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[小出裕章氏直撃インタビュー]どうする溶け落ちた核燃料と猛毒汚染水10万トン
(日刊ゲンダイ2011/6/4)
「政府、東電の工程表は見直す必要がある」
収束への糸口が一向に見えない福島第1原発事故。冷却すればするほど大量の汚染水が生じるジレンマの中、伝わってくるのは政府のデタラメ対応と東電の呆れた隠蔽体質ばかり。実際のところ、福島原発では何が起こっていて、この先どうなるのか。約40年間、反原発の姿勢を貫いてきた京大原子炉実験所助教の小出裕章氏に聞いた――。
政府と東電は「水棺」を断念し、循環注水冷却システムの確立を目指している。このやり方で本当にうまくいくのか。
「東電の発表通り1号機の炉心部に水が残っていなかったとすれば、核燃料は必ず溶けて圧力容器の底に落ちます。核燃料のウランは約100トン、温度は2800度に達する。鋼鉄製の圧力容器は1400〜1500度で溶け、さらにペラペラの格納容器にも穴が開いていると考えた方がいい。外側のコンクリートの中にもウランが溶け込んで工程表は見直す必要があると思います」
溶け落ちた核燃料が、地中深くに入っていくことは考えられるか。
「コンクリートから地面に潜っていった核燃料は、地下水に接触して最終的に固まると予想されます。このとき、水蒸気爆発を起こす恐れもある。さすがに地球の反対側まで届くというチャイナシンドロームは冗談みたいな話で、せいぜい数メートルの深さでしょうが、地下水への汚染は深刻です。福島の場合はそれが海に流れるでしょう。これを防ぐには、原子炉建屋の外周を深く掘り、コンクリートの壁をはりめぐらして覆う。こうして地下水の流水を遮断するしかないのではないか」
この間の注水作業により原発敷地内にたまった汚染水は10万5100トンに膨れあがった。そこに含まれる放射能量は約72万テラベクレル(テラは兆)。日増しに深刻になっている。
「格納容器に穴が開いているとしたら、水をかけてもジャジャ漏れなので汚染水は増えていきます。大量の汚染水がある限り作業は進まない。とくに、2号機はとてつもない被曝環境で、建屋の中がどうなっているかを見に行くだけでも、大変な被曝量になります。何よりまず、汚染水を早急に別の場所に移すことです。今のようにタンクやメガフロートでは、せいぜい容量が1万トン程度しかないため、とても間に合わない。私は、巨大タンカーに移すべきだと政府に提案してきました。タンカーは10万トン、20万トンの容量がありますからね」
タンカーに移した後の汚染水の行方は。
「柏崎刈羽原発に運ぶのです。あそこには巨大な汚染水処理装置があります。タンカーが空になれば、また福島原発に戻って汚染水を移す。これを繰り返すのです。汚染水さえなくなれば、作業員の環境は劇的に改善します。今から仏アレバ社に頼むのでは、時間がかかりすぎますよ」
小出氏の指摘にもかかわらず、政府はそれを実行に移そうとしない。
「枝野官房長官によると、タンカーの船員が被曝する恐れがあるというのが理由です。この緊急事態に、一体何を言っているんだろうと思いましたよ。こんなときこそ、政治主導でやるべきではないでしょうか」
それにもかかわらず、菅首相は自分の延命しか考えず、ゴタゴタやっている。
「私は政治に対しては口を出すつもりはないが、本当に情けないことだと思いますね。ここまで事故を拡大させた責任は、誰かが取らなければならないのに、収束まで居座るなんてとんでもない話です。原子力に携わっている人間なら、誰もが政府・東電のロードマップではうまくいかないことは分かっている。収束までに6〜9カ月というが、実際には、それこそ何年という単位で必要になるでしょう。そこまで居座るつもりなのでしょうか。今回の事故は、漁業や農業被害というレベルにとどまらない。何千平方キロメートルもの土地そのものが失われる危機だということを忘れてはいけません」
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(新世紀人コメント)
タンカーを使う事を小出氏もお考えのようだ。
枝野は真剣にやる気がないのだろう。
タンカー船員の被曝についてであるが、最新船の構造に私は詳しくはないが、船底の機関室に船員が入っていなければならない構造であれば、機関は使わずに停止させて曳き船を2隻以上使ってタンカーを曳いて行き、操舵だけを行ってゆけばよいのではないか。操舵室だけは厳重に被曝を避ける為に防護する。鉛を部屋全体に貼り付けるなどの工夫は出来るのではないのか。
そして、曳き船を使っての福島から柏崎刈羽までの航海訓練を何度か行った上で、実行すれば良いのではないか。
海運会社や海上自衛隊の協力が必要とされる。
実現可能なプラントと考える。
未知への挑戦から未来への道が拓かれるのだ。日本人に冒険が迫られているという事だ。
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