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チェルノブイリと福島のセシウム汚染住民避難への対処法はどうだったのか――旧ソ連政府は現在の日本政府より住民の安全サイドに
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/813.html
投稿者 sci 日時 2011 年 6 月 16 日 05:16:34: 6WQSToHgoAVCQ
 

http://diamond.jp/articles/-/12730
【第179回】 2011年6月16日坪井賢一 [ダイヤモンド社論説委員]
チェルノブイリと福島のセシウム汚染住民避難への対処法はどうだったのか――旧ソ連政府は現在の日本政府より住民の安全サイドに立っていた福島原発震災 チェルノブイリの教訓(9)
 いつのまにか福島原発の4つの事故炉から放出された放射性物質の総量が倍増していた。誤差を考えるとチェルノブイリの約14%から20%で ある。関東平野まで広範囲に汚染したことは間違いないが、もっとも心配なのは原発から80キロ圏だ。チェルノブイリの14−20%とはいえ、周辺の汚染濃 度はチェルノブイリ並みであることが検証されている。
 本題に入る前に、前回「足柄のお茶はなぜ汚染されたのか」について追記する。「お茶は葉ではなく、根からセシウムを吸い上げた」、と筆者の推測を書いたが、農水省が「根からではなく、古い葉に吸着したセシウムが幹に流れて新しい葉にいたった」(筆者要約)という見解を6月2日に発表したので紹介しよう。

お茶の放射性セシウムの実態に関する調査結果について 6月2日 農林水産省
1 調査の趣旨生葉(新芽)・荒茶・飲用茶の各段階における放射性セシウムの関係及び茶樹の汚染メカニズムを考察するため、茶葉及び土壌を採取し分析。
2 調査結果(1)生葉、荒茶、飲料茶における放射性セシウム濃度   [1] 生葉から荒茶に加工される過程で重量は約1/5に変化。    放射性セシウム濃度は、水分の減少に応じて高くなっており、    加工過程でセシウム自体はほとんど失われない。   [2] 荒茶から熱水で抽出する段階で、飲用部分に抽出される    放射性セシウムは、5〜6割程度。(2)茶樹の汚染メカニズム   [1] 古葉に含まれる放射性セシウムは、生葉(新芽)と    ほぼ同程度(乾物重量比ベース)。   [2] 土壌中の放射性セシウム濃度は、畝間で概ね260    ベクレル/キログラム以下、株元で概ね40ベクレル/キログラム    以下と低く、土壌からの吸収は、あまり考えられない。   [3] 調査茶園における茶の新芽は4月10日前後であり、    大量の放射性物質が放出された時点では、茶の新芽は    出ていない。   [4] 文献によれば、セシウムは、植物の葉面から吸収され、    植物体内を移動。また、お茶は、セシウムと類似する    カリウムをよく吸収。   [5] 以上のことから、今回、生葉(新芽)で検出された放射性    セシウムは、土壌中から吸収されたものではなく、古葉に付着    したものが葉面から吸収され、新芽に移動したものと推定。

 ということだが、農水省も「推定」であり、実証はこれからである。いずれにせよ、お茶の場合は次の収穫(2番茶)の段階では大幅に放射性物質は減少しているはずである。
 福島原発のメルトダウン(炉心溶融)と爆発によって飛散した放射性物質の総量が訂正され、倍増した。当初、原子力安全・保安院は37万テラベクレ ル(1テラ=1兆)としていたが、この2倍に当たる放出量だったと先ごろ訂正された(以下、単位はわかりやすいように変えた)。
 2倍ということは74万テラベクレルだから、チェルノブイリ原発事故で放出された総量520万テラベクレルの14.2%である。またあとで増えそうな気もするが、誤差を考慮して当面、14−20%くらいと考えよう。
 本当は、核種別の放出量がわかればいいのだが、まだ公表されていない。核種別の量をインヴェントリー(目録)という。東電や経産省は把握しているはずである。
次のページ>>チェルノブイリ事故の核種別推計放出量は更新されている
 チェルノブイリ原発の場合は、旧ソ連政府がIAEA(国際原子力機関)に事故4か月後の1986年8月に報告している。その後データは更新されている。本連載第2回では1986年の資料を紹介したが、ここでIAEAが公表した2006年のデータを転載しておく。

元素           半減期      放出量推計(ペタベクレル)
【不活性ガス】クリプトン85      10.72年         33キセノン133       5.25日         6500
【揮発性元素】テルル129m       33.6日          240テルル132        3.26日       1150以下ヨウ素131        8.04日       1760以下ヨウ素133       20.8時間         910セシウム134      2.06年        47以下セシウム136      13.1日          36セシウム137     30.0年        85以下
【揮発性中間生成物の元素】ストロンチウム89    50.5日       115以下ストロンチウム90   29.12年      10以下ルテニウム103     39.3日       168以上ルテニウム106     368日        73以上バリウム140       12.8日        240
【難溶性元素(核燃料微粒子)】ジルコニウム95     64.0日         84モリブデン99     2.75日       72以上セリウム141      32.5日         84セリウム144      284日         50以下ネプチウム239     2.35日        400プルトニウム238   87.74年       0.015プルトニウム239  2万4065年    0.013プルトニウム240    6537年     0.018プルトニウム241     14.4年      2.6以下プルトニウム242   37万6000年   0.00004キュリウム242      18.1年      0.4以下出展:IAEA,2006

 太字にした元素は半減期が長く、総量も多く、最も危険な放射性物質である。ヨウ素131は半減期が8日と短く、危険な時期は過ぎている。これからまた大飛散事故が起きれば別だが。
 ストロンチウム90が福島県や海で検出されている。セシウムより量ははるかに少ないが、危険度は高いといわれている。関東平野や静岡県でもお茶から検出されたセシウム134と137は、福島県や関東地方に広く降下していると考えられる。
次のページ>>5月6日公表の80キロ圏の汚染地図が最も信頼できる資料
 関東では、茨城県南西部、千葉県北西部、東京都東部が、その周囲よりも5倍から10倍も空間線量率が高いことは前回書いた。これは大気中や降下し たセシウムから出ている放射線である。各自治体が毎日のように観測してHPで公開しているのでご覧いただきたい。適当な市役所や区役所のホームページへア クセスすると、トップページに記載されている。
 もっとも汚染されているのは福島県だが、詳細な核種や放射線濃度は、現在、計測している最中だ。結果が出るまで1か月以上かかるらしい。したがって大づかみにしかわからないが、5月6日に公表された80キロ圏の汚染地図がもっとも信頼できる資料である。
 下の地図をご覧いただきたい。周辺はまったくチェルノブイリと同じ状況である。たしかに汚染面積は約10分の1から5分の1だが、汚染の度合いは同じか、それ以上である。

 このマップは文部科学省とDOE(米国エネルギー省)による上空からの調査結果で、5月6日に公表したものである。1u当たりセシウム137の蓄積量をマッピングしたものだ。公表されたマップはほかに、セシウム134、134と137の合計などがあるので、直接アクセスしてご覧いただきたい。
 もっとも濃いエリアから順に、セシウムの量はこうなっている。
【橙色】300万−1470万ベクレル/u【黄色】100万−300万ベクレル/u【緑色】60万−100万ベクレル/u【水色】30万−60万ベクレル/u【青色】30万ベクレル/u以下
 5月24日に開催された原子力委員会の定例会議で、河田東海夫・原子力発電環境整備機構フェローが「土地問題とその対応」と題した報告を行ない、その記録が原子力委員会のホームページで公開されている。
次のページ>>ソ連は住民への負荷よりも政府への負荷を考慮したのだろうが
 河田氏によると、「チェルノブイリ事故に比べ、面積的には一桁狭いが、濃度的には同事故に匹敵する土壌のセシウム汚染が生じている」として、次の計数をあげている。

【汚染レベル】セシウム134と137
●55万5000−148万ベクレル/uの汚染地域約700ku(福島)約7200ku(チェルノブイリ)
●148万ベクレル/u以上の汚染地域約600 ku(福島)約3100 ku(チェルノブイリ)

 また、河田氏はチェルノブイリ事故時の避難体制について、数字をあげながらこう書いている。「住民の生活への過大な負荷を強いる結果に」なった、と。
 どういう意味かというと、チェルノブイリでは土壌汚染が148万ベクレル/u以上で「居住禁止区域」となり、強制的に移住させられる。
 次に、55万5000ベクレル/u以上で「特別放射線管理区域」に指定され、一時移住区域、農地利用禁止となる。
 さらに、18万5000ベクレル/uが「高汚染地域」で、移住権が付与される。
 そして、3万7000ベクレル/uが「汚染地域」に指定される。
 ソ連政府はかなり厳しく対処していたわけだ。河田氏は、やや過剰で、移住に伴う住民への負荷が大きすぎた、と述べているわけだ(筆者要約)。
 福島の汚染地図をご覧いただきたい。緑色の地域以上が、チェルノブイリでは一時移住と居住禁止区域となる。福島では20キロ−30キロ圏とそれ以遠の一部が「緊急時避難準備区域」と「計画的避難区域」である。
「緊急時避難準備区域」では、「住民に対して常に緊急的に屋内退避や自力での避難ができるようにすることが求められます」(経産省)、「計画的避 難区域」は、「住民等に概ね1ヶ月を目途に別の場所に計画的に避難を求める」(経産省)というもので、政府の強制にはなっていない。
 どちらかというと、旧ソ連の方が住民の安全サイドに立って行政機関が動いていたのである。住民への過大な負荷を考慮したとも思えない。政府への負荷を軽減したのではあろうが。
 次回は、旧ソ連政府による「除染作業」の経過を調べてみたい。
【参考文献】●河田東海夫「土壌汚染問題とその対応」(第16回原子力委員会における報告、2011年5月24日)●‘Environmental Consequences Of The Chernobyl Accident and Their Remediation Twenty Years Of Experiences' Report of the Chernobyl Forum Expert Group ‘Environment’, IAEA,2006● ‘Chernobyl Ten Years On’ OECD, 1995●文部科学省ホームページ(汚染マップ)
※「福島原発震災――チェルノブイリの教訓」シリーズの過去記事はこちら
(1)チェルノブイリの教訓を生かせ(2)子どもの甲状腺被曝検査の継続を(3)ソ連政府はどのように収束させたのか(4)汚染食品のデータをどう読むか(5)「クリーンエネルギー原子力推進」をだれが言い出したのか(6)学校の放射線許容量はなぜ迷走しているのか(7)菅首相の「浜岡原発停止要請」は唐突ではない(8)足柄のお茶はなぜ汚染されたか 関東平野の放射能汚染状況
 

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コメント
 
01. 2011年6月16日 05:44:41: vJW61Ise0M
>チェルノブイリの14−20%とはいえ、周辺の汚染濃 度はチェルノブイリ並みであることが検証されている。

実際にはチェルノブイリより高濃度の土壌汚染が確認されている。
被害は放出した量じゃなく、周辺を汚染した量なのだからとっくにチェルノブイリを越えているって事です。

毒が混入した量は少なかったが、食べた量は多かった。
発射した弾丸は少なかったが、撃たれて死んだ人は多かった。
売り上げは多かったが、利益は赤字だった。

放出量は少なかったが、周辺の汚染は多かった。


02. 2011年6月16日 06:16:41: 0GJJznkobY
放出量は推定値ですから、事故がレベル4からレベル7まで引き上げられたように
今後、また引き上げられる可能性があります。
現在までに既に初期発表の二倍に引き上げられました。

土壌汚染はチェルノブイリよりも深刻ですから、
恐らく本当の放出量は現在の推定値よりも大分大きいものでしょう。
海洋汚染も同様だと思います。

それに、日本の計測の仕方は独創的ですから、恐らくは少なめにしか
数値が出ないようになっているでしょう。


03. 2011年6月16日 12:43:37: h6cbKB908I
放出源の燃料の水との関係や形状や位置が全く把握できてないのに、
どうやって放出量を推定したんでしょうね。
燃料棒の質量からの推定だけか、汚染実態も推定根拠に含めたか?。

東電には、ろくな専門家がいないのだから、推定計算の根拠を一言二言
載せないと、他の専門家にふれられたくないのではないかという疑いを
もってしまいます。


04. 恵也 2011年6月16日 15:44:52: cdRlA.6W79UEw : DdmUtZe8Uk
>>02 恐らく本当の放出量は現在の推定値よりも大分大きいものでしょう。

俺もそう思う。
チェルノブイリでは空気中に黒鉛が燃えて吹き上げてたけど、フクシマでは
融けて流れて地下に潜り始めてる。もう回収は不可能でしょう。

チェルノブイリでは100万Kwが1機だけ壊れただけだが、フクシマはまとめて
4機も壊れて、300万Kwで使用済み燃料まで同じ場所に保管してた。
桁はフクシマの方が大きい。

水で冷やすことで、少しでも放出量を減らすことくらいが日本人に出来ること。
チェルノブイリでは核燃料を10トン放出したといわれてます。


05. 2011年6月17日 13:53:28: JJCI3tvMhQ
日本政府及び東電もひどいが、それに輪をかけて国民がひどすぎる。
ドイツやイタリアに比べて民度が低い。

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