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原子力に頼らぬ文明を
35年前に原子力の“安全神話”
告発した記録映画作家
羽田 澄子さん
「しんぶん赤旗」 2011年6月27日付 1面
「いま原子力発電は…」は、35年前に福島第1原発と茨城県東海村の核燃料再処理施設を取材して作成した25分間のテレビ番組用の記録映画です。関係者の配慮で、東京の岩波ホールで30日まで「緊急特別上映中」です。
思えば、あの原発ロケに向かう途中に広がる広大な農村の美しい風景を見ながら、「この土地が果たしてこのまま平和で美しくありつづけるのだろうか」という一抹の不安感に襲われたものです。
ロケでは本物の原子炉建屋内や制御施設の取材は許されず、敷地内の展示施設や模擬の制御設備を撮影しました。展示施設の責任者に放射能漏えいなどの事故の危険性について質問すると、「事故発生の確率は隕石の落下と同じ50億分の1程度です」「まったく心配はない」という説明ばかりでした。万一の事故発生時の住民の避難対策などの説明は一切なく、「地元は立地を非常に喜んでいる」というだけ。聞けば聞くほど不安になり、信用できなくなりました。
本音がポロっと
決定的な不信をもったのは核燃料再処理施設を実際に見て話を聞いたときです。広い倉庫には放射性廃棄物をつめ込んだドラム缶がずらっと並んでいました。それを安全に廃棄する技術も場所もないのです。担当者は「使用済み核燃料を再処理すればプルトニウムという非常に優れた燃料ができます」と説明したのですが、だんだん心配そうな顔になって、ついには、「いや、実はこれが非常に危ない物質だとわかってきたので、管理が大変です」と本音をポロっとこぼしたんです。
また、いくつもタンクが並んでいるので、「これは何ですか」と聞くと、「これも放射性廃棄物です。最低500年はこうやって保存しておかなければいけません」というのです。「500年ですって?」「いや、あと1000年ぐらいは…」。この説明を聞いて、「これは正気の沙汰じゃない。原発は絶対ダメだ」と確信したんです。
戦争や大地震が起きないという保証もないのに、そんなものを無傷で1000年も保管する能力など人間にはありません。
排除された警告
“石油を輸入しなくても、原子力で経済は成長を続けられる”。そういう経済だけに目を向けた政治のもとで、地震や津波による過酷事故の可能性を厳しく警告する専門家は排除され、もっぱら甘い基準で立地や建設を容認する御用学者だけが重用されてきた実態があると聞きます。そんな政治が、地震・津波国日本の狭い国土に54基もの危険な原子炉がひしめく状態をつくったのです。
恐ろしい原発をなくすためにも、「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入」を訴える共産党の提言に賛成です。
人間が現状ではコントロールできない原子力に依存するような「文明」は、いずれ行き詰まると思います。エネルギーを無駄にしない生活や、自然エネルギーヘの転換などによって「原子力に頼らない文明」を築けるかどうかは、人類が生存し続けるための大きな課題だと思います。
聞き手・写真 林倍誠
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<参照>
「いま原子力発電は…」「原発切抜帖」 岩波ホール 6月13日より、平日のみ上映
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