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6月6日 テルル132の検出が意味すること 小出裕章 (MBS)
2011年6月6日(月)、MBS(毎日放送)ラジオ「たね蒔きジャーナル」に、小出裕章氏(京大原子炉実験所助教)が出演されました。
番組案内
2011年6月 6日【月】
大連立への動きが活発に…
菅総理大臣が退陣の意向を固めたことを受けて、与野党内では大連立に向けた動きが活発になっています。今夜の番組では、MBS東京報道の松井記者に、いまの永田町の動きなどを伝えてもらいます。
また、京大原子炉実験所の小出裕章さんに、福島原発事故の問題について解説してもらいます。
録音
【福島原発】6/6/月★総放出量37万テラベクレル⇒77万テラベクレルに修正
要約
・(福島原発の事故で出た放射性物質の量について、保安院が解析し、従来とは違う数字が出てきた。従来の37万テラベクレルに対し、77万テラベクレルとなった。どういう意味か?)もともと安全委員会は66万テラベクレルとしていたし、評価のやり方でいくらでも変わる。私はもっと多かったと思っているし、海へ流れた分は分からないまま。今回の保安院の数字は海への分を加算したものだが、それも過小評価だ。
・(37万テラベクレルを元にして事故評価をレベル7としたが、それが今回2倍。さらにもっと多くなる?)チェルノブイリに近付いている。チェルノブイリの事故は収束しているが福島は進行中であり、チェルノブイリに近づいて超えるかもしれないと最初から私は伝えてきた。
・(海洋汚染の放射線量は不明。いま政府は海洋調査ポイントを公開しているか?)私は見ていないが、散発的には出てきている。測定ポイントを強化し海岸線沿いの海藻の汚染を調べればもっと分かると思うが、見たことはない。
・(テルル132が検出されていたことについて。テルル132はどういうものか?)ヨウ素132の親核種。ヨウ素132は寿命が短い。テルル132が出てくるとヨウ素132が生み出される。テルルを見ていればヨウ素のことが分かる。燃料棒の被覆管が破れない限りテルルは出ない。事故の初期に被覆管が損傷していた証拠。被覆管のジルコニウムが水と反応する温度が850〜900度。事故の初期の段階でその温度に達して被覆管が壊れていた。
・(保安院の西山審議官が「情報を整理して公表する発想がなかった」と言っているが?)保安院にとっては、それこそがやらないといけない一番の仕事だ。
・(テルル132の検出を事故直後に公表していれば、避難すべき人たちに対するコメントが変わった?)もちろん。テルルが出るということはヨウ素が出るということ。ヨウ素剤などの防護措置が早急になされなければいけなかった。
・(これを当時発表しなかった影響は大きいと考えるが?)呆れるしかない。
・(3月12日に枝野さんは会見で放射能については測定し万全を期しており、ヨウ素も用紙していると言った。ヨウ素剤を摂取しておかなければならなかった?)本当ならばそうだった。ヨウ素剤は飲むべきときに飲まないと意味がない。
・(3月12日午前8時半にテルルを検出し、同日午後6時に避難地域を半径20キロに拡大した。その間に措置ができたはず。明らかに分かっていたがそれを隠しながら政府は避難地域を拡大したと考えられるか?)私はそうだと思う。日本の今の政府は事故の規模を小さく見せようとしてきた。
・(プルトニウムが原発から1.7キロの地点で検出された。以前は文科省の調査で検出されたが、過去の核実験によるものとされた。今回の検出物は福島事故が原因だと言われているがどうか?)詳細は不明だが、プルトニウムが今回検出されたといっているのは私も知っている山本氏。彼が言うなら確かだ。
・(プルトニウム検出の意味は?)プルトニウムは燃料から外には出づらい放射性物質。それが環境に出てくるほど悪化しているということ。核燃料が相当損傷しているということだ。
・(プルトニウムの人体への影響は?)プルトニウムは人間が遭遇したなかで最も毒性の高い物質。100万分の1グラムを吸ったら癌で死ぬほど。
・(国は過去の核実験が原因と言っているが、それに対しては?)過去の大気圏内核実験は犯罪的であり大量のプルトニウムを60年代にばらまいた。それ自体とてつもないことで、地球のほとんどが汚染されている。その上に今回の福島の事故で周辺がプルトニウムで更に汚染された。残念なことだ。
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