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6月29日 東電の前提に立てば水素爆発と水蒸気爆発の恐れがある 小出裕章(MBS)
2011年6月29日(水)、MBS(毎日放送)ラジオの「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。
番組案内
2011年6月29日【水】
きょうの関電株主総会は原発一色
関西電力の株主総会がきょう大阪市内で開かれ、これまでで最も多い2244人の株主が出席しました。今夜の番組では、株主総会に出席した株主の1人に電話をつなぎ、総会の様子や、出席して感じたことなどを、詳しくうかがいます。
また、きょうも京大原子炉実験所の小出裕章さんに、福島原発事故の問題について解説してもらいます。
録音
20110629 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
内容
※()内はラジオパーソナリティーの質問。地の文は小出裕章氏の返答です。
・(原発問題を担当する大臣に細野氏「避難準備区域を縮小することを検討する」。事故が収束していないのに、そんなことをして大丈夫か。被曝する人が増えるのではないか?)とても難しい。3月11日を境に世界は変わってしまったと発言してきた。被曝を避けようとすると生活が崩壊してしまう地域が広大にできてしまった。日本は法治国家と言われている。この法律では1年間に1ミリシーベルト以上の被曝をさせない。この法令を守るのは国の義務。この義務に従って国民を守らなくてはいけない。1年間に1ミリシーベルト以上被曝をするところは国がきちっと仕組みを作って人々を避難させなくてはいけない。ところが国は謝罪もなしに1年間に20ミリシーベルトの被曝をさせることを決めた。19.9ミリシーベルトでも許してしまうと言った。法治国家ではないと国が言っている。私は1年間1ミリシーベルトだと思っているが、これをやろうとすると福島県に相当するくらいの広大な面積を無人にしなければいけなくなる。これを国として実行出来るか、その日本を私たちは支えることができるか。そういう選択を迫られる国に変わってしまっているのです。
・(細野大臣はもどってきていただく条件に挙げているのは1つは、工程表のステップ1が達成していること。原子炉の安定的な冷却がなされていること。目処が7月17日。これは現実的に考えられるか)全く出来ません。もう6月も末なわけです。とうていできません。
・(循環冷却がうまく稼働するかと関わってますか?)それも関わっていますが東京電力自身がすでに炉心がメルトダウンをしてしまっていると認めている。循環冷却が仮にできたとしても安定的な冷却はもう既に出来ません。東京電力が言っているように炉心が既にメルトダウンしてしまっていてメルトスルーもしてしまっているとすれば安定的な冷却は出来ません。
・(スルーしているという前提で考えたときに地中にコンクリートで壁を作るのは、お金がかかるから東京電力が嫌と言っているんですかね?)というように報道で聞きましたけれども、お金がかかるって1千億円といったのですね。そんなちゃちなことをなんで躊躇するのかと私は思います。事故で生じた被害を本当に保障しようと思えば何十兆円払ったって保証できないという事故。それを1千億円をけちるということでは、おかしいと思います。
・(小出氏の意見は、汚染水が地下水にドンドンいってしまわないように。コンクリートで地中に壁を作るというもの。それに対して1千億円のお金がいるのではないかと言われているが東電は先に進めていないわけですね?)みたいですね。
・(そうなりますと1千億円で壁を作るかどうかということについても、安定的な冷却ができるんだという大前提では壁を作ることが早急な策だということに思い至りませんよね?)そうです。私が言う壁というのは汚染を広げないというだけのものです。(防御の策であって攻めの策は取れないという意味ですよね)そうです。(いまだに安定的な冷却を目指すという大前提を国がとり続ける限り、防御ができないままドンドン汚染水が地下に流れているということに?)そうですね。汚染水の汚染を除去する装置だとか言っていますけれども、これは単に溜まっているものをぐるぐる回すということで、溜まっている状態が解消されるわけではない。溜まっている間にドンドン漏れているわけです。私はその前にやるべきことは溜まっている水をどかすということ。だがそれすらやらない。
・(避難準備区域の縮小について、細野大臣が挙げているもう1つの条件は、水素爆発が起こらない状況が確実にわかれば、ということ。水素爆発はもう怒らないんですか?)東京電力が言っているように炉心がメルトダウンしているとすれば水素爆発はもう起きないと思います。(それはいい意味として捉えればいいのですか?)どちらにも取れますけれども水素というのは燃料棒の被覆管が水と反応してできる。燃料棒の被覆管が全部水と反応して跡形がないというのであれば、水素爆発は起きないのですが、炉心がもう溶けてしまって手のうちようがないということになります。
・(3号機に窒素を入れるとか入れないとか言っていますけど、あれは水素爆発を懸念しているのではないですか?)そうですね。そういう事でしょうけれども、それならばまだ炉心の全部が崩壊しているわけではないという前提にたっている。もしそうならば水素爆発の可能性もあるし、私が一番おそれている水蒸気爆発のおそれもある。
・(水蒸気爆発のほうが恐ろしいですか)私はそうだと思います。
・(事実がどうであるかによって、何を先にすべきかが違ってきますね)はい。でも今、どういう状況にあるかということすらわからないのですね。
・(水蒸気爆発が起こらないようにという防御はいましているのですか?)水をいれるということです。水を入れ続けてこれ以上炉心が崩壊しないようにするということ以外ありません。
・(収束はあるんですか?)ことがここまできてしまうととても難しいと思いますが東京電力が言っているようにまだ炉心の半分までは水があると、原子炉の推計がそれを示しているんですけれども、もしその状態でとどまっているのであれば、原子炉の中に水を入れてこれ以上溶かさない。そして循環系の冷却ができるのであれば、それなりの安定的な状態に持っていけると思います。
・(それなりの安定的な状態。ではそこからは放射性物質は出ないんのですか?)もう既に圧力容器にも格納容器にも損傷があるということが分かっていますので、汚染水がいずれにしても漏れてきてしまう。その漏れてきた汚染水を炉心の中に戻すという循環式の回路ができれば全然出ないわけではありませんけれども、外から水を入れてドンドン汚染水を溢れさせるというこれまでのやり方からは逃れることが出来ますし、外部に広げる汚染はそれなりに少なく出来ると思います。
・(大前提をどこのレベルに捉えて今できる限りのことをやるか。大前提を国は間違えているかもしれない、とこいで先生は思われるわけですね?)そうです。
・(ここのところ国は変わりませんね?)国会議員の人と話をさせていただきましたけれども、タンカーを検討していて今にもできるようなことをたしかおっしゃった。と思いますけれども、アレから半月くらいたったのでしょうか。何も動いていません。いったいどうなっているのかなあと私は思います。
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