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http://jp.wsj.com/Japan/node_251746/?nid=NLM20110620
2011年 6月 20日 8:08
国際原子力機関(IAEA)は19日までに福島第1原子力発電所事故に関する報告書をまとめ、日本当局は津波と地震による同原発の被害の軽減が可能だった国際安全基準の履行を怠っていたとの見解を示した。同報告書は20日開かれるIAEA閣僚級会合に提出される。
同報告書は、日本の原発事故とその後の対応に関するこれまでで最も客観的な検証で、1週間にわたる同会合での原子力安全性に関する議論の枠組みとなる。
同報告書は福島原発のエンジニアらの事故への対応を称賛する一方で、他の大半の点について日本の危機への備えと対応に批判的だ。同報告書は、日本が地震と津波に対する原発保護のためのIAEAガイドラインを履行しなかったほか、日本の原子力当局はIAEAの基準に沿って周辺住民を迅速に避難させなかったと指摘。さらに原発事故の際の被害と放射線を封じ込めるため多重な保護措置を十分に構築していなかったと批判した。
同報告書は、危機が深刻化した際、福島第1原発から半径20キロから30キロの間に住む住民に屋内待機を命じる一方で、20キロ以内の住民には避難を要請した日本当局の勧告の仕方に疑問を投げ掛け、「長期的な屋内避難は有効なアプローチではない」と述べた。
IAEAは、周辺住民に対しては放射線量が危険な水準に近づくなど具体的な基準に応じて避難勧告すべきだったとしている。同報告書は、日本のデータとIAEAチームの現地調査結果に基づいているが、同チームは避難前に住民が浴びた放射線量を特定できなかったとしている。
同報告書は、原発事故からの復旧に向けた工程表は「野心的だが達成可能にみえる」とした。もっとも、「環境保護と同様に持続可能な安全を確保するために是正すべき問題がある」と述べている。
しかし原発安定化の作業では後退している点もある。17日には、原発現場にあふれている大量の高濃度汚染水を浄化する鳴り物入りのシステムが始動わずか5時間後に、停止された。東電はこの修理に全力を挙げており、21日までにシステムを復旧したい考えだ。
日本の原子力規制当局である原子力安全・保安院のスポークスマンは電話取材に対し、同保安院がIAEAの報告書の検討結果を承知していると述べ、大規模な原発事故に対処するための避難方針を再検討していると述べた。
同スポークスマンは、地元住民への勧告は地元自治体との緊密な協議を経て迅速に出されたと述べた。ただし「われわれは、事故に伴い、これほど長期間にわたって避難が必要になるとは予想していなかったし、屋内避難をもっと本格的な避難に格上げするガイドラインがなかった」と釈明した。
IAEAは報告書の中で、日本の原発当局は原発の制御室の操作装置の欠陥など、過去に発生した出来事を想定した安全点検を適切に実施していたが、地震や津波といっためったにない脅威に対する安全点検を実施していなかったとし、「外部からの脅威に対する蓋然性の高い安全評価は(安全・保安院によって)義務付けられていなかった」と述べた。
IAEAはさらに、日本の規制当局は一義的に最近の地震データに依存していたため、地震リスクを過小評価していたとし、IAEAガイドラインで勧告されているように、「歴史的および前史的な地震に関する古地震学・考古学上の情報」を検討すべきだったと結論している。
また、2002年にIAEA主導の専門家チームが実施した点検の勧告に応じた「津波被害のための多層防御規定が不十分だった」とし、「こうした追加的な防御措置は日本の規制当局によって点検・承認されていなかった」と指摘している。
記者: David Crawford and Mitsuru Obe
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