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電力「全量買い取り制度」/再生可能エネルギー普及へ/共産党、2年前から提起/吉井衆院議員に聞く
「しんぶん赤旗」 2011年6月25日付 2面
菅直人首相が、太陽光や風力などの再生可能エネルギー普及促進の「再生可能エネルギー電気調達特別措置法案」の成立に意欲を示しています。同法による電力の「全量買い取り制度」について、日本共産党の吉井英勝衆院議員に聞きました。
ドイツで導入
―電力の全量買い取り制度とはどんなものですか。
吉井 家庭などが太陽光や風力などで発電した電気について、電力会社に、固定価格での全量買い取りを義務付けるものです。再生可能エネルギーの爆発的普及にとって大きな力となるものです。
ドイツなど諸外国ではすでに導入されており、日本でも2年前に太陽光発電の余剰分に限って導入されました。
しかし、このときの法案(非化石エネルギー関連法案)は、石油や石炭など化石エネルギー以外のエネルギー源の利用促進をはかると称して、原発推進を含めていることや、買い取り費用は電気料金に上乗せして利用者から徴収することを認めるなど大きな問題点を抱えたものでした。
そのため日本共産党は2009年6月、修正案を発表しました。
@原発抜きで、すべての再生可能エネルギーの固定価格での買い取りを義務付ける。原発推進に使われている電源開発促進税(年間約3500億円)などを利用して、電気料金に転嫁させない。
A政府・緩産省まかせになっているエネルギー基本計画で決められる太陽光など再生可能エネルギー源ごとの供給目標について、国会承認事項とする―いうものです。
残念ながらこのときは、政権党の自民、公明はもとより、民主党も原発推進の立場から日本共産党の修正案に反対したため否決されてしまいました。
―今回の政府案にも全量買い取りが盛り込まれています。
吉井 政府が法案を出してきたのは、再生可能エネルギーの導入を求める国民世論や日本共産党のたたかいに押されたものです。
日本共産党は、原発撤退を決断し、原発ゼロへ5年から10年の期限を決めたプログラムを策定するよう政府に迫るとともに、再生可能エネルギーの爆発的普及をすすめることで原発に依存しないエネルギーの実現を主張しています。そのために、固定価格で全量を買い取る制度の実現めざし全力をあげます。
太陽光の買い取りコストは現在、「太陽光促進付加金」として電気料金に上乗せして徴収されています。
2年前にも提起しましたが、電源開発促進税などを利用して電気料金に転嫁させないこと、太陽光など再生可能エネルギー源ごとの供給目標について国会承認事項とするように求めていきます。
新たな仕事も
再生可能エネルギーの本格的導入は、地域の商工業者や農林水産業者らにとって新たな仕事と雇用が生まれ、地域経済の振興と内需主導の日本経済への大きな力にもなります。エネルギーの「地産地消」によって地域分散型エネルギーを確立し、その地域で発電したものはその地域で消費する仕組みをつくるために取り組みます。
―再生可能エネルギー普及のためには多くの人々が力を合わせることが大切ですね。
吉井 私も、超党派の国会議員や専門家、市民らが参加する「エネシフ(エネルギーシフト)」と呼ばれる勉強会の呼びかけ人の一人になるなど立場の違いを超えて取り組みをすすめてきました。
先日、そうした市民集会に菅首相が参加し、「この法案を早く通せば、私の顔をみなくてもいいことになる」と発言をしたことが話題になっています。
原発をやめて再生可能エネルギーを爆発的に普及させることは、文字通り国民的課題です。特定の政略的立場からこの問題を利用するなどということはあってはなりません。私は国会議員ですから、政府が出している法案を早く通してくださいと政府にお願いするのではなく、徹底審議などを通じて、よりよい制度が実現するよう全力をあげる決意です。
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