http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/663.html
Tweet |
「[外部電源喪失のウソ]外部電源が維持されていたら今の福島第一は?:03. さんのコメントに応えて」
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/586.html
のコメント欄で行っていたやり取りを、元スレが深くなったので新規スレッドにさせていただきます。
経緯がわからない方も多いと思うので、末尾にやり取りの最初からを転載します。
このやり取りを初めて読まれる方は、====================ラインより下を先にお読みになられることをお勧めします。
----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
06. 2011年6月12日 09:47:17: i7CGvypOTw
>>04
詳細なご説明をありがとうございました。
>。ヨ蒸気凝縮系機能は、電源が無くても作動する」という説明は誤りです。
これが正しいとすると、週刊文春6月9日号P.25の記事
「蒸気凝縮系機能は、電源が無くても作動する」は間違っていることになります。
「蒸気凝縮系の熱交換器は、発電用タービンを回したあとの蒸気を凝縮する復水器と同じく海水で蒸気を冷やす」が正しければ、確かに電源が必要です。
「海水で蒸気を冷やす」でなく、空冷式にすれば電源は不要になるのではいか、と思います。
下記のサイトの図を見ると、余熱除去系蒸気凝縮系は原子炉の冷却のためと言うよりも、原子炉の圧力の上昇による破壊を避けるためにあるように見えます。
原子炉が崩壊熱で高温高圧になったとき、この余熱除去系蒸気凝縮系があれば蒸気を冷やして水へ戻し、サプレッション プールへ戻せます。サプレッション プールの圧力が1気圧であれば、加圧の必要はありません。
この余熱除去系蒸気凝縮系が無ければ原子炉が崩壊熱で高温高圧になったとき、ベントを行って炉心の放射性物質を含んだ蒸気を大量に大気中へ放出せねばならず、実際に東電はそうしました。
「蒸気凝縮系機能は、電源が無くても作動する」の意味は、「炉内の高温高圧の蒸気を冷却してサプレッション プールへ戻す」のには、「電源が無くても作動する」と解釈できませんか?
浜岡原子力発電所1号機 余熱除去系蒸気凝縮系配管撤去工事終了について
http://www.chuden.co.jp/corpo/publicity/press2002/1031_1.html
撤去範囲
蒸気凝縮系に関する配管、弁等を撤去した。
具体的には、高圧注入系分岐から余熱除去系熱交換器入口までの配管、及び余熱除去系熱交換器出口から原子炉隔離冷却系入口までの配管、及びその他蒸気凝縮系に関係する配管・弁等。(参考2参照)
【あっしら新規コメント】
06.さん、こんばんは。
レスが遅くなり申し訳ありません。
>「海水で蒸気を冷やす」でなく、空冷式にすれば電源は不要になるのではいか、
>と思います。
空冷式は空冷式で低い温度の空気を熱い蒸気が通る配管に吹き付けるためのファンを回す電源が必要です。
本格的な方式だと、欧米の原発で見られるような冷却塔を備え、空気をポンプで熱交換器に送るかたちになり、やはり電源が必要です。
また、空冷式は、熱交換器自体が大きく、常温の空気を取り入れ続けなければならないので密閉度の高い原子炉建屋に設置することはできず、外に設備する必要があります。
>余熱除去系蒸気凝縮系は原子炉の冷却のためと言うよりも、原子炉の圧力の上昇に
>よる破壊を避けるためにあるように見えます。
冷却材喪失事故(=急激な原子炉水位低下)のときに動く本来のECCS(高圧注水)と違い、残留熱(余熱)除去系は、急激な冷却を目指すものではなく、穏やかに冷却し原子炉の圧力を徐々に下げていくためのものです。
ECCSは冷水を一気に注入してしまうので原子炉圧力容器にダメージを与える危険性があり、停止した原子炉は残留熱除去系でゆっくり冷やしていくべきものです。
>原子炉が崩壊熱で高温高圧になったとき、この余熱除去系蒸気凝縮系があれば蒸気を
>冷やして水へ戻し、サプレッション プールへ戻せます。サプレッション プールの
>圧力が1気圧であれば、加圧の必要はありません。
ご紹介のサイトの図を見ると、S/Pに水を入れる機能(配管)は、撤去された凝縮系そのものではなく、残された残留熱除去系が持っているものと確認できます。
(図で、熱交換器の頂部につながっている、余熱除去系ポンプ(A)(B)からきている配管がそれを意味します)
>この余熱除去系蒸気凝縮系が無ければ原子炉が崩壊熱で高温高圧になったとき、
>ベントを行って炉心の放射性物質を含んだ蒸気を大量に大気中へ放出せねばならず、
>実際に東電はそうしました。
撤去された凝縮系があれば、主蒸気逃がし弁操作と相俟って、原子炉圧力容器の圧力をより軽減することができるとは思います。
主蒸気逃がし弁操作は、S/Pに溜めている水である程度の凝縮を実現しようとするものですから、必ずしもベントが必要なわけではありません。
ベントは、90気圧以上の圧力に耐える原子炉圧力容器よりも、10気圧を超えると破壊の危険性が高まる格納容器のために行う措置です。
ただし、ある種の凝縮装置であるS/Pの水は、主蒸気逃がし弁操作を行ったり格納容器に高温の蒸気や水が流入すると温度が上昇します。そうなると、凝縮機能が劣化したり失われたりします。
そのような状況になるのを防ぐためには、消火系を使って格納容器に注水しなければなりません。
今回の事故では、原子炉隔離時冷却系が動き、S/Pから水を汲み上げていた2号機でそれを行わなければならなかったのにやられなかったため、3月15日早朝S/Cが損壊したと考えています。
>「蒸気凝縮系機能は、電源が無くても作動する」の意味は、「炉内の高温高圧の蒸気を
>冷却してサプレッション プールへ戻す」のには、「電源が無くても作動する」と解釈
>できませんか?
凝縮した水を原子炉に戻すためには、電源が要らない(原子炉で発生した蒸気でタービンを回す)高圧注入ポンプがあるから「電源が無くても作動する」とは言えますが、「炉内の高温高圧の蒸気を冷却してサプレッション プールへ戻す」の“冷却”の部分で海水のポンプアップが必要ですから、そうは言えないと判断します。
====================================================================================
※ ここからがやり取りの最初です。
03. 2011年6月11日 23:29:07: i7CGvypOTw
>> 福島第一原発の安全装置ECCS(非常用炉心冷却装置)は8年前に外されていた
> 原口ツイッター情報で拡散したものらしいと承知していますが、高圧注水系に従来ついていた凝縮系装置を撤去した話で、ECCS自体を外したわけではありません。
週間文春6月9日号p.25に
「福島原発 内部文書入手! 非常時冷却システムを撤去した勝俣会長、安全よりも利益を優先した東京電力。その主張を追認した政治家、官僚の罪を問う」
に詳しく書かれています。
> もちろん、当初の設計では高圧注水系の機能を高めるために必要な装置と考えられていたのですから、機能が下がることは確かです。
上の記事には「蒸気凝縮系機能は、電源が無くても作動する」とあります。
電源が失われても炉心を冷却する装置を取り外したのだから、「機能が下がる」のではなく、機能が失われた、と言うべきです。
結局、福島原発の大事故は次の原因で起きたと言うことでしょうか。
1.電源が無くても作動する蒸気凝縮系機能を取り外してしまった。
2.3.2号機は、受電用遮断器に加え断路器も壊れており受電ができなかった。
3.4号機は、新福島変動所構内の鉄塔が傾き電線が鉄塔と接触したことで変動所の保護装置が働き送電が遮断されたため受電できなかった。
4.津波で非常用ディーゼル発電が壊れ非常用交流電源がなくなった。
5.鉄塔倒壊による外部電源の使用不能。ただし、これは現在冷温停止状態にあるとされる5・6号機の「外部電源喪失」の原因でしかない。
04. あっしら 2011年6月12日 03:49:52: Mo7ApAlflbQ6s : onVdTZ00nI
03.さん、こんばんは。
貴重な情報ありがとうございます。
週刊文春6月9日号P.25〜28の記事は読んでいました。
>上の記事には「蒸気凝縮系機能は、電源が無くても作動する」とあります。
>電源が失われても炉心を冷却する装置を取り外したのだから、「機能が下がる」のでは
>なく、機能が失われた、と言うべきです。
まず、蒸気凝縮系は、炉心を冷却する装置の一部で、原子炉で発生した高温高圧の蒸気を熱交換器に通すことで水に戻す機構です。
次に、「蒸気凝縮系機能は、電源が無くても作動する」という説明は誤りです。
なぜなら、弁の開閉に最低バッテリーがいることは別としても、蒸気凝縮系の熱交換器は、発電用タービンを回したあとの蒸気を凝縮する復水器と同じく海水で蒸気を冷やすことで凝縮機能を実現しているからです。
そのため、海水をポンプでくみ上げ、冷却に使って熱くなった海水を廃棄する構造になっています。
このポンプがバッテリー(蓄電池)が供給する直流115Vで動くかどうか確認できていませんが、最低限バッテリー電源は必要です。そして、ポンプに使えばおそらく8時間がMAXの稼働期間だろうと推測します。
また、取り外されてしまった凝縮系は蒸気を水に戻すだけの機能ですから、それ自体で完結的に炉心を冷却するわけではなく、凝縮でできた水が高圧注入ポンプに回りそのポンプの力で炉心に注水されます。
このポンプは原子炉隔離時冷却系のポンプで、原子炉で発生した蒸気を利用して稼働するため、この系統の電源は弁操作の直流以外必要ありません。
凝縮系の最大のメリットは、熱交換器を使う循環システムなので限られた水を利用して炉心を冷却できるということです。
その一方、主蒸気の一部は復水に回すわけですから、高圧注入ポンプのタービンを回す蒸気が減少することになります。
何にしろ、海水の汲み上げにバッテリー電源は必要で、原子炉で発生した蒸気を循環的冷却水と高圧注入系ポンプの二つに分けて使うわけですから、緊急避難的な装置であることは間違いありません。
このようなことから、私の判断としては、凝縮系が取り外されたことを「機能が下がる」としました。
現実の問題としても、原子炉隔離時冷却系が3日近く動き続けた2号機について、凝縮系が残っていたほうが良かったのかどうか微妙だと思っています。
8時間ほどは凝縮系が動くことで復水貯蔵タンクと圧力抑制室プールの水が減少するスピードを抑制できたと思う一方、想定外と言われるほど3日近くも動き続けたタービンが蒸気が少ないなかでどれほど動き続けたのだろうかとも思うからです。
何より、外部電源の確保こそが重要だったし、その復旧に全力を挙げるべきだったと思っています。
(このところ疑念に思っているように、所内電力制御システムがおかしくなっていたとしたら、復旧に手間がかかった可能性や復旧してもプラント全体に通電しなかった可能性もあるかなとは思っています)
>結局、福島原発の大事故は次の原因で起きたと言うことでしょうか。
>1.電源が無くても作動する蒸気凝縮系機能を取り外してしまった。
>2.3.2号機は、受電用遮断器に加え断路器も壊れており受電ができなかった。
>3.4号機は、新福島変動所構内の鉄塔が傾き電線が鉄塔と接触したことで変動
>所の保護装置が働き送電が遮断されたため受電できなかった。
>4.津波で非常用ディーゼル発電が壊れ非常用交流電源がなくなった。
>5.鉄塔倒壊による外部電源の使用不能。ただし、これは現在冷温停止状態に
>あるとされる5・6号機の「外部電源喪失」の原因でしかない。
1.は、上述したように、それほど決定的な要因ではありません。
週刊文春で語っている佐賀大学の上原先生(熱交換機システムの設計者でもある)もそれは分かっていると思いますよ。
推察するに、上原先生の思い入れの強さが、凝縮系を「最後の砦となる冷却システム」と言わしめたのではないでしょうか。
外部電源関係の要因を付け加えるとしたら、
● 1号機は、受電用遮断器が地震で壊れ「大熊線1L」から取り込めなかっただけではなく、予備の「東電原子力線」(東北電力)からも何らかの不具合で外部交流電源を取り組むことができなかった。
になると思います。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
※ 関連投稿
「[外部電源喪失のウソ]津波でディーゼル発電機が水没しても「全交流電源喪失」を回避できたはずの福島第一」
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/577.html
「わずか9カ月前に地震も津波もないまま「常用電源喪失」に陥った2号機:今回と強く結び付く事故を法令違反でうやむやに処理」
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/592.html
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 原発・フッ素12掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。