08. 2011年6月02日 02:59:46: aQY6pXt3lQ
山形の話ですが、高濃度の場所があるかも、測って作付制限も、といった次の段落で作付け規制は考えなくていいってのは、たしかに矛盾してますね。きちんと降下物データを見ていないのですが、山形の空間線量率を見る限りは、土壌汚染はそれほど心配しなくていい(これが後段の作付けは大丈夫の根拠なのでしょう)。しかし、雨樋のように、自然に放射能が濃縮されるところは、相当にヤバイところもある(前段)ということで、理屈は通っているけれど、もう少し記事全体としてわかりやすくいってくれてもよかったかもしれません。 もっともこの記事で本当に大切なところは、ちゃんと測って!というところだと思いますが、この記事では論旨わかりにくいですよね。 宮城の空間線量は、今は、 http://www.pref.miyagi.jp/gentai/Press/soudan/soudan00.htm である程度公開されていますね。 0.2〜0.3μSv/hを計測しているところもありますね。事故当初凄まじい値を出していた女川のMPも今は随分落ち着いてきている模様(0.09〜0.23μSv/H)。原発からの距離ではなくて、やはり風向き、事故初期の降雨状況などに相当左右されるように思います。 なお、観測も定点にすぎないので、本当の状況はもっと多くのところで測った方がいいことには違いありません。最近の統合会見でも、測定場所により測り方も違って・・・という問題もありますが、おおざっぱな汚染状況の目安程度にはなるでしょうが、厳密に何ミリシーベルト被曝するかの計算には、ちょっと使えない程度のおおざっぱさと思っておいた方が無難です。 たしか、福島、宮城は事故直後の空間線量率がずっと出てこない時期がありました。事故初期の対応(避難にせよ、屋内にとどまるにせよ、マスクするとか、ヨウ素剤を飲むとかの)を考える上で非常に大事な値がない(隠している?)のは非常に拙かったと言わざるをえません。もちろん今の値も、今後の長期的な対策の為に大切な値であることは確かですが。最も空間線量が高く、空中の放射能濃度が高かった時期の値がないのは、隠しているとしたら犯罪行為です。 4月以降は、いまのところ、全国的に放射線量は極めて緩やかな漸減傾向で安定しているようです(言い換えれば、ダダ漏れには違いないものの、3月中旬のような超大量放出はいまのところない)。 ただ、雨などで、ちりが集まるところ(記事の雨樋とか)は、ピンポイントで非常に高濃度になっているところがあるかもしれません。ですから、非常に狭い範囲の土地でも、測る場所によって、1〜2桁違う値が出ることは十分にあり得ます。もし同じ地域で突出して多い値が出た場合は、まず、計測状況を確認することも必要になると思います。市町村、集落といったある程度の広さをもったホットスポットのほかに、雨樋、吹きだまりといった、極めて局地的なホットスポットもある、ということです。 きめ細かい測定が行われるまでは、周辺市町村の数字や、土壌汚染のマップなどと突き合わせて、おおざっぱにこれくらいの汚染かという規模感をつかむ以上のことは難しいと思います。 ちなみに東京都東部の場合だと、空間線量が0.1〜0.2μSv/hくらい。ざっくり0.15μSvとしておきましょう。もともとの空間線量が0.05くらいといわれているので(もっともそれも地上1mの数字は不明)とりあえず、0.05くらいとしてみると、以前からの増分(これが事故で増えた分)0.1μ。事故初期は屋内だとかなり線量が減るといわれていましたが、現在は空中のちりの影響は極めて少ないので(鉛の家とか、高層住宅の場合は別として)屋内の低減はほぼ考えないことにすると、外部被曝(の増分)で0.9mSv/年。事故初期は今と違い、空間線量が高く、ダストも多い時期があり、ここだけの平均被曝量0.11mSvくらいを加算して、1mSv/年。あとは武田教授式に内部被曝分簡易算定で4倍して4mSv/年。誤差もありそうなので、2〜10mSv/年の被曝予想。初期被曝の推計値はたまたま、以前の新聞記事で千葉の値があったので、それを借用。食品について、暫定基準値ギリギリのものを年間通して摂取すると、10mSv程度に相当するということから、ギリギリということはないとして、飲食から3mSvくらい被曝と考えれば、武田式4倍計算でも目安としていい感じ。2〜10mSvをどう考えるか。悩ましい数値です。経済的な制約(仕事とか)がなければ、そして若い年代だったら、特に悩ましい数字です。安心サイドに立つか、安全サイドに立つかによっても、また評価が変わります。内部被曝1mSv/年は譲れないなら、退避する必要があります。2年目は初期被曝の増分を見ないで大丈夫(このまま大きな事故が再発しなければ)・・・2年目以降の外部被曝だけなら、0.9mSv/年くらい。(実際はこれに内部被曝追加) ここまで数字を上げてきましたが、関東圏(おそらく仙台圏もにた傾向かと)の場合は、2年目以降、中期的には内部被曝、特に食からの汚染が、安全を大きく左右するように思えてきました。ここまで広範囲に土壌、海洋汚染が広がってしまうと、そしてたいして除染もしないとなると、食の汚染はじわじわと進んでいくことが考えられます。 もう少し汚染が高いところでは、生活空間の土などの除染が大事。もちろん、食も。 さらに空間線量が高いところは、長期居住は本当に、判断が難しい。今以上に広範囲な避難区域設定は政治的になさそうなだけに、本当に辛い判断です。 |