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昨日(16日)お昼のNHKニュースで報じられた話だが、厚労省は、先月までに、「義捐金や補償仮払いを収入とみなし、金額がある限度を超えた場合は生活保護の打ち切りをするよう各地方自治体に通達したという。
この通達により、既に、福島県の3つの自治体でおよそ160世帯の生活保護が打ち切りになったという。内訳は、南相馬市で400世帯のうち約150世帯、いわき市で2世帯、楢葉町で避難先の自治体からの分で5世帯である。
厚労省の担当者は、そのような通達を出した理由と対応について、「受け取った金額が生活用品の購入基準を上回った場合、その分を収入とみなす。手持ちのお金がなくなったら改めて生活保護の申請をして欲しい。生活保護はあくまで最低限の生活に必要なお金が得られない人の救済制度なのだから」とNHKに説明したという。
この話を、全面的に“ひでぇー話”と見るか、部分的に“ひでぇー話”と見るか、まったく問題ない健全な話としてみるかは分かれるところだろう。
(いやいや、分かれないって、厚労省はふざけているに決まっているじゃないかという声が聞こえた感じもするが..)
私は、全面的に“ひでぇー話”か、部分的に“ひでぇー話”かでけっこう迷った。
厚労省担当者の説明は一般論としては間違っていない。
だから、問題は、義捐金や賠償金がどのような性格のお金なのかということになる。
まず、わかりやすい賠償金のほうを考えてみる。
なぜわかりやすいかというと、生活保護は受けていなかった家族が原発事故で生活基盤を失って避難している場合もあり、そういう方々とのバランスをどう考えるかという視点があるからである。
生活保護受給家族と非生活保護家族の賠償金仮払い受領額が同じだとすれば(同じ家族構成であれば同じはず)、生活基盤を失った非生活保護家族は「賠償金仮払い」だけが手にするお金であるのに対し、生活保護受給家族は「賠償金仮払い+生活保護受給額」を手にすることになる。
そう考えながらも、やはり、東電が引き起こした原発事故で被害を被っているのに、ただ生活費云々で賠償金をとらえてしまっていいものなのかという疑問もある。
賠償金には、住み慣れた生活空間から追い立てられた苦痛や放射能汚染におののいた苦悩などに対する部分も含まれているわけだから、すべてが生活費のためとは言えないはずだ。
ということは、東電が支払う賠償金は、生活保障の部分と苦痛を与えた部分にきちんと分別されなければならないことになる。
生活保護受給者は、生活保障の部分を受け取らず、苦痛に対する賠償部分のみを受け取るという方法もあるが、それだと東電に個人情報が伝わることになるので、地方自治体が生活保護の受給権を認めながら、東電から生活保障が支払われる限りにおいては支給をしないという方法がいいだろう。
なぜ、そういう回りくどいことを提唱するのかと言えば、「手持ちのお金がなくなったら改めて生活保護の申請をして欲しい」という手続きの煩雑さを回避するためである。
既に経験している、役所に行って生活保護を申請する理由をあれこれ説明し書類をあれこれ整えるという手続きを再びしなくてもいいようにするためである。
厚労省が生活保護をいったん打ち切るよう指導しているのも、再選別ができたり手続きの煩わしさで再申請しない人も出てくることで少しでも生活保護受給者を減らしたいからであろう。
しかし、原発事故は、東電が主犯だが、政府だって主犯に近い共犯者なのだ。
その政府が、被害者の一部におかしな仕打ちを持ち出すのはいかがなものかと思う。
次に義捐金のほうである。
義捐金については、生活保護を継続するかどうかの判断基準に使うべきではないと考える。
義捐金は、家族を亡くしたり、生活保護世帯は持ち家ではないのだろうが、家が壊れたりした人に支払われるものであり、世の人々の被災者に対する思いやり=お見舞いである。
総額で2500億円を超えたといっても、個々の世帯に渡る金額は多くても数百万円単位だろうし、建て替えなどそれ以上の出費が待っているケースが多い。そして賠償金と違い一過性のものである。
そういう性格のものなのに、政府が義捐金にまであれこれ目を付けるのは尋常ではないと思う。
なぜ、そういう判断をしたかと言えば、この問題は、生活保護世帯にだけ関わる問題ではなく、一般世帯にも関わってくる可能性があるからである。
「収入とみなす」という厚労省の言い分が通るのなら、義捐金を受け取った一般世帯も収入になるわけだから、所得税や住民税の課税対象とされる可能性がある。
ただでさえ様々な心労ともの要りが重なっているのに、善意の象徴でもある義捐金にまで政府が手を突っ込むのはあまりにやりすぎであろう。
ということで、私は、賠償金の生活費の部分だけは厚労省の言い分を理解する。
ただし、生活保護を打ち切るというかたちではなく、賠償金を生活費に充当してもらいながら生活保護の受給権は維持するというものである。
しかしまあ、食品の放射能汚染の検査方法をごまかす通達といい、厚労省は、えぐいことだけはしゃかりきになって実行する役所のようだ。
社会保障費を削っていくことが今後の最大の国策になりそうだから、率先して範を垂れているのだろう。いやいや、ほんとに困った連中だ。
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