引き延ばし”を目一杯実現する作戦である。
6日と7日に行われた国会での菅首相の答弁を聞いたが、原子力安全・保安院に対する極めて根強い不信感がにじみ出ていた。
(一頃に比べれば、菅首相の国会での答弁ぶりに元気が戻ってきている)
3.11以降最高責任者として原子力安全・保安院の事故への対応ぶりを目の当たりにし、ちょっと調べればわかる原子力安全・保安院のデタラメな規制ぶり(それが今回の事故の遠因でもある)を知った権力者にわずかでも良心が残っていれば、彼らに原発の管理監督を委ねることはできないと考えるのは当然である。
いずれにしろ菅首相の残された在任の日々は少ないと予測する。
日本政府の脱原発への模索に対して米国政権がどのような反応を見せるか知りたいという気持ちや脱原発への道筋を確固たるかたちで付けて欲しいという気持ちも強いが、菅首相は8月いっぱいで辞任すると思う。
ウルトラCは「脱原発解散」だが、以前にも書いたことだが、最高の国権機関である国会を内閣が一方的に軽んじる行為であり、天皇を政治的に利用する行為でもあり、与党を利するために情況を利用するものでしかない「七条解散」は憲法違反であり承服できない。
※ 「七条解散」とは、六十九条の衆議院の内閣不信任案可決(内閣信任案否決)を経ないで内閣総理大臣が天皇の国事行為を悪用する衆議院の解散。最高裁判所は統治行為論で違憲判断を避けた。
辞任までの残り少ない期間で原発が安易に稼働できない体制を作り上げて欲しいというのが、菅首相に対する率直な願いだ。
田中角栄氏の後を継いだ三木武夫氏以来久々に党内支持基盤が脆弱でも、内閣総理大臣である限り、たいそうなことができるという現実を見せてもらっている気がしている。
※ 参照投稿
「事故で最大の“風評”は「津波原因説」:『政府公式見解』は「原因不明」!:それでも原発を再稼働させようとする狂気」
http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/142.html
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