http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/460.html
Tweet |
懸念現実化、続く綱渡り 循環注水冷却停止
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110627/dst11062722580020-n1.htm
2011.6.27 22:54 産経新聞
福島第1原発で稼働後、わずか1時間半で停止に追い込まれた原子炉への「循環注水冷却」。高濃度の放射性物質を含む汚染水を減らし、外部漏出を回避するメドが立ちかけたところに、また漏水(ろうすい)トラブルが襲った。循環注水冷却の中心を担う浄化システムの試運転はトラブル続きで、専門家から「いつストップしてもおかしくない」との声が上がっていたが、稼働初日からその懸念が現実化した形だ。(原子力取材班)
■期待
「安定的な冷却システムを確立する目標に近づいた。大きな一歩だ」
27日夕の記者会見。循環注水冷却の開始を受け、政府・東電統合対策室事務局長、細野豪志首相補佐官は喜びをあらわにした。
というのも、当初は格納容器内に水を満たして冷やす「冠水(水棺)」を目指していたが、1〜3号機で炉心溶融や原子炉圧力容器の損傷が判明。冷却のために原子炉に注入した水が汚染水として漏出していたことから、水漏れを逆手に取った循環注水冷却に方針転換を余儀なくされた苦い経緯があるからだ。
だが、会見の終了間際、それを裏切るように、同席していた東電の松本純一原子力・立地本部長代理が「みなさんにお知らせがあある。ホースの継ぎ目から漏水があり、午後5時55分に注水を停止した」と明かすと、関係者の期待ムードは一変してしまった。
経済産業省原子力・安全保安院の西山英彦審議官は、「炉心が冷やせれば(作業が)楽になり、放射性物質についても気にしなくて済むようになる」と、作業効率の向上を期待していたが、その期待はもろくも崩れ去った。
■懸念
もともと汚染水浄化システムには、懸念材料が山積していた。試運転では、配管の接続部から漏水し、ポンプ制御プログラムの設定ミスまで見つかった。本格運転を控えていた16日夜にも再び漏水が判明。その後も、通水した汚染水が多すぎて装置が停止するなど、稼働させては止まるということを繰り返してきた。
東電は「維持やメンテナンスにはそれなりのリスクがある。配管接続部からの漏洩(ろうえい)といった事態がないとはいえない」とし、細野補佐官も27日夕の会見で「いつ停止するかわからない仕組みでは安定冷却とはいえない」と危惧(きぐ)していた。
汚染水からは毎時1千ミリシーベルトを超える高い放射線量も確認されている。今後、浄化装置そのものが停止すれば、再び汚染水が増え、外部流出の危機が訪れかねない。大量漏洩などがあれば、人が近づくことも難しく、修復作業が困難となる可能性も指摘されている。
東京工業大の竹下健二教授(原子力化学工学)は「今後も不具合が生じる可能性は高い。さまざまな状況を想定した備えを用意しておくべきだ」と懸念していたが、それが図らずも的中した形となった。
◇
福島第1原発:循環注水冷却、稼働直後に停止
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110628k0000m040099000c.html
毎日新聞 2011年6月27日 21時30分(最終更新 6月27日 22時59分)
東京電力は27日、福島第1原発の敷地内にたまっている高濃度汚染水を浄化し、原子炉の冷却水として再利用する「循環注水冷却」の本格稼働を始めた、と発表した。しかし、開始から1時間半後に原子炉に注水するホースで漏れが見つかり、水の移送を停止した。高濃度汚染水の浄化処理は続け、原子炉への注水も従来のろ過水タンクから継続している。循環注水冷却は、原子炉の安定冷却に向けた一歩になり、東電は原因を調べ対策を実施した上で28日にも再稼働する方針だが、安定運転には依然課題が多く、不安を残すスタートになった。
汚染水の浄化システムは17日の稼働開始から放射性セシウムの吸着装置などでトラブルが相次ぎ、断続的に運転を停止。部品交換などを経て、システムの安定的な運転にめどが立ったため、東電は27日午後から処理水の注水は開始できると判断。同日午後4時20分に注水を始めた。しかし、作業員が同日午後5時55分ごろ、処理水タンクの下流側にあるホース間の継ぎ目から水が漏れているのを発見。注水を停止した。
福島第1原発では、燃料冷却のため1〜3号機の炉心への注水を続けているが、圧力容器や格納容器の損傷部分から漏れた水が、高濃度汚染水となって、これまでに約11万トンが原子炉建屋などに滞留している。循環注水冷却が本格稼働すれば、これ以上の汚染水の発生を防ぐことができるはずだった。
システムは、国内外の企業の装置から構成され、全長は約4キロ。27日の東電の調査によると、処理前の汚染水に含まれるセシウム134は1立方センチあたり220万ベクレルだったのが、浄化後は同1・1ベクレルに、セシウム137は同240万ベクレルから0・65ベクレルに減少した。放射性物質の濃度が100万分の1以下になり目標とする浄化能力を達成できているとしている。1日480トンの汚染水を淡水化できる。
松本純一原子力・立地本部長代理は同日の会見で「2カ月間という準備期間は厳しかった。今後もトラブルがあるかもしれないが、安定的な冷却にもっていきたい」と述べた。【徳野仁子】
◇ホース水漏れ、安定稼働楽観できず
東京電力福島第1原発で27日、汚染水浄化システムが本格稼働し、処理した汚染水を原子炉の冷却水に再利用する「循環注水冷却」が始まった。安定運転が続けば、原子炉の安全な状態である冷温停止の達成が視野に入る。しかし、稼働直後に汚染水を移水するホースで水漏れがあり、今後も問題なく稼働できるか不透明だ。
現在の事故対応で最大の課題の一つが汚染水だ。原子炉の冷却には水を注入しなければならないが、注入するほど汚染水が発生。汚染水は作業を妨げ、一部は海に漏れた。システムの安定稼働は「炉心の冷却」「汚染水の低減」の両立をにらんだ神経戦からの解放になる。
だが、内閣府原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長が27日の会見で「何もなく進むことはない。安全管理に努めてほしい」と語ったように、楽観できない。
まず、11万立方メートルもの膨大な汚染水の処理は前例がない。システムは全長4キロに及び、トラブルが懸念される場所は多い。処理に伴って年末までに発生する約2000立方メートルの高レベル放射性廃棄物汚泥(スラッジ)の保管方法のメドが立っていない。
そもそも、循環注水冷却の実施は、政府と東電の「希望的観測」で遅れた。東電が4月に発表した最初の工程表に循環注水冷却ではなく、格納容器全体を水で満たして冷却する「冠水(水棺)」が収束の決め手として明記した。ところが、その後の分析で、格納容器に穴が開いていると判明。注水するほど汚染水が発生することが裏付けられた。メルトダウン(炉心溶融)や格納容器の損傷はないとしてきた政府と東電の対応が、初動対応を遅らせた。
日本原子力学会のチームは、事故から約2週間後の3月28日に循環注水冷却を提言した。チーム代表の奈良林直・北海道大教授は「冠水にこだわり時間をロスした。データを分析すれば格納容器の損傷は当初から明らかだったはずだ」と話す。【中西拓司、岡田英】
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素13掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。