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ここは地獄、そして国民は何も知らない 流れ出す放射能汚染水 福島第一原発 現場からの内部告発
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2011-07-07 週刊現代:「日々担々」資料ブログ
溶けた核燃料を冷やすため、3ヵ月以上にわたって注入された水は、11万tを超える超高濃度汚染水へと姿を変えた。危機が、次の危機を招く。いつ果てるとも知れない恐怖、それが原発事故なのだ。
人間は近寄れない
「工程表は、ほぼ予定通りに進捗している」東京電力の武藤栄副社長(原子力・立地本部長)は、6月17日の記者会見で、そう言い放った。
政府・東電による福島第一原発の事故処理の「工程表」では、7月中旬までに「原子炉の安定冷却を行う」としている。期限まであと1ヵ月足らず。武藤氏は「できる」と公言した。
しかし、メルトダウンした原子炉の処置が、そんな短時間でできるのか。
<1ヵ月で循環冷却するって?どうしてできるのって思う。……どうやったら1ヵ月でできるのか、解らないよ>(6月17日)
東電幹部に、そう異議を唱える人物がいる。しかもその人物は、福島第一原発の現場で実際に復旧に当たっている作業員の一人だ。
東電と政府は、「原発事故は収束する」とのアピールを繰り返している。したがって、それを鵜呑みにしている国民も多い。だが実際に作業に当たっている人々からすれば、実態は「収束」とは程遠い。
<問題@夏場の作業員の働く時間を制限する?時間が短いってことは人海戦術ってこと。どこに作業員の余裕があるのかなぁ?問題A1〜3号機の原子炉建屋は高線量なのに、被曝管理、制限する?どこにいっぱい作業員がいる?>
勘違いして欲しくないのは、循環冷却って言っても燃料貯蔵プール(SFP)の冷却と原子炉内(RPV)の冷却は違うってこと>
〈RPVの循環冷却は、まだメルトダウンした燃料の現況は把握してないし、ルートもまだ検討してる段階だから非常に難しい〉
福島第一原発事故は、事故後100日を超えて、新たな段階を迎えた。メルトダウンした核燃料を冷やすために注水されてきた大量の水が、いまや超高濃度汚染水へと変わり、溢れ出そうとしているのだ。
そうなれば、すでに取り返しのつかないレベルに達している周囲の環境汚染、地下水の汚染、太平洋の海洋汚染が、さらに劇的に悪化する。そのうえ、そんな高濃度の汚染水が溢れた場所には、人間が近寄ることすらできない。
この危機を回避するため、東京電力が立てた対応策は、汚染水の浄化処理システムを突貫工事で構築し、放射能の濃度を下げた水を循環させ、原子炉を冷やそうというものだ。
ところが、頼みの綱のその計画が、脆くも頓挫しようとしている。肝心の浄化システムが、期待通りの性能を発揮するのかどうか、怪しくなってきたのだ。
実はこの汚染水処理プランに対しても、前出の「現役作業員」は疑問を呈していた。彼を、仮に「ラッキー」氏としよう。彼が「告白」をしたのは、ツイッター(Twitter)上でのこと。ラッキー氏は、自分が原発の復旧作業に向かうのに合わせ、ご本人曰(いわ)く「日記代わり」にツイッターに登録。以来、作業現場で起きたこと、思ったことを定期的に呟いている。
同氏は東電社員ではなく、関連企業の作業員だ。しかし、その呟き(ツイート)を読むと、原発での作業経験と知識が豊富で、現場ではリーダー役も任される優秀な技術者であることがわかる。
今回、本誌はこのラッキー氏の呟き=告白の一部を誌面上で紹介する。同氏の呟きは、東電が公表しない原発事故の過酷な実態、驚くべき「フクシマの真実」を極めてリアルに伝えている。政府・東電の発表する事実以外に、情報ルートはきわめて限定されているが、その意味でもこの「内部告発」は貴重だ。
そして何より、ラッキー氏自身、「呟けるだけ呟く」と宣言した上で、過小評価と楽観論を繰り返す政府・東電をこう批判している。
<東電や政府は楽観的な態度や推測を国民に伝えるのではなく、事実をありのままに、苦慮してる所は理由をしっかり説明するべきだと思う。国民の判断は人それぞれであり、国民の顔色を窺いながら、計算しながらの発表はしてはならない>(6月4日)
リミットは7月4日
ラッキー氏の呟きは、いわば「国民の知らない地獄」を伝える重要証言なのだ。
6月22日、ラッキー氏は汚染水処理の問題について、こう呟いている。
<汚染水処理能力が100分の1だって、あり得ない!……こりゃみんな被曝してホントに作業員いなくなっちゃうぞ!>
この日、福島第一原発の汚染水処理にトラブルが発生した。米国キュリオン社のセシウム吸着装置が想定通りの性能を発揮できず、システムの本格的稼働が遅れるというのだ。
汚染水の処理は、次のような手順で行われる。
@東芝の装置で油分を分離
↓
A米国キュリオン社の装置でセシウムを吸着
↓
Bフランス・アレバ社の装置でさらに放射性物質を除染
↓
C日立などの装置で淡水化。
ところが6月17日に本格運転を始めたところ、5時間ほどでキュリオン社の装置が停止。また、21日にはアレバ社の装置でポンプに不具合が発生。再度、試運転を始めた矢先の22日に、またもキュリオンの装置で「想定の100分の1程度しか放射性物質を除去できない」というトラブルが発生した(翌23日になり、東電は「パイプを開閉する弁が開いていたため、汚染水の流れが偏っていた」などと発表。再び試運転を開始)。
もともと、ラッキー氏は汚染水処理について、こう危惧を表明していた。
<汚染水を溜めているプロセス建屋(集中廃棄物処理施設のひとつ)の地下は津波で地下1階の上部まで海水が溜まってた所で、オイラ達が止水工事した時も床は海砂と流れて来た機材、ケーブル、照明、靴等々、あと魚のボラが数え切れないくらいあった>
<それを片付ける時間も与えられず突貫工事で(浄化システムの設置を)終わらせた。そんな場所から汲み上げ移送するのだからゴミはポンプに詰まるしフィルターはすぐ詰まっておかしくない>(6月18日)
東電は当日、「システムの本格的稼働が遅れる」との発表を会見で行ったが、ラッキー氏はこう語る。
<サイトバンカー(線量の高い放射性固体廃棄物を保管する施設)地下に移送しても(汚染水が溢れるまでの)リミットはたぶん7月4日くらいで、雨が降るともっと早くなるはず>(6月22日)
本誌が、米国カリフォルニア州に本社を置くキュリオン社のCEO、ジョン・レイモント氏を直撃すると、同氏は「システムに問題はない」としてこう話した。
「汚染水にはヨウ素とセシウムの他、ストロンチウムも含まれています。東電からはセシウムの濃度を1000分の1以下に低減するよう要請されていますが、我々のシステムは、その要請以上に減らすことができている。今起きているのは、システムへの習熟不足による単純なヒューマン・エラーで、トラブルが起きるのは自然なことです」
ただ、6月22日午前7時の時点で、2号機のトレンチの水位は、地表まで243ミリ、3号機は122ミリ。雨が降ると、この水位は一日で20ミリ以上、上昇する。果たして習熟≠待つ余裕があるのかどうか。
手がつけられなくなる
しかもラッキー氏によれば、システムは一旦トラブルを起こして停止すると、復旧作業も容易ではない。
<アレバ、キュリオン、東芝のシステムは一度水が入ると人が近づけないためフィルター交換も遠隔(操作)で行います。それもスムースにいくのか?また日立の淡水化システムのフィルター(交換)は人力で行います。計画だとフィルターが1mSv/h程度だといいますが本当にそうなのか?ポンプが故障したら?>
<心配な事ばかりです。こんな短時間の計画で全てのリスクを考えているとは思えません。そうなった時はまた作業員の被曝が増えるのです>(6月6日)
作業の進捗、作業員の安全と保護が綱渡り状態になっているのは、メンツにこだわり、「工程表達成」に固執する、政府や東電本体に問題があるという。
<今日だって汚染水処理システムの試験の発表があったが、まだその段階ではないのに発表してるし、その理由は明日から細野(豪志・首相補佐官)が海外に行くため行く前に(発表)しないと駄目だからなんて言ってる>(6月9日)
現場と東電本店サイドの溝も深いようだ。同時に、東電本店の裏にいる原子力安全・保安院及び政府への不信感が、現場に広がっていることも窺わせる。
<保安院が線量超過について東電に対し『遺憾であり原因究明と再発防止……』って何言ってんだ。(作業員が大量被曝した事故初期に、現場の)東電社員や企業の作業員は命懸けで何とかしなきゃってやったのに!>
<被曝とか内部取り込みとか管理できるはずないだろっ!管理して、次の人いませんって爆発して手に負えませんからですむのか?>(6月13日)
<厚労省がまたバカな指導をしてきた。7、8月の午後2時から5時は原則として作業しないようにだって。現場にいて一番暑い時間帯は午前11時から3時前で3時過ぎから7時くらいが午後グループの仕事の時間なのに!>
<誰が決めたのかわかんないけどマスクして現場に来て暑い時間帯のデータとるか作業員のリサーチくらいしろって思う。東電もそう思ってるはず、政府のイエスマンじゃなくしっかり現場の立場を主張して欲しい>(6月10日)
同氏の呟きから読み取れる現場の状況は、あまりにも過酷だ。
たとえば彼ら作業員の内部被曝量について、自分はまだ計測していないとしながら、「5万cpmを超えている人もいる」という。
「cpm」は被曝量を示す単位の一つで、通常これが1500を超えると、除染を受けなければならない。なのに5万など、まさにケタ違いの内部被曝であり、非常に危険な状態だ。
また、夏が近づき、現場は炎熱地獄となっている。全国的に真夏日となった6月22日、現場の温度計は42度を指していたという。
<体調管理しないと体が持たないよ。しっかり体調管理しなきゃ熱中症だけじゃなく心筋梗塞や脳梗塞の人が出てくると思う>(同)
6月6日、汚染水システムの設置をしていたキュリオン社の通訳が建屋内で転倒し肋骨を折る重傷を負った。折れた骨は内臓に突き刺さったという。これも、ガレキが散乱し、照明もない薄暗い建屋の中で、重装備の放射線防護服を着て作業しているために起きた事故だと思われる。
そんな危険な現場が、汚染水処理の遅れ、想定外の作業の増加などでますます危険になっていく……。
<怖れてるのは、本来処理された低線量の汚染水を入れるタンクに直接高濃度の汚染水を入れなくてはならなくなるんじゃないかって事。そうなったら高線量で人が近づけなくなって(汚染水が)漏れても手をつけられなくなるぞ>(6月22日)
毎時430ミリシーベルト
破綻へのカウントダウンに入ったに等しい、高濃度汚染水の問題に、根本的な解決方法はないのか。名古屋大学名誉教授の古川路明氏(放射化学)はこう語る。
「汚染水は、どこかに移すしかない。海洋投棄はできませんし、一時議論されたメガフロートも技術的に難しいというなら、タンカーに移すことを考えるべきです。ただし、汚染水を移す作業は人間がやるしかないので、被曝の問題が出てしまう。さらに、タンカーが大波で転覆したりしないよう対策が必要になります」
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教もこう語る。
「すでに原子炉から汚染水が漏れ出し、海に流れていることが疑われる今では、何をやっても手遅れの感は否めない。できるとしたら、やはりタンカーに一刻も早く移すか、あるいはこれ以上、汚染が周辺に広がらないよう『地下ダム』の建設を行うことでしょう」
現役の作業員からも、専門家からも指摘される汚染水処理の困難を、当事者の東京電力はどう克服しようとしているのか。同社広報グループに質した。
―汚染水処理システムは、本当に想定通りの性能を発揮できるのか。
「本格稼働に入れば、一日1200tという処理速度で、予定した能力は維持できると思います」
―費用は総額531億円と公表されている。ただ現状のようにトラブルが続いた場合、それで済むのか。
「濾過で吸着した高濃度の放射性物質の処理費用などは含まれていませんので、さらに費用が膨らむ可能性はあります」
―汚染水処理が間に合わない場合に備えて、代替手段は検討しているのか。
「メガフロートやタンカーに移送するのは、低濃度汚染水ならともかく、高濃度になると難しい。『地下ダム』も、すぐに導入するのは困難です。現在は、8月までにもうひとつの汚染水処理システムを稼働させるため準備を進めています」
東電担当者は、汚染水処理に自信を示すが、本誌が
「客観的には綱渡りに見える」と指摘すると、「厳しい状況なのは間違いない」とも認めた。
汚染水問題は、もはや待ったなしだ。6月22日には、2号機の原子炉建屋地下に、水深6m以上の高濃度汚染水が溜まっていることも判明した。不気味な赤茶色をした汚染水の表面の空間線量は、毎時約430mSv。作業員が近づくことも容易ではない。
<調査するだけでも相当被曝するよ……1号機は明日(23日)から(燃料プールの)循環冷却に向けて工事が始まるけど、2号機と同じように線量高いんだよね。30分の作業で2mSvくらい被曝しそうなんで人がいっぱい必要なんだ>(6月22日)
ラッキー氏ら現場作業員は、今日も被曝の恐怖に慄(おのの)きながらも、最前線で戦い続けている。無根拠な「工程表」を現場に押し付けるだけの東電幹部、安全・保安院の官僚らは、彼らと同じ場所に立って、深刻化する「人員不足」の解消に貢献すべきではないのか。
参照:ラッキー=ハッピー https://twitter.com/#!/Happy20790
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