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出席した株主たちの怨嗟の声 「脱原発」否決に使った姑息な手段
http://gendai.net/articles/view/syakai/131246
2011年6月29日 掲載 日刊ゲンダイ
東電ロングラン怒号総会
原発事故の責任をめぐり、怒号や罵声が飛び交う大荒れムードとなった東電の株主総会。来場した株主は9309人。6時間を超えるロングラン総会は、結局、会社側の提案がすべて可決されるドッチラケに終わった。そりゃそうだ。東電のやり方があまりに姑息で、デタラメだったからだ。
注目されていた「原発撤退」を求める株主提案の採決について、ほとんどのメディアは「反対多数により否決された」、反対票は89%としか報じていない。だが、実態は違う。株主の挙手で賛否をはかったところ、撤退賛成に手を挙げた方が多かったくらいなのだ。議長を務めた勝俣恒久会長も、「えーっと」と困惑していた。それなのに、なぜ否決されたのかというと、東電側が「大株主の委任状」で強行突破したからだ。
「本日の総会では事前に2人の株主から委任状をもらっている。その議決権の数は、会場に出席の株主の議決権の過半数を大きく上回っている。委任状を行使する代理人の挙手により可決、否決が決する」(勝俣会長)
だったら、最初から採決の意味なんてなかったのだが、とにかくこの総会、こんなデタラメのオンパレードだった。
出席していた男性株主は怒りが収まらない。
「今回は株主が多かったため、メーン会場のほかに、モニターで様子が見られる別室が第5会場まで用意されました。それでも、廊下には株主があふれかえったが、あらゆる議案や動議の採決はメーン会場にいる株主の挙手だけで決まり、別室の株主の声はまったく反映されないのです。それより何より、メーン会場の前方に座っていた人たちは、どう見ても東電関係者と思われる株主ばかり。彼らが勝俣会長の議事進行に拍手喝采したり大勢で挙手をするから、別室のモニターで見ている株主たちには、会場全体が会社側に賛同しているように見えました。ほとんどインチキですよ」
別の男性株主からは、「イの一番に会場入りしたのに、前方の席はすでに何者かの荷物が置かれ、座れなかった」との声も上がっている。
納得のいかない株主からは、「会場の挙手ではなく、来場した株主全員の正確な票数を数えるべきだ」と緊急動議も出された。ところが、勝俣会長は「では、その動議につきまして、挙手で賛否をはかりたいと思います」とトボケ、反対多数で否決する強行ぶり。
揚げ句が、大株主の議決権を持ち出しての強行採決なのである。
●株主代表訴訟は必死の情勢
東電はこれで逃げ切れたと思ったら大間違いだ。総会のクライマックスで声を上げたのは、株主として参加していた弁護士の紀藤正樹氏だった。経営陣に対し、こう指摘したのである。
「もし(原発撤退の株主提案を)可決するなら、将来の原発事故に対する責任はなくなるかもしれない。しかし、もし否決するなら、過去も将来も経営責任を取らなければならなくなるということ。あなた方の資産で賠償してもらわないといけませんよ。何しろ、たった1回の原発事故で東電は破綻じゃないですか。そのくらいの覚悟をもってやらなければ、被災者は報われない。この審議は将来、取締役責任と監査役責任を取る際の材料になるということです」
事故前に2000円を超えていた東電株は、一時148円まで下落した。この先、本当の紙クズになる可能性も高い。
ある女性株主は「親からもらった東電株が7分の1の値段になり、うっぷんを晴らすために行ったのに、逆にうっぷんがたまった」と憤った。こんな株主はゾロゾロいるのだ。こうなると、経営陣への株主代表訴訟が起こされるのは必至。全財産を失い、ケツの毛まで引っこ抜かれる覚悟をしておいた方がいい。
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