http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/592.html
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「[外部電源喪失のウソ]津波でディーゼル発電機が水没しても「全交流電源喪失」を回避できたはずの福島第一」
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/577.html
「[外部電源喪失のウソ]外部電源が維持されていたら今の福島第一は?:03. さんのコメントに応えて」
http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/586.html
に関連した投稿です。
阿修羅に関連投稿があるか調べてみたら、taked4700さんが、今回の事故が起きる2か月ほど前にこの事故を紹介されていた。
「阿修羅にも記録されていない東電福島原発の電源喪失事故」
http://www.asyura2.com/09/genpatu6/msg/707.html
この事故を再び取り上げるのは、今回の未曾有の原発事故と高い類似性を有するケースであり、その事故を真摯に受け止めず、法令違反まで犯してゴマカシといい加減な対応でやり過ごした東電・保安院の犯罪性を明らかにしたいからである。
今回の事故で最大の放射性物質を大気中にまき散らした福島第一2号機は、3月11日の事故発生時からカウントするとわずか9カ月前、常用(所内・外部)電源喪失事故に陥り、原子炉水位が急低下し、あわやメルトダウンかという重大な事故を起こしている。
そして、未曾有の放射能汚染を引き起こした今回の事故原因を見ていくと、1年前のこの事故をきちんと総括していれば今回の事故が違った様相になっていた可能性さえあるのだ。
東電の公表内容をベースに事故の流れを簡単に説明する。
(それが掲載されている保安院の文書を末尾に掲載)
2010年6月17日14:52発生
● 常用系電源の所内側遮断器「切」動作
● 【外部電源の受電に失敗】
● プラント内電力供給停止
● 主タービン発電機停止
● 原子炉緊急自動停止
● 非常用ディーゼル発電機起動??
● 非常用AC電源確保??
● 給復水系を再起動
● 主蒸気逃がし安全弁を自動と手動で開閉
● 原子炉隔離時冷却系の手動起動で原子炉へ注水
● 常用系電源の復旧で給復水系を再起動
※ 非常用AC電源の確保については、15分間ほど非常用ディーゼル発電機が起動しなかったという報道もあったということで??とした。
ここで注目したいのは、【外部電源の受電に失敗】という経過である。
上述の二つの投稿と同じ問題が、わずか1年前に福島第一2号機で起きていたのだ。
1年前の事故も、東電の説明は、今回の事故をめぐる説明と同じで、ころころと変わる。
最初は発電機側の遮断器の故障と言い、次には、所内側遮断器が遮断になっていたので外部電源を引き込めなかったと説明した。
結果、所内側遮断器の故障に落ち着くが、これは、今回の事故で1号機に外部電源が通電しなかった原因に似ている。
東電は、遮断器が「所内側OFF」・「外部側ON」にならなければならないに、“リレー(継電器)”が誤動作して「社内側OFF」のみが実現され、外部側はONにならなかったと説明した。
さらに、ひとや自然の責任にするのがお得意の東電は、「制御室の狭い場所で作業していた者がぶつかって衝撃を与えたことが誤動作の原因だと推定している」と言った。
しかし、作業員は、リレーへの接触や衝撃を与えたことを否定した。また、遮断器を制御するリレーはA・B2系統がありどちらかがきちんと動作すれば外部電源が取り込めるかたちになっている。
(危険極まりない原発は、多重化やフェイルセーフ思想が積極的に取り入れられてはいる)
所内電源と外部電源の両方を失い、短い時間にしろ「交流電源喪失」事故に陥った2号機は、発電機が停止し、原子炉がスクラムという上述の流れで進んだ。
そして、交流電源喪失のなかで原子炉が停まったことで、冷却水を戻す給水ポンプも停止し、原子炉圧力を低下させるために主蒸気逃がし安全弁も作動した。
そのため、事故後1分(14:53)で原子炉水位が80cmも低下した。
(このような経緯からも、非常用発電機が直ちに起動したという話は疑わしい)
このような事態に対処するため、原子炉の蒸気と直流バッテリーで動く原子炉隔離時冷却系を手動で起動させ、15:40に水位がL8(+5000mmほど)に戻ってことなきを得た。
外部電源は、A系(1号機)が15:25、B系(2号機)が15:55に復帰している。
最初の関連投稿をお読みの方ならお気づきだと思うが、接続されていて電力の融通ができるようになっている3号機や4号機の話が出てこないのが不思議である。
1号機は2号機とペアなので話はそれなりにわかるが..。
今回の事故と違い交流電源を喪失したのは2号機だけなのだから、多重化の論理からも3号機もしくは4号機から交流が融通されなければならないはずである。
福島第一は、独立した単機の原発ではなく6機も並ぶ原発施設である。
非常用ディーゼル発電機が起動する前に他の号機から安定的な交流が通じるのが設計基準である。
東電や保安院は、それが実現できなかったこともなんら説明せず隠している。
さらに、東電と保安院は、「外部電源喪失」後すみやかに非常用ディーゼルが起動したと説明している。
しかし、それが事実だとしても、今回と同じく、交流を使う注水系や冷却系は作動していない。
他の号機の高圧配電盤が正常に動作しているのだから、非常用ディーゼル発電機が起動すること自体がおかしいのだがそれはおくとして、非常用高圧配電盤に交流が通じてプラントの各施設への通電が維持できるようになったのに肝心な装置が作動していないのである。
これも、今回の事故の津波前の状況とよく似ている。
このようなことから、福島第一は、電気設備の老朽化なのか設計ミスなのかはわからないが、電力供給系統の切り替えがきちんと行えず、所内電源(原発自体の発電)を“唐突に”失うと、外部電源を取り組むことも、他の号機から電力の融通を受けることも、さらには非常用発電機からの受電もできなくなるのではという疑いを抱かざるを得ないのである。
さらなる疑いは、3月11日から12日にかけての電源車を派遣してもまったく通電ができなかった言い訳として、コネクター形状が違っていたとか電圧が違っていたとか瓦礫が邪魔だったという類のものがあったが、それもウソじゃないかということだ。
子どもの使いではないのだから、瓦礫はともかく、必要な電圧の電源車と必要な接続コネクターを用意して急派したはずだ。
これは推測でしかないが、たぶん、電源車から電力を供給しても、プラントシステムにきちんと通電しなかっただろう。
そのため、工学的安全施設も中央制御室も直流バッテリーしか使えい状態が続き、蓄電池の寿命が切れたことで中央制御室をはじめあらゆるところの非常灯も消えてしまい、ベントの作業も真っ暗闇のなかでという悲劇をもたらしたのではないだろうか。
最悪の話は、あわやメルトダウンという昨年の事故が、保安院のサイトで見ればわかるように軽く扱われ、「リレーの誤動作に注意」という戯けた通達で終わったことである。
東電も保安院も、昨年6月17日の2号機の「常用電源喪失」→「原子炉スクラム」→「原子炉水位低下」→「原子炉隔離時冷却系手動起動」という経緯をもつ事故を“法令に基づく報告対象ではない”と強弁し、事故の詳細データの公開を求める人たちを突き放したのである。
(施設の故障による原子炉スクラムだけで報告義務があるにも関わらず政府までが法令違反をそそのかしている。「実用発電用原子炉の設置、運転に関する規則」第19条)
こんな連中がつるんで原発を稼働させていることだけでも、ただちに原発を停止させ廃炉に向かわなければならない理由になるはずだ。
昨年の事故を深刻なものとしてまじめに対策を考えていれば、今回の事故はもっとずっと低いレベルで抑え込めた可能性が高いのである。
※ 参照文書:原子力安全・保安院サイトより
【東京電力(株)福島第一原子力発電所2号機の原子炉自動停止に関する調査結果を踏まえたリレー誤動作の周知について(注意喚起)】
原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、平成22年6月17日に福島第一原子力発電所第2号機(定格電気出力運転中)において発生した原子炉の自動停止の原因及び対策について、本日、報告を受けました。
※同発電所において、発電機から受電しているプラントの常用系電源の所内側しゃ断器の動作により、プラント内の電力供給が停止し、これに伴い主タービン発電機がトリップ(停止)し、原子炉が自動停止したもの。
原因は、2号機送電線の系統安定化装置(現在は使用していない)の所内電源切替え用補助リレーに作業員が接触した等、何らかの機械的な力が補助リレーに加わり、誤動作したため、しゃ断器が動作したが、外部電源の切り替えが正常に行われなかったことから、プラント内の電力供給が停止し、原子炉が自動停止したものです。対策として、当該リレーの撤去及び作業時の安全確認等を行うことにしています。
保安院は、東京電力の報告内容については、原因究明と対策の検討が適切に実施されているため、妥当と判断します。
なお、本事象は、リレーの誤動作により原子炉停止に至ったことから、他の原子炉設置者に対して、同様なことが起こらないよう確認するよう注意喚起しました。
1.東京電力(株)からの報告内容
(1)事象の状況
東京電力の福島第一原子力発電所2号機において、定格電気出力一定運転中のところ、平成22年6月17日14時52分、プラントの常用系電源の所内側しゃ断器が動作(「切」の状態)し、外部電源からの受電に切り替わらなかったことから、プラント内の電力供給が停止したことにより、主タービン発電機がトリップし、原子炉が自動停止するという事象が発生。
発電機から受電するプラントの常用系で電源の停止ならびに外部電源からの受電に切り替わらなかったことによって、非常用ディーゼル発電機が速やかに自動起動し非常用系の交流電源を確保するとともに、原子炉が自動停止した際には全制御棒が速やかに自動挿入され、原子炉は未臨界となったことを確認した。
原子炉が自動停止した後にも原子炉内では蒸気が発生することから原子炉の圧力が上昇するとともに、原子炉へ給水している給復水系が停電に伴い停止したことから、原子炉の水位が低下した。このため主蒸気逃し安全弁を自動及び手動で開閉することによって原子炉の圧力を制御・抑制するとともに、原子炉隔離時冷却系を手動起動させ原子炉の水位を回復・維持した。その後、常用系電源を復旧させ、給復水系を再起動させることにより、原子炉の水位を安定的に制御・維持した。
なお、外部への放射能の影響はない。
(2)原因調査結果
中央制御室の制御盤内において協力企業作業員が記録計の交換作業を行なっていたところ、作業場所が狭隘であったため、記録計近傍にある2号機送電線の系統安定化装置(現在は使用していない)の所内電源切替え用補助リレーに接触した等、何らかの機械的な力が補助リレーに加わり、誤動作したものと推定。
この補助リレーの誤動作により、発電機から受電するプラントの常用系電源の所内側しゃ断器A、B系が同時に「切」状態になったが、誤動作した補助リレーの動作時間が極めて瞬間的であったため、本来は、同時に作動する外部電源側のしゃ断器が「入」状態にならず、外部電源からの受電に切り替わらなかった。
これらのことから、プラントの常用系電源が停止し、発電機界磁しゃ断器が動作して「切」状態になったために、発電機が自動停止するとともに、主タービンの主要弁が全閉となり、原子炉が自動停止した。
(3)対策
今般の事象の原因となった2号機送電線の系統安定化装置については、同装置の設置以降、系統設備の増強により、系統の安定性が向上したこと等の理由により現在は使用していないことから、以下の対策を実施する。
(2号機に関する対策)
@送電線の系統安定化装置については、誤って接触しても信号が発信しないように、所内電源切替え用補助リレーを含む電気回路を今回の停止期間中に撤去する。
A2号機の再起動までに、今回の補助リレーのようにケースに収納されておらず、リレー単体で制御盤内に設置されているものを調査・抽出し、制御盤内での作業時に接触または衝撃を与える可能性があるものに対しては、注意喚起の表示を実施する。また、リレー近傍での作業時には、接触防止措置を施すか、安全処置を行うかを関係者間で協議する。
B制御盤内で作業、操作を行うときはリレーに接触または衝撃を与えないように十
分に注意することを運転員および作業員へ周知する。
(他プラントに関する対策)
C2号機以外のプラントについても、至近のプラント停止時(現在停止中のプラントについては起動まで)に系統安定化装置の所内電源切替え用補助リレーを含む電気回路を撤去することとし、撤去するまでの間は、原則補助リレーに接触する可能性のある作業を行わない。
D注意喚起の表示等についても、至近のプラント停止時(現在停止中のプラントについては起動まで)に2号機と同様な対応を実施する。
Eリレー単体で制御盤に設置されているリレー(新たなに設置されるものも含む)について、今後、重要度に応じた設計及び設置方法について改善方法を検討する
2.保安院の対応
保安院は、東京電力からの上記の原因と対策に関する報告内容について、生じた事象の発生経緯を調査し、原因を特定するとともに、対策として誤動作した当該装置の撤去に加え、類似のリレーの対策や他プラントに関する対策を講じることとしていることから、妥当と判断します。
また、電源系統のしゃ断器の動作等により、所内への電力供給が停止したことに対して、原子炉は設計どおりに自動停止したものであり、原子炉の自動停止後の炉内の圧力制御操作や原子炉水位の維持のための操作等は、運転操作手順に従い適切に実施されたものと考えます。
なお、本事象は、リレーの誤動作により原子炉の自動停止に至ったことから、他の
原子炉設置者に対して、安全機能を有する機器に対して同様な事象が起こらないか確
認するよう注意喚起しました。
http://www.meti.go.jp/press/20100706003/20100706003-1.pdf
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