http://www.asyura2.com/11/genpatu13/msg/142.html
Tweet |
17日(金)の参議院復興特別委員会の質疑録画をようやく見終わったが、最後の最後に質問に立った社民党福島党首の質問は、原発の再稼働阻止に絞り込みなかなかの優れものだった。
福島党首の質問に回答するなかで、菅首相、海江田経産相、班目委員長が揃って、福島第一の事故原因が津波だとは言えないことを表明し、暗に地震の要素が多分にあることをほのめかした。
巷間「津波原因説」が伝わっているなか、政府が“事故原因は不明”との答弁(公式見解)したのは一大スクープであるにも関わらず、腐り切っている大手メディアは国会でのこのやりとりをまったく無視している。
橋下大阪府知事や西川福井県知事などは地震による瓦解を強く疑っているが、世の中は、「想定外の津波が原発事故の原因」と信じている人が圧倒的に多い。
そのようななか、海江田大臣を先頭に、停止中の原発を再稼働させるための攻勢が強まっている。
九電の玄海原発がいちばんもろそうだが、この機に停止中の原発の運転再開を阻止することが脱原発の最短の道だと確信する。
「事故の原因が不明」というのでは、この間やらせてきた政府の対策自体が“ハズレ”で、事故の抑制にほとんど意味を持たない可能性もあるわけだから、このまま停止中の原発を再開させるなんて、福島の事故を踏まえると狂気の持ち主以外できないことだ。
参議院でまだ議事録が掲載されていないのでぶつぶつ言いながら書きとったものを末尾に掲載するが、「事故原因不明」の部分をまず抽出して紹介する。
班目委員長の関連発言:
「事故原因の究明についてはまだ時間がかかると思います。」
(福島さんの引用)「班目さんは、衆議院のこの特別委員会において、事故原因をしっかり究明してやらなければ、これについては事故の事実関係すらはっきりしないということもあって、スケジュールまでちょっと申し上げられないと言っています」
「事故原因が究明されたらば、それは、当然、指針に反映されなければならない。したがって、指針の改定と並行して事故原因の反映も行っていきたい。」
海江田経産大臣の関連発言:
「そのうえで、現在、とくに、津波による全電源喪失というものが直接的な原因であったということは明らかであります。直接的でございます。これは。」
(保安院を管掌する経産大臣だけあって、ただ一人、必死に津波説を取り上げているが、わざわざ、津波が原因であるとは言い切れないニュアンスの補足をしている)
菅首相の関連発言:
「まあ、今回の事故で全電源が落ちたこと。そして、それを本来ならカバーすべきディーゼルが動かなかったこと。津波で動かなかったこと。また今ご指摘のように地震そのもので、どの部分が大丈夫であったか、あるいは、どの部分に損傷があったのかということは、その後の津波の影響ではっきりとしない状況にあることなど、非常にそういった意味で、今回の検証はまだまだこれから本格的に始まると、このように理解しております。」
(内閣総理大臣が「地震瓦解」の可能性を指摘しているのは実に重いことである。「津波原因説」は誰がふりまいているのか知らないが、なんの根拠もないまま伝播しているウソだということになる。これこそが最大の“風評被害”であろう)
福島党首の事故原因をめぐる発言:
「IAEAに対する日本の報告でも、地震によって何が起きたかまだわからないという状況です。私は、地震によってもかなり配管が壊れたのではないかと思っています。班目委員長、しっかり事故原因の究明をしないかぎり、まっとうな安全設計指針はできないということでよろしいですね?」
「IAEAへの報告でも、政府は、現在までのところ地震による大きな損壊は確認されていないが、詳細な状況についてはまだ不明であり、さらなる調査が必要であるといって、地震によって何が起きたかについてはわからないと言っているんですよ。」
(福島さんの「地震によってもかなり配管が壊れたのではないか」という発言に、上述の3人は誰も何も反応していない。そんなことはないとは言えない事故情報を持っていることを示唆する)
このように、海江田大臣の発言以外、「津波原因説」と思しきものはないのである。
海江田発言も、慎重に言葉を選びながら、津波原因説を語っている。
以下に、やりとりの全体があるのでじっくりお読みいただきたい。
==============================================================================
【17日(金)参議院復興特別委員会:社民党福島党首の質疑内容】
※職名ならびに敬称略。
福島:
「原子力安全委員長、安全設計・耐震設計の審査指針について見直しをするのか?」
班目:
「見直しにするということで検討を開始したところです。」
福島:
「事故原因の究明をしっかりしたうえで、安全評価指針を見直すということでよろしいですね?」
班目:
「事故原因の究明についてはまだ時間がかかると思います。
したがって、まずは指針の改訂すべき点を洗い出し、専門家のコンセンサスが得られるところから順次改定していきたい」
福島:
「班目さんは、衆議院のこの特別委員会において、事故原因をしっかり究明してやらなければ、これについては事故の事実関係すらはっきりしないということもあって、スケジュールまでちょっと申し上げられないと言っています。
事故原因の究明をしっかりやらなければなりません。
IAEAに対する日本の報告でも、地震によって何が起きたかまだわからないという状況です。
私は、地震によってもかなり配管が壊れたのではないかと思っています。
班目委員長、しっかり事故原因の究明をしないかぎり、まっとうな安全設計指針はできないということでよろしいですね?」
班目:
「事故原因が究明されたらば、それは、当然、指針に反映されなければならない。
したがって、指針の改定と並行して事故原因の反映も行っていきたい。」
福島:
「ダメですよ。
地震によって何が起きたか、津波によって何が起きたか、しっかり検証しなければ、安全指針なんてつくれないんですよ。
今までの安全指針はデタラメでした。
安全設計指針は、地震、津波によって複数の設備機械が同時に故障するということを考えてない。全電源喪失などは配慮しなくていいっていうのが日本の今までの安全設計指針だったんです。原子力安全委員会は全面的に敗北したと思っています。
新たに造り直さなければダメだ。
これは、保安院についても、審査基準、これが無効になったというふうに思っています。今までの安全審査の結果与えられてきた設置許可は無効でダメになったと思っていますが、総理いかがですか?」
菅:
(もごもごと)
「まあ、少なくとも、これまで安全指針をクリアしていた福島原発、東電原発がこうした重大な事故を起こしたわけでありますから、これまでの指針が十分でなかったということは、これははっきりと申し上げることができると思います」
福島:
「今総理が言われたように、福島原発事故が起きた。今までの安全審査指針、安全基準はダメだったですよ、役に立たなかったですよ。福島原発事故を防げなかったんですよ。
安全評価指針をつくり直し安全審査をやり直さないで、定期検査の合格はありえない、と考えますが、いかがですか? 総理!」
海江田:
「今、班目委員長からもありましたけれど、今回の東京電力福島第一発電所の事故をしっかりと教訓化をして、新たな安全基準をつくると。
経産省でも、経産省は発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令というものがございます。これをやっぱり直さなければいけないと思っています。
そのうえで、現在、とくに、津波による全電源喪失というものが直接的な原因であったということは明らかであります。直接的でございます。これは。
そして、これをなんとかして防がなければいけないということで、緊急安全対策で3月30日付け、これは緊急の電源の確保ということをまずやりました。それから、それに続きまして、今回、IAEAへの報告も踏まえまして、6月7日付でこれはさらなるたとえば水素爆発に対する対応など今回の事故で得られた知見、ただちに手を着けられるものについては、6月7日付けで指示をいたしました。その回答が14日にまいりましたから、真剣に慎重に検討しているところです」
福島:
「小手先ではダメですよ。3月30日に保安院が出しているのは小手先のことです。それから、津波だけではだめなんですよ。
IAEAへの報告でも、政府は、現在までのところ地震による大きな損壊は確認されていないが、詳細な状況についてはまだ不明であり、さらなる調査が必要であるといって、地震によって何が起きたかについてはわからないと言っているんですよ。
だとしたら、津波対策をちょろちょろやって済むという話ではないじゃないですか。
今までの原子力安全委員会の安全審査指針、保安院の安全基準、これは無効になったんですよ、役に立たなかった、それが今回の福島原発事故です。
だとしたら、ちょちょっと変える、津波対策をちょちょっとやるのじゃなくて、IAEAに報告しているじゃないですか、28の教訓。これを全部、きっちりやるぐらいの、これは私、実は28項目はできないと思っているんですが、こんなことをやったら、それをやろうとしたら原発は撤退するしかないと実は思っていますが。
総理、今重要な局面で、再稼働を認めるかどうかなんですね。
今までの安全審査基準でOKです、なんてやったら、また事故が起きるかもしれない。
日本はもう一度事故が起きたら破滅しますよ。
再稼働をするにあたって、しっかり新たな安全指針をつくり直せ。そうでない限り安全のお墨付きがないわけですから、できないと思いますがどうですか?」
海江田:
「IAEAへの報告で28あるということですが、この28はしっかりやらせていただきます。ただ、時間軸も考えなければいけません。ちょろちょろとかいろんな表現がございますが、私はやはり緊急に今この時点でやらなければならないことのものを3月30日そして6月7日に指示をしたところでございます」
福島:
「3月31日の指示は、津波についての、たとえば非常用電源車とかそういうもんですよ。非常用電源車がどれだけ使えるか、それはほんの一部のことじゃないですか。
私は正直今日の答弁聞いて、保安院もほんと頭も切り替えができてないと思いますよ。福島原発事故から本当の教訓を得てないと思いますよ。
まるで原発事故などなかったかのように続けていっちゃあダメですよ。
総理、このことについてお聞きをします。
福井県の西川知事は、「県民の安全性の確保を優先する。国が示した緊急安全対策は津波対策に偏っている。地震の揺れの影響が検証されていないとして、県の要請を反映した暫定的な安全基準を国が設けない限り再稼働しない」と言っています。
県知事は県民の命を守る必要があります。
しっかり、これはとことん安全性の基準を見直さない限り、再稼働ができないと思いますが、いかがですか?」
菅:
「まあ、今回の事故で全電源が落ちたこと。そして、それを本来ならカバーすべきディーゼルが動かなかったこと。津波で動かなかったこと。
また今ご指摘のように地震そのもので、どの部分が大丈夫であったか、あるいは、どの部分に損傷があったのかということは、その後の津波の影響ではっきりとしない状況にあることなど、非常にそういった意味で、今回の検証はまだまだこれから本格的に始まると、このように理解しております。
そのいうなかにあって、再稼働については、安全性と言うものをまずしっかり確保することが大前提であり、そのうえで、一方での電力需要といった問題もありますが、何をおいても安全性の確保というものが重視しなければならないということは私はその通りだとこう考えております」
福島:
「安全審査基準を変え、安全基準を変えないかぎり再稼働はできないと思います。総理、安全性の確保と言うことは、それぐらいのことだということでいいですね」
菅:
「最終的には、安全指針やあの基準というものが、検証の結果変えられていくということになろうかと思います」
福島:
「官房長官にお聞きをします。(停止中の原発の再稼働は)地元の自治体の了解が必要ということでいいですね」
枝野:
「あの、私は、社会的意味でそういったことが重要であろうと記者会見等で言いました」
福島:
「社民党は脱原発アクションプログラムをつくりました。2020年までに原発ゼロ。原発ゼロになるように、そして、再稼働は安全性の確認ができない限り許さないと、しっかりやるべきだと政府に申し上げて質問を終わります」
※ 参議院審議中継サイト
録画で生々しいやり取りが見れます。
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
6月17日東日本震災復興特別委員会
録画の3時間58分後から福島党首の質疑
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素13掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。