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「東電任せでは10万tの汚染水が流出!」 原発を豪雨が襲う
写真http://gendai.ismedia.jp/articles/-/7659
2011年06月11日(土) フライデー :現代ビジネス
「死にに行くようなもの」水浸しの建屋内を作業員がそう語る中、東電の対策は土嚢積みというお粗末さ。いつまでたっても「循環冷却」にたどり着けない!
東京電力(以下、東電)は、5月18日に福島第一原発の汚染水の総量が10万tに及ぶと発表した。これだけ大量の汚染水で溢れかえる福島第一にとっては、恐ろしい予報だろう。6月以降、梅雨や集中豪雨、台風などにより、激しい雨に襲われることになりそうなのだ。
気象業務支援センターの専任主任技師・村山貢司氏が解説する。
「東北地方は6月上旬には梅雨入りし、例年より雨量が多く、雨期も長くなりそうです。8月以降は、特に注意が必要でしょう。北冷西暑型という気圧配置になり、東北や関東で局地的な大雨に見舞われる可能性が高いのです。福島でも1時間に100mmを超えるような、猛烈な雨が降るかもしれません。台風や低気圧の動きはある程度予測できますが、ゲリラ豪雨は数時間前にならないと予測不能です。常に空模様を警戒していないと、大きな事故を引き起こすことになります」
大量の放射性物質を放出する福島第一に降り注ぐ雨は、そのまま汚染水となって敷地内に溜まる。これまで多くの汚染水問題を起こしてきた福島第一だが(次ページ表参照)、豪雨の季節≠迎えさらなる危機に直面しているのだ。
http://gendai.ismedia.jp/mwimgs/b/e/-/img_be262afab2689af64b76ce5e12195404801575.jpgクリック拡大
現に台風2号の影響で大雨となった5月30日には、1号機原子炉建屋地下1階の汚染水の水位が、前の日から198mm上昇している。福島第一で働く作業員たちも、増える一方の汚染水を恐れ、作業が滞り始めていると言う。東電の協力会社で働く吉岡和久さん(30代、仮名)が明かす。
「5月30日の早朝、元請け(親会社)の所長から『今日の仕事は急きょ中止にすっから』と連絡が入ったんです。所長は中止の理由を言いませんでしたが、おそらく建屋内に雨水が溜まり、作業どころではなくなったのでしょう。
俺たちは内心ホッとしました。5月に入ってから少しずつ建屋内の作業が増えたのですが、床は水浸しで、天井からは不気味な水滴がポタポタ落ちてくる凄まじい状況なんです。
作業員が待機する免震重要棟と呼ばれる建物に貼り出された『汚染水マップ』では、4号機のタービン建屋地下はほぼ水没したことが示されていました。所長からは、『4号機の地下には絶対に近づくんでねぇ』と言われています。
『汚染水マップ』には、1号機の溜まり水から1000ミリシーベルト以上の放射線量が計測されたことも記されていました。これは、作業員の年間被曝限度量250ミリシーベルトの4倍に相当するほどの凄まじい線量です」
吉岡さんによると、建屋内での仕事を拒否する作業員もいるという。
「そんな地獄のような環境で、誰が働きたいと思いますか。肌が水にじかに触れただけで、大量被曝し命を失うかもしれないんですよ。死にに行くようなものでしょう。
中には、被曝を恐れて会社を辞めた作業員もいます。現在でもあちこちに溜まった汚染水を避けながらの仕事で、作業は遅々として進んでいません。大雨が降ったら、足場はさらに悪くなります。仲間内では『雨が多くなり汚れた水が増えたら、被曝する前に職場放棄するべ』と半分真剣に話しているんです」
■巨大タンカーで輸送せよ
作業員がこれほど恐れる汚染水。これから来る梅雨や台風に備え、東電はどのような対策を立てているのだろうか。
「資材が飛ばされないようにシートを被せることを徹底し、建物内に雨水が流入しないよう(周囲に)土嚢を積みます。屋根のない建屋では、水位の変動をしっかり監視し対応する所存です」(広報部)
開いた口が塞がらない・・・。東電は本気で、豪雨をシートと土嚢で防げると思っているのだろうか。京都大学原子炉実験所の小出裕章助教が憤る。
「土嚢を積むなどとお粗末なことを言う前に、東電は溜まった汚染水を除去する方法を考えるべきです。核燃料は冷却しなければなりませんが、現在のように外から注水を続けていると、その水がそのまま汚染水になってしまいます。大量の雨が降れば、汚染水の量はさらに増えます。最も重要なのは、外から水を入れるのではなく、原子炉内の大量の水を循環させて核燃料を冷却するシステムを早く確立することなのです。
しかし循環冷却回路を設置するには、まず現在ある汚染水を除去しなければなりません。放置していては放射線量が高すぎて、作業は効率的にできず、工事は進まないでしょう。10万tにのぼる福島第一の汚染水は集中廃棄物処理施設や仮設タンクに少しずつ送られていますが、その容量は1万~2万tしかないうえ、ほぼ満杯に近づいています。早急に、新たな汚染水の保管場所を確保すべきです」
5月31日には、ようやく2号機で循環冷却が稼動し始めたが、それは核燃料プールの水を循環して冷やす限られたものに過ぎない。5月21日に投入された「メガフロート」と呼ばれる鋼鉄製の人工島も、保管できるのは低濃度の汚染水に限られ、容量は1万tほどなのだ。小出助教は、「もっと大きな汚染水の移送場所が必要」といい、次のように続ける。
「メガフロートなどでは、とても対応しきれません。私は、10万tの容量のある巨大タンカーを使うべきだと思います。タンカーに汚染水を入れ、新潟県の柏崎刈羽原発に持っていくのです。柏崎刈羽には廃液処理装置があるので、汚染水を浄化することができます。
もちろん汚染水を積んだタンカーは二度と使えませんが、今はそんなことを言っている状況ではないでしょう。タンカーを1~2隻潰すくらいの覚悟が必要なんです。私は2ヵ月も前からタンカーの使用を訴え続けていますが、東電はまったく動こうとしない。彼らに任せていては、いずれ福島第一の10万tの汚染水は、外部に流出してしまうかもしれません」
■地下を壁で囲んで防水!?
東電は、原子炉やタービン建屋などに溜まった大量の汚染水を、地下の坑道などから集中廃棄物処理施設に送っている。だが、この方法にも構造上の大きな欠陥があるという。問題点を指摘するのは、元東芝の原子炉格納容器の設計技師だった後藤政志氏である。
「燃料プールなどには『ランナー』と呼ばれる特殊な金属製の板が張られ、水が外部に漏れないような対応がされています。ところが地下の坑道は、本来ケーブルを通すためのコンクリート製の道で、水密性を保つための対策がほとんどされていません。
他の大半の施設も同様です。たとえ震災による損傷がなかったとしても、劣化により亀裂ぐらいはあるでしょう。汚染水が、そこから外部へ漏れ出ていたとしても何の不思議もないのです」
東電は、坑道や各建屋内の水が漏れ出そうな隙間を樹脂で埋める応急処置≠施したが、不十分だったようだ。実際5月26日には、3号機からの汚染水を貯蔵している雑固体廃棄物減容処理建屋の地下の水位が2日間で106mm下がり、地下通路に水が漏れ出ていることが判明している。総量は約70t。周辺への影響はないのだろうか。再び東電に質す。
「周辺の地下水の放射線濃度に変化はなかったので、流出はないと考えています。今後の対策としては、各建屋の地下を30mの深さまで埋めた壁で四方から囲み、汚染水が外部へ漏れ出るのを防ぐ方法も考えています」(広報部)
しかし前出の後藤氏は、こうした対策も「効果は薄い」と手厳しい。
「建屋の地下を壁で囲んでも、汚染水が真下に漏れ出たらまったく意味がありません。もし汚染水が地下水に流れ込んだら、海や土にも放射性物質が拡散するでしょう。いったん外に出た放射性物質は回収できず、大量の放射線を放出し続けます。東電の対応を見ていると、問題の深刻さが分かっていないようです」
これまでに少なくとも4回、汚染水が海に流れ出たことが分かっている。総量は1.5万t近くにのぼり、福島第一周辺の海で採取された海水からは、ヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90などの放射性物質が検出されているのだ。
特にセシウム137は半減期が30年と長く、水に溶けて遠方へも拡散しやすい性質を持つ。春先に活動が活発だったプランクトンが、このセシウムを摂取し、それを小魚が餌として食べる。さらにその小魚を大型の魚が食べれば、放射能汚染の食物連鎖はじわじわと広がって行く。
「東電は『健康に影響を及ぼすものではない』とよく言いますが、計測した時点で低濃度であっても、海に流出した放射性物質が生物の体内に入れば濃縮され放射線を長年にわたり放出し続けます。そうした生物を食べれば、人間の体にも甚大な影響が出るのです。たとえ低濃度であっても、汚染水は完全に封じ込めなければなりません」(前出・後藤氏)
もう、悠長なことを言っている余裕はない。東電は実情を詳(つまび)らかにし、本当に有効な汚染水対策を講じないと、取り返しのつかない悲劇を招くことになる。
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