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2011-06-13
〔フクシマ・NEWS〕 ニューヨーク・タイムズが事故後の日本の迷走ぶりを調査報道 ・菅政権(なぜか)当初「対米不信」・官邸が「SPEEDT」の存在を知ったのは、なんと事故が起きて5日後の3月16日のこと ・オバマ政権 北朝鮮の核開発監視用衛星などを使い放射能を測定 日本政府の「事故過小評価」を確信 情報共有の圧力をかけることを決定 ・あの自衛隊ヘリの「水投下」はワシントン向けのサイン 菅首相から電話を受けたオバマ大統領 その足でワシントンの日本大使館を初弔問 ・日米定例協議、21日になってようやく開催
ニューヨーク・タイムズは12日、「原発危機に輪をかけた不信(In Nuclear Crisis, Crippling Mistrust)」と題する長文の記事を掲げた。
ノリミツ・オオニシ、マーチン・ファクラー両記者による調査報道で、事故発生後の菅直人・官邸の動き、官僚機構や東電の動向など日本当局の迷走の全容が、危機感を深めた米政府の対応ぶりとともに明らかにされている。
⇒ http://www.nytimes.com/2011/06/13/world/asia/13japan.html?emc=tnt&tntemail1=y
以下、記事のハイライト部分を紹介する。
頼りは原発を知らないひとにぎりのアドバイザー
タイムズの記事は、官僚と産業界の融合に不信感を持つ菅直人首相が、事故発生直後、原発について知識を持ち合わせていない「一握りのアドバイザー」に頼った経過を確認している。
これは菅直人首相の支持者も批判者も同様に指摘していることだが、これらのアドバイザーたちは、これだけの災害に対処したことのない人たちだったことから、菅直人首相が事故の重大さをいち早く把握するのを阻んでしまった。アドバイザーがいったいどこの誰に聞いたらいいかも分からない場面もしばしばあったそうだ。
では、なぜ首相は「一握りのアドバイザー」に頼った(頼らざるを得なかった?――大沼)。
これについてタイムズ紙は、以下の点を挙げている。
ひとつは、草の根の市民活動家出身の菅直人首相が、官僚と業界の癒着関係に疑問を持ちながら政治家としてキャリアを積み重ねた人物で、なかでも原発の官界と業界の癒着を「最悪の癒着」(松本健一内閣官房参与)と見ていたこと。(厚生大臣時代のエイズ血液製剤事件における菅直人の実績についてもタイムズ紙は紹介している)
もうひとつは、「なによりも東電から正確な情報が入って来なかった」(松本参与)ことで、首相の東電、及び官僚不信に拍車がかかったからだ。
生かされなかった「危機管理システム」
この結果として、米国のホワイトハウスのものをモデルに1986年に策定され、その後、修正が加えられて来た「危機管理システム」が生かされなかった。
菅直人の支持者の間からさえ、この「危機管理システム」を使っていれば、より速く、より果敢な動きが出来ていたかも知れないとの指摘が出ているという。
この点に関してタイムズ紙の記事は、放射能汚染拡散シュミレーションの「SPEEDT」をめぐる、こんな事実を明らかにしている。
寺田学ら首相アドバイザーらによると、官邸が「SPEEDT」の存在を知ったのは、なんと事故が起きて5日後の3月16日のこと。
民主党の川内博史議員が「SPEEDT」を管理する文科省にどうして事故発生直後、官邸に知らせなかったのか問いただしたところ、文科省の答えは「官邸から言われたかったから」だった。
川内議員は、原発周辺の住民の多くは、冬だから風向きは北と判断して、(放射能雲が流れた)北に逃げ、放射能雲にとらわれ、被曝を余儀なくされたと指摘している。(「SPEEDT」が活用されていれば、被曝は回避できたかも知れない――大沼)
「官邸のムード」で海水注入停止命令 菅首相「東電で信頼できるのは吉田所長だけ」
タイムズの記事は「海水注入」のドタバタ劇についても触れている。3月12日、ツナミが襲来して28時間後、東電は海水注入を命じ、そのわずか21分後に注入中止を命じた。
これは東電が(海水注入が再臨界を引き起こす、と班目・原子力安全委員長が言ったとか言わなかったという問題に起因する)「官邸のムード」を察したための注水停止命令だった。
これは結局、現場の吉田昌郎所長による本店の命令を命令を無視する決断によって回避されることになったが、かつて内閣安全保障室長を務めた佐々淳行氏は同紙の取材に対して「ムードを見て決めたと……そんな冗談を。ムードで注水停止決断をしたって?」と痛烈に批判した。
タイムズの記事は吉田所長がこれによって「時ならぬ英雄」となったと書き、子ども時代の同級生の証言をとるなどして、吉田氏の真っ直ぐな人物ぶりに触れているが、菅直人首相が事故後、現場入りして対面して以来、同じ東工大卒ということもあって、吉田氏を信頼し、「東電で信用できるのは、吉田氏だけだ」と周囲に漏らしたこともあったという。(松本健一参与の証言)
同紙の記事はさらに3月15日午前5時半の菅直人首相の東電本店入りし、「現場からの撤退は問題外。冗談いうんじゃない」と怒鳴り上げたことも紹介している。
アドバイザーの一人によると、この東電視察で細野豪志を本店に常駐させたことで、「初めて東電が何を議論しているか、何を知っているか」首相官邸が把握することになった。
内閣参与になった東工大の有富正憲教授は、「もっと速く動きべきだった。それでも東電は5月半ばまで、メルトダウンなどの重要情報を開示しなかった」と指摘している。
米政権 「情報を共有しないなら、在日米軍本体を引き揚げる」
菅政権と米国の関係も、菅首相が当初、米国からの支援の受け入れを渋ったことから、ギクシャクしたものとなった。
寺田学補佐官によれば、「われわれは対米関係を損なう渦巻きに巻き込まれていた。われわれは米国に対する信頼を失っていた。そして東電はわれわれに対する信頼をなくしていた」
(この部分の原文は、“We found ourselves in a downward spiral, which hurt relations with the United States,” said Manabu Terada, a lawmaker who served as an aide to Mr. Kan at that time. “We lost credibility with America, and Tepco lost credibility with us.” タイムズの記事には、なぜ菅直人政権が原発事故で米国に対する信頼を失ったか、に関する理由の説明はない。菅政権はなぜ、同盟国であるはずのアメリカに対する信頼を、一時的にせよ、なくしたか?――謎である)
オバマ政権は事故発生後48時間以内にNRC(米原子力規制委員会)の専門家チームを日本に急派するとともに、ふだんが北朝鮮の核開発の監視に使っている米軍の偵察衛星や空母艦載機による測定で、トーキョー(TOKYO)が事故を過小評価していることを確信した。オバマ政権は菅直人政権に対し、情報を共有するよう圧力をかける決定を行い、3月16日には、米国人80キロ圏外避難をルース大使を通じて日本政府に通告、在日米軍基地から軍人家族の脱出を開始し、もしトーキョーが情報共有を拒み続けるなら、在日米軍のそのものの一部を引き揚げる可能性さえ示した。
The Americans also began voluntary evacuations of nonessential personnel at their bases, and hinted at more drastic steps, even pulling out some essential military personnel, if Tokyo did not share more information, said this American official and Japanese officials, including Mr. Terada.
こうした状況の中で菅直人首相は最大の努力を払っていることを、ワシントン及び日本国民に示すため自衛隊ヘリによる水の投下作戦を実施し、オバマ大統領に電話で報告。
米側はこれを菅首相がオバマ大統領の支援受け入れを承認したサインと受け止め、オバマはその日のうちに、ワシントンの日本大使館で記帳を行い、震災犠牲者への弔意を明らかにした。
日米の当局者、専門家が毎日顔を合わせて情報を交換、対策を話し合う定例協議が始まったのは3月21日。
官邸で開かれた最初の協議には、米側からNRC、大使館、米軍当局者ら50人が参加、日本側からは政治家、関係する5つの省の担当者、保安院、東電関係者が出席した。
この初回協議に先立ち、日本側の参加者は事前に1時間にわたって協議し、打ち合わせを行った。
なんと、この事前の打ち合わせの場が、日本側の関係者が一堂に会して話し合った最初の場面だったという。
この日米協議を調整した民主党の長島一由代議士は「米国の苛立ちが日本側に危機管理を改善するチャンスを与えれくれた」と語った。
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