08. 2011年6月28日 22:09:31: Pj82T22SRI
>日本の川を流れる水量は年間4000億トン。 7℃高い海水が原発から垂れ流される量は合計で年間1000億トンです。排熱問題は、火力でも原子力と同じように深刻だ コジェネなどで改善されつつあるが、さらなる技術革新が必要 http://www.jp.horiba.com/sensorium/eu/eu09/eu9_1.htm 火力発電の排熱を考える 日本でいちばんエネルギーを消費している所はどこか考えてみて、すぐに思い当たるのは発電所です。正確に言えば消費というより、途中で加工しているわけですが。日本では火力・水力・原子力その他、自家発電も合わせて年間約1兆kwhを発電しています。 電気は、電灯にも動力にも通信にも使え、しかも使用の際に排気ガスもススも出ない、大変便利なエネルギーです。ユーザーにとって便利な反面、発電所では、 石油や石炭を燃やしたり(熱エネルギー)、 ウランを核反応させたり(核分裂→熱エネルギー)、 水を高いところから落としたり(位置エネルギー)してタービンを回す (運動→電気エネルギー) ことにより、質の低いエネルギーから質の高いエネルギーを作るという効率の悪い作業を引き受けています。 火力発電所で石油(化石エネルギー)を燃やしてその熱量の何%が電気になるかの変換効率を「熱効率」といいます。現在は平均39%です。1951年頃の新設発電所が16%だったところから、70年頃にはすでに現在と同じ40%前後まで向上。その後はほぼ横這いで技術的限界といわれましたが、近年コンバインドサイクル(天然ガスでガスタービンを回しさらに蒸気タービンも回して総合熱効率を高める)など新技術の導入により、今年完成する東京電力の施設では設計熱効率が何と49%まで向上したそうです。 さて、熱効率39%として残りの61%はどこに行くのかといえば、煙突から出る水蒸気や温排水のような排熱として捨てられます。 日本では年間発電量1兆kwhのうち6000億kwhは火力発電ですから、その1.56倍の9400億kwh=4000億eu分のエネルギーが環境中に捨てられていることになります。 排熱はどう考えてももったいないわけですが、発電にはもう使えなくても暖房や給湯など他の用途になら十分使えるはず。これを捨てずに有効利用する技術として注目されているのが「コジェネレーション」です(電熱併給などと訳されます)。ガスや石油を燃やしてタービンを回して発電し、その余熱から蒸気や熱水を作って、冷暖房や給湯に回すというものです。電気と熱供給を合わせて75〜80%の熱効率が達成されます。電気と熱の消費地に近くなければならないためどこでも導入できるわけではありませんが、地域冷暖房や大病院、工場などで普及しつつあります。
発電、蒸気、高温水、低温水と、目的に適った品位のエネルギーを段階的に使うことを「カスケード利用」といって、効率向上につながります。これからの環境の時代にはエネルギーもこれまでの大規模・集約型から小規模・地域分散型に向かうといわれ、まだ技術的には発展途上のコジェネレーション技術に期待が寄せられています。 こういったわけで電気は便利だけれど少しぜいたくなエネルギーなので、大事に使いたいものです。電気で冷暖房するのは、せっかく作った高品質エネルギーをまた低質に落として使う、本当は非効率な使い方なのです。 (資料出典)
火力発電技術:東京電力、電気事業連合会など広報資料。新聞報道によれば川崎市に建設予定のLNG火力の熱効率は53%に達する予定。 発電量:(財)省エネルギーセンター資料、主に1995年の数値。 コジェネレーション:井上宇市・高田秋一編『コジェネレーション技術入門』オーム社、及び新エネルギー財団、石油産業活性センターなど広報資料。 (註) どこかの火力発電所で〜:正確には送電ロスも数%あるので、発電量はもっと多く必要。 火力だけでも〜9eu:このほか、原子力発電も同様に排熱を出す。年間発電量約3000億kwh、熱効率35%として5600億kwh分=2395億eu=1人1日当たり5euが温排水として捨てられる。火力と合わせると14eu。 屋木伸司/文 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/qa/iken/iken-q85.htm 全国の原子力発電所の毎月の排熱量について (1)原子力発電所でタービンを回した蒸気は復水器に送られ、海水により冷却され水に戻り、再び原子炉に送られます。この復水器で使われる冷却用の海水は、海へ放出される時に取水した時の水温に比べ何度かの温度上昇がありますので、一般に温排水と呼ばれています。この温排水は、海面から比較的浅い地域に拡がって行きます。 (2)世界全体の運転中の原子力発電所の排熱量を1時間あたり約6.0×10の14乗カロリーとして、日本国内の原子力発電所(53基、4712.2万kW)に換算すると1ヶ月あたり約6.0×10の15乗カロリーになります。また、太陽からの放射入熱は1ヶ月あたり約8.0×10の22乗カロリーになります。 世界全体の原子力発電所の排熱量および太陽からの放射入熱は以下の値を用いています。 原子力情報なび:http://www.atomnavi.jp/uketsuke/qa03_28_020356.html (3)温排水の放流によって、海水の温度や流れが変化し海の生物や漁業に影響があるのではないかと言われていますが、温排水は海の表層を拡がり、放水口から少し離れれば周辺の海水と混合したりして、温度差は急激に小さくなり、流れの速度も低下するため、影響の範囲は放水口近くに限られます。 発電所設置時の温排水対策としては、計画予定地点周辺の環境を調査し、必要に応じて放水口の位置を漁場などから離れたところに設ける、取水口は温排水が再循環しないような位置に設ける、深層取水設備を施すなどの基本的な対策が立てられています。そして海の調査結果、温排水拡散予測結果等を総合的に検討して最も適切な取水方法、放水方法が採用されます。 (4)温排水の排熱が二酸化炭素を発生し地球温暖化に影響するという指摘がありますが、学会等で議論が進む中でもそれらは問題視されていない状況にあります。また、温排水が直接的に地球を温暖化するという指摘については、原子力発電などによる人為的に発生させる熱量は太陽からの熱量に比べ無視できるほど小さく、地球温暖化は、太陽からの入熱量と大気圏外への放散熱量のバランスを崩す、二酸化炭素などの温室効果ガスの大気中への過剰蓄積の問題と理解されています。 (5)なお、火力発電所でも、原子力発電所と同様に温排水は発生します。 |