http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/917.html
Tweet |
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20110618ddlk07070174000c.html
ほんとの空へ・お〜い福島:原発やめ、故郷を取り戻せ=山田孝男 /福島
93年から95年まで毎日新聞福島支局のデスク(次長)だった。赴任は秋。最初の週末、カミさんと小3の娘、3歳の息子を連れ、土湯温泉(福島市)にちかい男沼(おぬま)へ出かけた。林のしめったにおいがすばらしく、思わず深呼吸したことを覚えている。
休日に県内を回り、山形や新潟へも足を延ばした。花見山の桜をめで、キノコ鍋に舌鼓を打ち、下手なりにスキーもやり、へっぴり腰でカヌーをこいだ。水と緑と白銀の忘れがたき福島が、いまは「強毒の放射性物質が飛散する汚染地域」として内外の耳目を集めている。原因は言わずもがな、原発だ。
福島を離れて16年後の今年4月初め、三陸の被災地を回る道すがら、郡山市に佐藤栄佐久前知事を訪ねた。この時、前知事自ら原発と県政の歴史を整理した年表の写しをいただいた。今あらためてそれを見ると、私が支局次長だった94年4月13日の項に、こういう記述がある。
「(国から)第一発電所の使用済み燃料共用プール設置了解要請あり。通産課長が使用済み燃料を『2010年から撤去』と約束したが、策定された国の長期計画では『2010年に撤去を検討』となっていた……」
通産は通商産業省(現経済産業省)。使用済み核燃料は高レベル放射性廃棄物だ。要するに、通産省が二枚舌を使った。それと気づいた前知事が電話を入れると、課長は異動していた。「役人には顔がない」。怒りの回想は、前知事が手記「知事抹殺!」(09年平凡社)に書き込んだ国政批判の核心だ。
これは、当時2期目の半ばにさしかかっていた前知事の転機を示す逸話である。以後、前知事は原発推進派から脱原発派へ向かう。
使用済み核燃料の問題は今でこそ明白だが、当時の私はよく理解していなかった。支局員だった大島透記者(現熊本支局長)が国・東電と県のズレに気づき、福島版で「オフサイドの構図」という連載企画をやった。
サッカー施設の寄贈をエサに危険を押しつける国と東電。反則めいた暴走への皮肉をタイトルに込めた。大島君の緻密な取材と抜群の文章力が評判になった。我々に今の知識と問題意識があれば、さらに深い記事になったと思う。
福島でいろいろなことを教わり、今も学ばせてもらっている。県民であろうとなかろうと、くむべき教訓は「原発をやめ、故郷を取り戻せ」しかないと確信している。(毎週土曜日掲載)
■人物略歴
◇やまだ・たかお
1952年東京生まれ。早大卒。75年毎日新聞社入社。長崎支局、西部本社報道部を経て政治部。93年福島支局次長。政治部長、東京本社編集局次長、同編集局総務。07年から政治部専門編集委員。月曜朝刊コラム「風知草」筆者。
毎日新聞 2011年6月18日 地方版
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素12掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。