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原子力発電所の大規模な倒壊や放射能漏えいから3か月以上、東京電力は多くの人たちの期待を裏切り、6月28日に都内で開催された株主総会でも脱原発の姿勢は見せなかった。
世界中から注目を集めた東京電力の第87回定期株主総会は、通年以上に荒れ、会場には怒号や糾弾の声や切実な思いが始終響いた。問題になっていた第三号議題である「原子力発電からの撤退」に関しては、大株主からの委任状二通をたてに否決した。
「原発は人智を越えたもの。作業員の犠牲の上に立った電気。人智を越えたものは創っても使ってもいけない。子どもたちや孫たちにツケを回してはいけない」。この朝4時にバスで福島から上京した男性は、株主総会で切実に訴えた。402名の株主から提示されていた三号議案は、原発を古い順から停止・廃止していくこと、原発新設や増設は行わないことだった。会社取締役会はこれに反対を表明していた。
「私たち、福島に帰りたいんです・・・」マイクを通して1万人近い株主の前で話す、男性の声が震えた。「私たちは『流浪の民』になってしまったんです。やるせない。無念・・・どんな言葉を並べても言い尽くせない。」
午前10時に開催した定期総会は6時間に及び、第一から第五会場まで人が埋め尽くして通路にまであふれていたという。会場内では立ち見が出るほどだった。昨年の参加者は3342名。
東電株は、総会当日午後314円どまり。3月11日直前の株価からゆうに7分の1ほど価格は下落している。
はじめて株主総会に出席したという70代の女性は、会社の態度が変わらないことに対していらだちを見せた。
「何の反省の色も見られなかった。さすがに原発を止めようという意見が出ると思ったが、がっかりした」と話し、会社が変わらないのであれば、下からの運動で変えなければいけない、と決意を語った。女性は、出席人数の多さを見て、一般の人の関心が高まっていると感じたという。
入場のため列に並んでいた60歳の横浜市在住の男性は、これまで原発についてまったく気にしなかったが、3月11日の地震と津波が引き起こした原発大惨事以降は、反対の意見を持つようになったと言う。もちろん、電気不足や料金値上げなど、不安なことはたくさんあるが「今までが潤沢すぎたんだよ」とサングラスの後ろで笑った。「止めることは難しいかもしれないけど、止めなくちゃいけない」と言う。
外では、福島からバスで上京した原発被害者たちが「子どもたちの生きる権利や、年配の方たちがこれまで築き上げてきたものをすべて奪っていったのが原発です。第二の福島を生まないために英断を!」とマイクで訴えた。(松元ちえ)
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