福島第１原発：「１ミリシーベルト」混乱　子供被ばく線量
http://mainichi.jp/select/today/news/20110605k0000e040005000c.html
2011年6月5日 11時21分　毎日新聞

　東日本大震災による福島第１原発の事故で、福島県内の子供たちが受ける放射線量を巡り、国と学校現場が混乱している。文部科学省は５月２７日に「今年度、年間１ミリシーベルト以下を目指す」とする新たな目標を決めた。年間２０ミリシーベルトを上限とする基準への不信感解消が狙いで、専門家からのヒアリングも進めている。だが、突然の目標設定に学校は困惑し、保護者の不安は根強いまま。教育委員会も「『１ミリシーベルト』の数字が独り歩きしないようにしてほしい」と訴えている。【木村健二、渡辺諒、長田舞子】

　◇校長「どの数字信じれば…」
　「子供たちの生活は学校だけではない。１ミリシーベルトを目標としたからには、具体的に何をしてくれるのかを明確にしてほしい」。３日、年間２０ミリシーベルトの上限値撤回を求める保護者らが東京・霞が関の文科省で担当職員と向き合った。１歳の長男を連れて参加した福島県須賀川市の主婦（３１）は、１ミリシーベルトの目標設定を歓迎しながらも、学校外での低減策も訴えた。

　同省は４月１９日、学校の夏休みが終わるまでの放射線量の目安を年間１〜２０ミリシーベルトとし、毎時３．８マイクロシーベルトを超えた場合に屋外活動を１時間に制限する基準を出した。

　だが、保護者らの不安は収まらない。民主党文部科学部門会議は５月２６日に「『年間１ミリシーベルト』を目指すとの文科省方針の文書化を求める」と緊急提言した。座長の松崎哲久衆院議員は「『１ミリシーベルトを目指す』と文章化することが安心を高める」と説明する。これを受けた高木義明文科相は翌日、目標を発表した。

　驚いたのは福島県の学校だ。福島第１原発の北西約６０キロの二本松市。市教委は既に独自に上限を「１０ミリシーベルト」に引き下げ、屋外活動の目安を幼稚園１時間▽小学校２時間▽中学校３時間と設定。同月２６日付で各校に通知していた。

　その翌日、文科相の発表があった。市立杉田小の小浜伸校長は「一体どの数字を信じればいいのか」と困惑する。同校では市教委の通知に従い２時間程度の屋外活動を予定していたが「校庭での体育や自然観察などは、ほとんどできないことになるだろう」。佐藤宏幸ＰＴＡ会長も「安全性に対する国の姿勢がコロコロ変わるようでは怖い」と話す。

　文科省の目標値には「今年度」と「学校」という条件がついている。放射線量がピークだった３月１１日から４月１４日の始業式までは除外されている。子供の生活に即した推計では、ピーク時の期間だけで２．５６ミリシーベルトになるとの同省の試算さえある。

　福島市内でも空間放射線量値が高い渡利地区の学校に３人の子を通わせる酒井隆子さん（３８）は「長女が高校受験を控え、簡単には避難できない。１ミリシーベルトが目標になれば、学校や自治体に対策を求めやすくなるだろうが、既に浴びてしまった放射線量をどう考えればいいのか。国に説明してほしい」と不安を口にする。

　福島市教委は「数字が独り歩きして『１ミリシーベルトを超えると危険』と思われると、かえって子供たちの教育環境に影響が出るおそれがある。国は『１ミリシーベルトはあくまで目標で、超えるとすぐに危険というわけではない』と、保護者に丁寧に説明してほしい」と訴える。

　文科省は「１ミリシーベルト」の目標達成に向けて動き始めたが、原発の安定化が必須の条件。混乱の収束は見えない。
　

コメント
01. 2011年6月05日 19:54:54: tEuMUcieh これまでの内部被曝量と外部被曝量が不明確なので、行動がとれない のだと思います。 今にいたっては、推計にしかならないが計算すべきだと思います。
02. inuinu 2011年6月05日 20:39:19: yXZqZB/0Vjdqo : ULs2LpMsHU いまもむかしも基準は年間１ミリシーベルトでしょ。 少なくとも、福島および近県は住める地域ではないってことです。 即刻疎開すべき。
03. 2011年6月06日 03:19:15: oWbillhalg 私が前から言ってるように、２０ミリを１ミリに引き下げる下げないという話を校内や園内レベルに矮小化してる時点で、問題の本質をねじ曲げていると言うのだ。 子供は学校や幼稚園の中だけで暮らしてる訳ではない。もちろん大人もだ。 汚染地域すべてを対象に基準値を議論するのが筋だろうが。 問題の本質は、汚染地域全体の基準値をどうするかということなのに、学校、園内を騒ぎ立ててるバカさ。その土俵に載らされて騒いでるバカ被害者たち。全員バカだらけだから救われない。 私が文科省官僚なら、問題の本質を突かず騒ぎ立てるこんなバカ被害者には、 「ハイハイ、それほど騒ぐなら学校、園内だけは２０ミリ破棄して０ミリにしてあげます。これで皆さん納得してくれますね♪　学校や幼稚園は明日からバッチリクリーンにしますけどお家に帰ったら２０ミリですよ、２０ミリ！いいですね皆さん。お家に帰ったら思いっきり放射能浴びて暮らしましょう。基準の低くなった学校や幼稚園に行くのが毎日待ち遠しくなるかも。。なーんちゃって♪」 と言ってあしらってやる。 報道がバカ被害者だけしか登場させないのか、ホントにバカ被害者しかいないのかどちらか判らないが、少なくと私の知る限り２０ミリ学校、園内１ミリ引き下げ騒動において、前述した問題の本質を徹底的に叫んでいる者はいない。 そもそも教育施設担当の文科省が、国民の健康基準を決めてることが異常だ。専門領域をはき違え狂ってる。放射能は健康問題だ。国民の健康確保は厚労省の管轄だろうが。厚労省が放射線知見を集め放射線防護の元締めとなって、本末転倒の学校や幼稚園敷地がどうしたこうしたなどと言う話しでなく、念頭に２４時間寝起きする汚染地全域を対象にして統一した国民の健康優先の内部被曝・外部被曝の線量基準を作らせろ。そしてこの基準量を超えたら、東電とその原発共犯の電力各社及び原発マフィアの賠償責任において即非難だ。
04. 2011年6月06日 04:11:21: oWbillhalg >>09 ０９さん０７です。 私が０７で言ったのは、敷地外で今回検出したプルトニウムの話ではありません。 ０７は海外検出のプルトニウムは福島由来とはまだ同定出来ないでしょうということです。少なくとも一事阿修羅でも騒ぎになったＥＰＡが情報源の米国検出のやつはです。０７はただそれだけ指摘しただけです。イギリスのは私は初耳だし調べてないので判りませんが。。 ただ、黄砂だって海外まで飛ぶし、核実験の頃日本にもプルトニウムが飛来したし、福島のは海外まで飛ばないとは言えません。 今回敷地外で見つかったプルトニウムは、学者が同位体云々と言っているので福島のだというのは確実でしょう。それと３月か４月に敷地内で見つかったプルトニウムも福島のです。量はまだ定かでないけど福島からプルトニウムが出てるのは、こりゃあ間違いありません。あれだけぶっ飛んでしかも軒並みメトルダウンしてりゃ検出するまでもなく当たり前だよね。

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