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この原発事故の総括をしてみよう。日本の社会システムが原発事故を生み出したのであって、地震や津波のせいではない。つまり天災に対して、耐震や配管のテクノロジーが対応できなかったとかできたとかいう問題ではないだろう。
日本の原発は日本の経済システムの縮図そのもの。つまり、元請けという大企業の支配階級が、経済奴隷であって人権も名前もない下請けを搾取し使い捨てる非人間的で不自然な経済システムがもともとあった。この経済システムは利益や効率のためなら、長時間労働によって失業を輸出しようと、安全性を犠牲にして現場作業員の健康など省みず、事故が起きたとしても下請けによる労災申請も圧殺してきた。また、人間の尊厳と人権のために立ち上がった労働組合運動も徹底的に弾圧してきた。要するに、経済史的には明治時代以来の二重構造があり、支配階級の経営陣は人の意見に耳を貸さない。例えば、国会答弁で100年くらい前に大津波が来たことを指摘しているのに、まったく東電が安全対策を取らなかったのは、支配階級の経営陣を管理・チェックするシステムが社会の中に存在しないから。官僚・学会・財界・自民党は、製薬村・原子力村・通信村など、それぞれの利権「村」を作り、マスコミをカネで買収して自分達に都合のよい世論を作り、好き放題行ってきた(組織の幹部の責任が問われないのは、第2次世界大戦の戦争遂行責任を幹部が問われなかったのと一緒)。また裁判所も、官僚が支配してきた―具体的には、最高裁事務総局という裁判官の人事を行う組織を通じて、大企業・役人という支配階級に不利な判決を出した裁判官を出世させなくなる脅迫・恫喝をかけてきた。要するに三権分立に基づく代表民主制など存在せず(憲法違反の状態が継続)、支配階級とそれ以外の二つしかなかった。正義の法は全く機能しないので裁判所に訴えても無駄なことだった。そしてそれぞれの利権村では、反対意見を言うものは小出助教に対して行ったように排除し、経済的に貧困へと追いやった。また、村では、ボスの言いなりになるYesマンを次の世代のボスとして登用・重用し、まともな人間が社会のリーダーになることを完璧なまでに阻止してきた結果、どの組織でも人間のクズがトップに立つことになり、立場の弱い人の人権や安全性への配慮などはなく、ただ単に奴隷的搾取の対象としてきた。これは、自国民に対してでさえそうなのであって、いわんや他国の労働者がどうなろうと知ったことではなく、場合によっては途上国の現地の警察を財界が買収し、現地の組合運動を銃で脅して言うことをきかせてきた。
こういう仕組みがあったからこそ、原発事故を引き起こした。いってみるならば、事故が起きるのは「必然的なこと」であった。非正規雇用や中小企業の労働者を経済奴隷として搾取し、被爆するような健康に有害な作業をさせつづける「日本モデル(非人間的な社会経済システム)」それ自体が、今回の原発事故を引き起こし、そして原発事故によってこのモデル自体が否定されている。日本モデルのもとで、いくら経済活動を展開しても、国民は豊かになれない。つまり、住宅ストックなど真に国富に繋がるような経済政策はいつまでたっても行われず、住宅ストックは整備されない(国民の大多数を占める非正規雇用・中小企業労働者の幸せなんか全く考えないシステムなのだから住宅ストックが整備されないのは当たり前のことなのだが)。このような恥ずべきどうしようもない日本モデルのもとで、蜃気楼のようなかりそめの経済成長を行った第二次世界大戦後の日本の経済の歴史全てが、今回の原発事故で否定されたのだ。それは意味がなく不自然な(成長)[括弧付きの成長]であった。従って、戦後70年近く、ダメな軌道を走ってきたのだから、軌道修正すべきなのだ。この軌道を走り続ける限り、何度でも原発の事故は起きるであろう。リスクを弱者や過疎地に押し付け、徹底的に生きた奴隷として被爆労働等の危険な作業に従事させ、事故が起きれば地域住民を丸ごと見殺しにするような日本の社会経済システムと戦後の経済史すべてが全否定されたのだ(そもそも人権に配慮しないのだから、いわんや生態系への配慮などするわけがない。水俣病を引き起こし、放射能汚染水を海に垂れ流して国際法を踏みにじるのも、当然のことであった)。
要するに奴隷搾取労働の上に既得権益の構造を維持・再生産する戦後の日本が全否定されたのだ。日本の経済社会は原発事故を何度でも生む構造を自らに抱えている一方で、その構造を自分達の手で変革することはできない。つまり、まともな社会を自分達で作ってゆけないのであって、日本人は政府・国家・関税で守られた国内経済などという単位を持つべきではない。国連は安全保障理事会を開き、人類および生態系全体に対する脅威を進行させる環境テロ国家たる日本を軍事占領し、国連の統治下に置くことを考えるべきだ。日本政府は、原発マフィアに巣くわれ、この原発事故を収束させる能力も、脱原発の方向で自然エネルギー技術を醸成するための経済政策遂行能力がない。
原発事故によって安全でおいしい日本の農産物・魚介類というイメージは吹き飛んだ。また、勤勉で真面目という労働倫理に対するイメージも、極めていい加減で杜撰な管理を原発に対して行っていたことがバレて、同様に吹き飛んだ。さらに、高度に発達したテクノロジーを持っているという技術神話も吹き飛んだ。極めつけは、経済システム内部に原発ジプシーのような奴隷制を内包しているということで、人権にまったく配慮しない野蛮な国家であることが確定し、そんな国家の経済成長のモデルもお手本にならず、吹っ飛んだ。要するに、何もかもなくなった。日本人からテクノロジーを輸入しようとしてもそれは、奴隷労働を必要とするテクノロジーかもしれず、危なくて輸入できない。どうしようもないというわけだ。こんな国とは付き合わない方がいいという判断を世界中の国が下して欲しい。1000年くらい先には、日本人が大人になって成熟し、自分達が世界中から拒絶されてきた理由が分かるときがくるかもしれない。
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