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http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20110627
昭和40(1965)年に電力会社に安定した電力供給を義務づける一方で、地域独占体制を認めた電気事業法が施行されました。
以来、電力会社は地域独占会社として、発電などのコストに一定の割合の利益を上乗せして価格設定できる「総括原価方式」を採っており、この方式のおかげで電力会社は「コストがかかればかかるほど利益が大きくなる」という大変不健全なインセンティブを経営方針に内在することになっております。
この既得権益はいわゆる「原子力ムラ」の中枢を構成する、経済産業省、政治家、電力会社の「鉄の三角形」により40年以上維持されてきました。
そして、電源の開発では大きなカネが動きます、特に原発の場合、建設費は1基あたり4000億〜5000億円という巨大プロジェクトになり、これに加えて電源3法交付金など、国から原発が立地する自治体への交付金や外郭団体が受け取る原子力関係予算の総額が年間ざっと4500億円(11年度概算要求ベース)にまで現在膨らんでおり、このほか原発プラントのメンテナンスや使用済み核燃料再処理、放射性廃棄物処分など、電力会社からの原子力関係支出が年約2兆円に達しています。
これらの原資は煎じ詰めればすべて血税および国民から巻き上げた電気使用料金なのであります。
このような大きなカネが恒常的に動けば、それは「利権」になり、当然、経済産業省、政治家、電力会社の「鉄の三角形」により、都合よく分け前に与ろうと躍起になるわけです。
いつしか彼らは国益ではなくムラの利益を優先し、法律よりもムラの掟(おきて)を重視することになります。
原発事故以来、東京電力の後手後手のお粗末な対応と、経済産業省原子力安全・保安院、原子力安全委員会の日本の原発安全2重チェック体制のチェック能力不全・問題ダダ漏れ状態が、次々と明るみに出てきました。
つまり今までの40年以上にわたる原子力ムラ内部でのなあなあな検査体制が今回の事故を深刻化した主因なことが明らかになりつつあるのです。
ひとつには、原子力推進役の経済産業省内部にチェックする機関原子力安全・保安院など設けるから検査がザルになるわけです。
経産省は都合よく、アクセル(原発促進)ペダルを踏みつつ、ブレーキ(安全重視)ペダルを問題があるたびにちょっとだけ踏んでそのときだけ国民を納得させればよかったのです。
これでは、根本的な安全策を採用できうるはずがありません。
原子力安全・保安院が本来のチェック機関として役割よりも、「原子力ムラ」の秩序にこだわる組織であることは、2001年1月発足の当初から指摘されていたことであります。
2002年8月、福島第1原発の定期検査を巡る東京電力によるデータ改ざんが発覚します。
ことの詳細は、同原発の原子炉格納容器の密閉性を測る試験で、東京電力が意図的に空気を注入したりするなどしてデータを操作したことを作業を請け負っていた米GE(ゼネラル・エレクトリック)の元社員が資源エネルギー庁に内部告発したことによります。
東京電力では当時の南直哉社長、荒木浩会長に加え、那須翔、平岩外四の両相談役の歴代社長4人が不祥事の責任を取る形で一斉辞任を余儀なくされました。
データ改ざん問題は電力業界の体質改善を一気に進める好機だったのです、長年の懸案だったはずの「発送電分離」など、それ以上の改革に踏み込む絶好の機会でありました。
しかし、経産省は原子力行政の体制維持を優先させたのであります。
そもそもGEの技術者が資源エネルギー庁に内部告発の文書を送ったのは2000年12月で、その対応は2001年1月に発足した原子力安全・保安院に任されるのですが、保安院はその告発を2年も放置したうえ、告発者の氏名を東京電力に明かすという愚行をさらします、本来監督当局として公正中立に東京電力に対峙すべき立場にもかかわらず、経産省は明らかに「原子力ムラ」の秩序維持に走ったのであります。
・・・
「原子力ムラ」の中枢を構成する、経済産業省、政治家、電力会社の「鉄の三角形」を解体するチャンスは過去に一度ありました。
トライアングルを構成する「政治家」が反乱を起こしたのです。
1997年1月、電力会社の地域独占体制を改める「自由化」を巡って「永田町」で「タブーとされてきた電力会社の発電、送電の分割を大いに研究すべきだ」という当時の佐藤信二通産相の年頭所感が発表されます。
今は死語となりましたが「電力ビッグバン」騒動です。
当時の橋本政権は「01年までに国際的に遜色のない電気料金の実現」「発電・送配電の分離」「火力発電事業への競争入札制度導入」などを掲げ、電力業界の構造改革を進める構えを見せていたのです。
しかし1998年7月に橋本内閣が参院選敗北で総辞職すると、「電力ビッグバン」の言葉はまったく使われなくなります。
電力会社の地域独占は温存されたのです。
この国の原子力行政の杜撰さに国民世論が目覚めた今こそ「平成の電力ビッグバン」を実現する好機です。
1965年に施行された電気事業法、電力会社に地域独占体制を認めたこの法律を全面改定するのです。
まず利権の温床であり諸悪の根源である電源3法交付金を全廃します。
そして、この法律を変えることは、既存の10電力体制(沖縄電力を加えれば10電力)の改革・再編の道を開くことにつながりますから、「発電・送配電の分離」やいっそうの「電力自由化」を制定します。
そうすれば地域独占体制だから可能だった「総括原価方式」は電力各社は取れなくなり、自由市場による電気料金の健全な競争が始まります。
また行政側も大改革が必要です。
現在の経産省の原子力安全・保安院と原子力安全委員会は何のチェック機関にもなっていません、ザル組織であり存在価値はありません。
「原子力ムラ」を解体するために、経産省の原子力安全・保安院と原子力安全委員会は即刻解散、日本の発電所の安全性チェック機関は経産省にではなく環境省に設置します。
経産省や電力会社と関わりのない「ムラ」の外である環境省に、いわば発電所とは敵対的に設置するのです。
新たな環境省に設置する安全検査機関は、原子力だけでなく、太陽光発電や地熱発電などこれからの再生可能エネルギーによる発電所も統括して検査する機関とします。
再生可能エネルギーとはいえリスクのない「発電システム」など存在しない以上、これらに対してもしっかりとした安全指針を設定し、厳しいチェックを行う機関を環境省に設置します。
「原子力ムラ」構成要員に成り下がっていた経産省の原子力安全・保安院と原子力安全委員会は解散、これからの脱原発に備えた新しいチェック機関を経産省ではなく環境省に設置するのです。
福島第一原発事故は今も収拾の目処が立っていません。
関係者の責任体制が明確ではなく、対応は後手に回り、情報は二転三転しています。
一方経産省の天下り外郭団体は原発がこのまま停止すれば一般家庭の月の電気料金は1000円以上高くなるとの試算を公表、国民を恫喝しております。
電力自由化すればそれ以上の値下がり効果が期待できます。
平成の「電力ビッグバン」を実現しましょう。
今こそ「脱原発」に政策転換する好機です。
(木走まさみず)
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