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政府の原発再稼働対応チグハグ 背景に首相の思惑 国民生活や原発立地県に配慮ゼロ
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110707/plc11070701410005-n1.htm
2011.7.7 01:38 産経新聞
深刻な電力不足が懸念される夏を迎えたが、政府の原発再稼働に対する方針が定まらない。九州電力玄海原発(佐賀県)の再稼働に向けた働きかけをしたにもかかわらず、今度は突然、安全検査「ストレステスト」の実施を発表した。中部電力浜岡原発(静岡県)の運転停止では主導権を発揮した菅直人首相は佐賀県の古川康知事との会談を拒否するなど、再稼働に後ろ向きの姿勢を示している。
「立地自治体は政府の誰の言葉を信用していいかまったくわからない状況になってきた」
ストレステスト導入について古川知事は6日夜のNHK番組で、困惑を隠さなかった。唐突な発表に驚いたのは古川知事だけではなかった。ある経産官僚は「中身や経緯については知らない」とこぼしており、事務方の大半は寝耳に水だったようだ。
閣内ではストレステストの実施は必要との認識で一致していたものの、玄海原発でも実施することに強くこだわったのは首相だった。運転再開を目指していた海江田万里経済産業相は慎重だったが、首相が押し切った。
首相はインターネット中継した6月19日の国民対話の時は、定期検査で停止中の原発の再稼働について、「安全性が確認されたら順次再稼働していくと海江田氏が言ったが、私もまったく同じだ」と語っていた。
ところが、その後「脱原発派」に傾斜していった首相は、原発の再稼働要請をめぐり、海江田氏から、電力の安定供給に関するメッセージを発するよう要請されても「自分は言いたくない。言うべきではない」と拒否した。
海江田氏は首相に古川知事と会談するよう要請したが消極姿勢を貫き、結局、枝野幸男官房長官が代役を務めることになった。
5月に浜岡原発の停止を要請したときには、海江田氏の記者会見の予定を取りやめさせ、自身が記者会見で発表して“手柄”としたのとは対照的だ。
背景には、玄海原発再開に手を貸すと「脱原発の旗手」としての地位を失い、ひいては延命をかけた「脱原発解散」カードも手放すことになりかねないという首相の思惑と計算がありそうだ。だが、首相の自己都合に基づく短兵急で場当たり的な安全対策が、原発再開にいったんは理解を示した地元の反発を招いた。
「首相は国家戦略担当相時代には、再生可能エネルギーなんてまったく関心を示さなかった」
元政府高官はこう指摘する。各種世論調査で浜岡原発の停止要請が評価されると、再生エネルギー特別措置法案の成立に俄(が)然(ぜん)意欲を示すようになったという。そこには国民生活や原発立地県への配慮はまったく見えない。(小田博士)
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