http://www.asyura2.com/11/genpatu12/msg/185.html
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管政権に対する評価として、石原都知事もだが保守的な政治家やメディア・評論家などから、「復興などのやり方は官僚がよくわかっているのだから、官僚を使いこなすようにしなければダメだ」という声や「政治主導が事態を悪化させている」といった批判が上がっている。
一見もっともらしく聞こえる評価だが、そのような批判は、民主党が政権奪取前および直後にそのようなスローガンを叫んだことに惑わされているだけで(石原さんなどは利用しているだけで)、鳩山首相の普天間をめぐる日米交渉以外、実態として何かそのようなスローガンにふさわしい政策や動きがあったわけではない。
(「仕分け」という目新しいパフォーマンスも財務省統制下)
とりわけ、菅さんが首相になってからは、まったくの口先だけの“政治主導”であり、首相就任早々に「消費税率アップ問題」を取り上げ、財務省の意向に従う政権であることを明白に示したほどだ。
(内閣改造での与謝野氏閣僚任命もそのライン)
震災・原発事故発生後も、国民の安全と健康を何より優先と目標を定め、官僚機構をその目標に向けて動かすことができないどころか、その目標に反するような官僚機構の動きに乗っかるだけで、国民の多くから批判される政策さえ軌道修正させることができずにいる。
震災後の日本は、“国体護持”第一の官僚機構のえげつない政策により、国民の健康と安全がひたすら踏みにじられてきた日々の積み重ねだとも言える。
結論的に言えば、管政権は、“政治主導”や“非官僚政治”というもっともらしいかけ声とは裏腹に、「官僚機構に差配される政権」であり、「政策を官僚に全面的に依存し、国民や国会向けに説明や言い訳を担当するだけの政権」(説明や言い訳の内容も官僚の作文)なのである。
だからこそ、菅首相をはじめ管政権の人たちは、隠れ蓑としてなのか、恥ずかしさ逃れのためにか、“政治主導”や“非官僚政治”を声高に叫ぶとも言える。
さらに言えば、菅直人さんは、首相として将来の日本についてのグランドデザインもなく、政権を統率しリードしていく力量がないと見られたからこそ、首相(民主党代表)になれたのではないかと、国会中継を見る機会が増えた最近とみに感じている。
(「ソーラーパネル1千万戸設置」といった話はグランドデザインというような話ではない)
そりゃあ、首相が明確なビジョンを持ちそれを実現するために閣僚を動かす力がある人では、自負(野心)もあり政策目標もある一般閣僚にとってあまり面白くないことだろう。
小沢さんのようなひとが首相になり、首相権限をフルに発揮し、閣僚たちがその意向に従わされ動かされるような状況をあまり好まないというのも別に不思議ではない。
床の間の飾りではないが国民受けする首相に座ってもらっていて、自分たちは自由に政策をアピールしながら政治目標を追求できるような環境が望ましいのかもしれない。
菅政権は、小沢的旧田中派的な政治感覚・政治手法・政治臭が嫌いな民主党旧来派による反小沢政権と見ることができる。(このこと自体についての是非はない)
官僚機構にとって、管政権ほど重宝な政権はないだろう。
“政治主導”という建前があるから、自分たちのおかしな政策も管政権の政策として評価され、自分たちに矢が飛んでくることは少ない。
“政治主導”を掲げているから、採用された政策は、管政権の“口先”政治家たちが国民をごまかすために奔走してくれる。
「法律や法令ではこうなっていますよ」とか、「そんなことをしたら、財政はあっというまにパンクですよ」とか、「そんなやぶ蛇なことをしてパニックが起きたらどうするんですか」とか、「識者を集めて決めたようにみせるのがいちばんいい方法ですよ」とか、「東電をつぶしても金融市場が大混乱するだけでなんの得もありませんよ」などなど、官僚たちの“口先”(枝野氏や仙谷氏の比ではない)にあっさり乗せられてきたのが管政権である。
(自民党政権でも政策決定過程はそれほど違わないのだが、自民党と官僚機構は一蓮托生で共通利益を有する間柄であることは支持者たちも認めてきたのだから、ソレデイイノダ)
悲しいかな、なぜか日本最高位のノーメン・クラツーラである米国政府も、首相就任後すぐに普天間基地問題を旧日米合意へと軌道修正し、国内でそれまで話題にすらならなかったTPPを政策課題にしてくれた菅政権を「好ましく便利な存在」と受け止めているはずだ。
(小沢さんは反米ではないが“国連主義”を掲げることで米国を牽制してきた)
※ 念のため、この書き込みで別に、菅政権の打倒を呼びかけているわけでもなく、政局で話題になっている内閣不信任案の可決を願っているわけでもない。次なる政権のアウトラインも政策内容もまったく見えないなかで、そんな政治パフォーマンスをやってどうするんだというのが本音である。小沢支持者は、小沢さんがいるじゃないかと言いたいだろうが、それなら最低限その方向が与党の多数派になることが先決だ、しかし、残念ながら、“冤罪”であっても報道であれだけドロとケチを付けられた小沢さんでは、政局がますます昏迷し、国民の支持も高まらないと考えている。
これから書く内容は、原発事故をめぐる調査の対象でもあると政府自らが説明しているから、デタラメな事故総括が出てきたらそれをきちんと批判するための備忘としての意味合いもある。
他にも、これもある、あれもあると、コメント欄に問題点を追加していただければ幸いである。
仙谷官房副長官は、昨日(30日)午前中の記者会見で、最近の政局動向(内閣不信任決議に関する攻防)を受けて、原発事故は「政権が代わればなんとかなるという話ではない」、「この間ずっと見てきたが、原発事故は政府が尽くせばなんとかなるという問題ではないと思っている」と語った。
(民主党“口先”(←ある種の高評価ですから気を悪くされないよう)3人男のうち二人を揃えた枝野、仙谷の正副官房長官コンビはなかなか“強力”だ)
しかし、仙谷副長官が言わずとも、原発事故の終息が、政治家集団である(でしかない)内閣の違いでどうこうなると思っている国民は少ないだろう。
(海水中停止問題などで原発事故初期対応の不手際を云々する人たちもいるが、それは菅政権の資質や能力とは直接関係がない話だ)
国民の安全や健康そして将来の生活に及ぼす事故の影響にどう対応したのか、これこそが、政府に問う最大の政策課題である。
国民に選ばれた政権は、今回のような未曾有の事故が起きたなら、実働部隊である官僚機構(国家公務員組織)に政策の優先順位を明確に指示しなければならない。
官僚ほど法律や財政を知らなくてもいいから、とにかく、国民の安全と健康を追求するために、根拠となる法律を探し、財政的手当をするよう命ずる。
そして、そのような政策目標に異があるものや違背した政策を行ったものは辞職するよう明言する。
そうしなければ、国家という得体がはっきりしない抽象的なものを後生大事に考え、自分たちの利益という得体がはっきりしたものをその次に大事にし、国民を数としてしか考えないような官僚機構は、すぐに目に見えてどうこうなるわけではない放射線被曝のような問題はずるずると先延ばしし手抜きをしがちだ。
これから列挙する事柄は、もちろん、官僚に究極の責任があるわけではなく菅首相が全責任を負うべき問題だが、実質的に政権を運営している日本の官僚機構の犯罪的統治ぶりを赤裸々にさらすものと考えている。
“口先”菅政権の最高最大の“口先”が、「国民の健康と安全を何より大切にする」というものであることもわかるはずだ。
5月10日過ぎあたりから事故直後の情報があれこれ東電から発表されているが、それは、阿修羅などに集っている人たちは別として、国民のけっこうな割合で、原発事故はもう基本的に終わったことと感じられ(疲れもあるが)、それほど関心を持たれなくなった時期を待ってのことである。
(事故直後の秘匿していた重要情報でさえ、原子力災害対策本部がきちんと説明するのではなく、東電がようやくわかったかのようなかたちでだらだらと発表させていくという無責任体質だ)
● すでに1号機がメルトダウンを完了した後に公表された福島第一原発の事故発生
驚くことに、福島第一で原発事故が起きたことを国民の多くが知ったのは、1号機がほぼメルトダウンし終わったときなのである。
首相の原子力緊急事態宣言は、16:36にあった15条通報後2時間半近くも経過した19:03で(15条通報後直ちに宣言しなければならないことは法律で明記)、さらに、その緊急事態宣言が“公表”(報道)されたのは宣言から2時間以上も経過した21時半頃(NHKテレビ)である。
(福島第一の1〜4号機がAC電源をすべて喪失した15:37から6時間近くのあいだ、津波の被害の大きさに戦きながらTV報道を見たり帰宅困難にあえいでいた国民の多くは、とんでもない事態へと向かっていく原発事故の存在を知らされないままだったのである)
一つ明確にしておくと、1号機は、原子力緊急事態が宣言される30分ほど前(18:30ころ)、既にメルトダウンを始めていたのである。
そして、NHKがテレビニュースで今回の原発事故を最初に報じた午後9時20分過ぎという時刻は、1号機の全炉心がメルトダウンしてしまった後であった可能性が高い。
そのような経過は知らなかったという政府の言い訳はまったく通じない。
地震以後の1号機の水位変化と過去の実験データだけでわかる単純明快な事象の流れだからである。
(本日31日の国会論議で、菅首相は、12日時点でも燃料棒が半分くらい冠水していると保安院も考えていたと説明した。しかし、11日の事故発生後、1号機の水位が急速に低下する一方で、注水がまったくできない状況が翌5:46まで続いたのだから、そういう認識は絶対にありえない。原子炉の水がなくなってしまったことは専門家ならうつらうつらしていてもわかることだ。また、メルトダウンしたあとの1号機の水位計が狂っていることも既知であり(いったんダウンスケールしたあと注水量と蒸発量+漏出量の関係で水位が上昇しないことは明白)、水位計をもとに燃料棒の半分が冠水していたと思っていたという話はまったくのウソだ)
メルトダウンが始まって30分ほど経ってから「原子力緊急事態」が宣言され、それから2時間ものあいだ原発事故は政府とメディアの共有情報として秘匿され(ネットなどでチラリズムはあったが)、福島県が先行して2km圏の住民を避難させたあと3km圏の避難指示が出される段階(全炉心がメルトダウンしている状況)になって初めて、全国民は重大な原発事故が進行していたことを知らされたのである。
(そのときでさえ、たいした事故ではなく予防的な措置のように説明された。私自身は、そのような説明ぶりをそれほど非難しようとは思わない。事故状況や避難理由の説明よりも、具体的な情報を知っている政府が国民の安全のためにどのような対応策を採ったのかを重視したいからである。5分、10分の違いが生命を分けるような事態でないのなら、地震とりわけ津波の被害が甚大だったあの日に、ことさら過酷な事故の状況を説明する必要はなかったとも思う)
● 今日でも曖昧なままの事故対策責任主体
たぶん、今でも、今回の原発事故に対する責任主体が政府の「原子力災害対策本部」であり、菅首相が本部長、海江田経産大臣が副本部長だということを知らないひとが多いのではないだろうか。
事故発生時点からずっと、事故対応の責任主体は東電で政府はそれを傍から叱咤激励するサポーターのような存在にしか見えないし、東電が第一義的に行うというフレーズからそう見えるように仕組んでいるようにも感じる。
事故を巡る様々な情報公開や説明にしても、官房長官が通例よりも記者会見の頻度を多くすればいいというものではなく、原子力災害対策本部として、定期的な説明と特別な事象発生時にさらに説明を行うのが法に則ったまともなかたちである。
国家が総力を挙げて対応しなければならない未曾有の原発事故が進行しているのに、それほどではないという印象を国民や世界に与えたいという思いが見え見えで、東電を前面&全面に立てることで自分たちへの風あたりを弱めるという責任感に欠けた政権である。
● 周辺住民の安全と健康は二の次でしかなかった避難指示と避難範囲
3月11日午後9時過ぎに3km圏の避難指示、明けた12日午前6時前に10km圏の避難指示、そして、20km圏まで避難指示が拡大されたのは、なんと、ベントも実施され1号機が水素爆発を起こしたあとの12日午後6時過ぎである。
子どもや老人もいれば、身体が不自由だったり病気のひともいる。
災害に伴う避難はできるだけ余裕をもって行うのが基本である。
11日の夜は危険な(わけがわららない不安な)状況のままそこで就寝しろといい、明け方になったらさあ早く避難しろというのでは、それこそ不安や混乱に拍車をかけるようなものである。
(11日夜の時点で1号機はすでにコントロールから遠く離れ、早急なベントの実施が求められていたり、爆発など危機的事態が起きてもおかしくない状況にあった)
避難指示が時間的にも範囲的にも不適当であったことは、双葉町の病院に入院していた人たちが避難途中で高い被曝を受けてしまった事実でもわかる。
この問題で「国民や社会のパニックを避けたかった」という言い訳は通用しない。
原子力緊急事態を宣言しているのだから、「国民の安全と健康を何より最優先と考え、保守的に避難範囲を設定した」と説明すれば済むことだ。
(政府が避難範囲を渋ったのは、ただ、長期化を見越し、避難先の確保や積もる費用など面倒を避けたかっただけの話だ)
SPEEDIの一般国民向け公表の遅れを、以前も少し書いたが、それほど非難する気はない。
政府や地方公共団体が、入手したその情報を国民の安全をより強く確保するために活用したかどうかが問われるべきことだと考えている。
※ 参照投稿
「↑:「著しい公衆被ばく」との予測状況(1号機水素爆発前後)のなかで国民にまったく情報を発することができなかった菅内閣」
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/449.html
「「避けられない危機」ならともかく、「避けられる危機」に対応しなかった怠慢や愚鈍は犯罪である。」
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/504.html
● 住民(国民)が自らできる被曝軽減策さえ説明せず被曝増加を放置
これは、私としてはもっとも腹立たしく絶対に許すことができない問題である。
管政権は、ベントを行うと発表したときも「管理されたもので健康に影響はない」と説明し、15日の放射性物質の大量漏洩と飛散でも「直ちに健康に影響するわけではない」と、原発事故で国民の健康に影響するような事は何も起きていないかのように国民を欺き続けた。
この問題は、放出された放射性物質の飛散・降下の危険が明瞭な福島・茨城・宮城・山形・栃木・群馬・埼玉・千葉・新潟・東京・神奈川・山梨・岩手・長野のおよそ5千4百万人の健康に影響することである。(他の県にも飛散しているがご勘弁を)
この問題も、ことさら危機を煽るような説明をしろと言いたいわけではない。
12日のベント実施の公表時点で、「放射線はできるだけ浴びないほうがいいし、放射性物質もできるだけ体内に取り込まないようにしたほうがいい。残念ながら、原発事故はすぐに終息する見通しではないので、日々の被曝をできるだけ減らす対策が重要である。とりわけ、お子さまには申し訳ないができるだけ屋内にいてもらうようにし、屋外に出るときはマスクをさせていただきたい。もちろん、仕事などで出かけなければならない事情があることを重々承知しているが、おとなも、同じような対応が被曝を少なくする方法なので配慮していただきたい」と説明するのが、国民の健康と安全を守らなければならない政府の最低限の義務だと断じる。
(このような政府の説明で高機能フィルター付きのマスクに対する需要が急増するが、優先供給地域を指定して全国から集め、水道水問題で行ったように児童や生徒を優先に配布(販売)すればごたごたはあってもそれなりの対応はできる)
これから先、放射線の影響でどのような健康被害が出てくるかわからないが、そのある割合は、放射性物質が大気中に大量に飛散した3月12日から21日のあいだに適切な対策を講じていれば発症しないで済むものだと考えている。
防護方法に関する説明をまったくしなかった菅政権=厚労省が、福島県住民に対する長期的な健康管理を行うとしている。
しかし、事故後やってきた被曝放置政策に照らせば、住民の健康管理は建前の話でしかなく、疫学調査という名の“人体実験”を進めることが第一の目的だろうと言わざるを得ない。
放射性物質が放出される時点で防護策を講じなかった政府が、あとから健康管理だとは噴飯ものである。
(厚労省の食品安全委員会のメンバーのなかには子どもの甲状腺ガンは致死率が低いとか悪性度は低いから問題は少ないといった正気とは思えない発言をするものもいる。体にメスを入れる手術や毒物でもある薬物の投与を行えばそれほど高い割合で死ぬわけではないということらしい。医学研究者らしい発想だが吐き気を催す発言だ)
※ 参照投稿
「国民の被曝と母乳汚染を“意図的に”増大させた菅政権の大罪:ヨウ素131の半減期は8日だぞ!」
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/253.html
● 人々の健康はお構いなし、事故の過小評価をもくろみ放射線線量測定開始を先延ばし
今回の福島第一原発事故で、文部科学省が周辺各地で放射線線量を測定し始めたのは、なんと原発事故でほとんどの重大事象が終わった3月15日である。
(重大事象とは、ベントの実施、各号機炉心のメルトダウン、1号機・3号機の水素爆発、2号機の圧力抑制室損壊を指す)
国民の健康や安全を考えるまともな役所なら、遅くとも、原子力緊急事態宣言が出た翌12日から測定に動くはずである。
さらに、その後も、アリバイ的な対応だけで、国民の健康と安全を追求するために積極的に動こうとする様子が見られない。
文科省は、放射能汚染測定をできるだけ避けてきたと言わざるを得ない。
大学教員を含む民間人や海外の環境保護団体が必死に駆け回っているが、菅政権は、大気・土壌・食材・河川・湖沼・水道水・下水・海洋・地下水など人々の健康に関わる汚染問題をつまみ食い的に調べるだけで組織的系統的に調査しようとはしていない。
だからこそ、下水汚染が建設資材汚染まで進んでしまう事態も起きている。
このような“緩慢な”動きは、主要な放出核分裂生成物の一つである放射性ヨウ素の半減期が短いことを“期待”したものだろうと疑っている。
原子炉停止後時間が経てば経つほど半減期の短い放射性物質はかたちを変えてなくなっていくから、測定を先に延ばせば延ばすほど実際の放出量より少なく感じてもらえる。
また、放射性物質汚染にかかわる核種分析の実態もひどいものだ。
どのような放射性物質が漏出しているかは、原発事故そのもののレベルや性格を知る重要な手がかりである。
しかし、ウランやプルトニウムの漏出については知らん顔で、東電が二度ほど敷地内で検出したと報道されたくらいだ。
(食品安全委員会もウランやプルトニウムについては飛散核種の調査対象拡大待ちといっている)
原子炉まわりや流出で汚染した海洋・地下水・敷地などの核種分析を行っている東京電力に対して、分析対象をヨウ素131とセシウム134及びセシウム137に限って認めるという目眩を起こしそうなくらい異様な実態がある。
これは、話題騒然となった3月27日の「濃度1千万倍事件」(再臨界していること以外に漏出が考えにくい超短時間(53分)の半減期核種であるヨウ素134の大量検出の公表)や3月31日の「テルル129問題」(半減期70分でテルル129Mとの関連で算出式を問題視)を経て、東電が“分析停止処分”を受けたからだ。
(私としては、再臨界と結びつくことが嫌われたのであって東電の核種分析が誤りだったわけではないだろうと考えている)
4月1日に保安院から核種分析の“誤り”で厳重注意を受けた東電は、それ以後、陰ではやっているのだろうが、公式には上記3種類のみの核種分析しかやっていない。
なんと今現在も、建屋内汚染水・海洋・土壌・大気まで核種分析の公表は、上記3核種に限られているのだ。
まともな政府なら、未曾有の原発事故にみまわれている状況下で東電の核種分析能力にほんとうに疑問があるのなら、ただ注意を与え分析の公表を押さえ込むのではなく、あらゆる機関を動員して正確な核種分析を追求していくはずだ。
● タコ部屋も真っ青の原発事故作業者に対する過酷な待遇を放置
高い放射線にさらされながら事故対策で奮闘している作業者たちの劣悪な生活環境は衆知のことだろう。
かつて、ダム工事などの飯場がタコ部屋と称され、劣悪で低賃金の過酷労働の象徴として語られたが、今回の原発事故現場で働く人たちのそれに比べれば天国のように思えるかもしれない。
就寝場所などの整備は時間がかかるとしても、寝具もまともになく、三食がパンやレトルト食品だけの期間があれほど長かったことに愕然とした。
(日本有数の大企業である東電が少しだけ力を振り向ければ改善が可能な問題である)
また、現在の先進国日本で、さらに政府が最終責任を負っている事故対策の現場で、命や健康を支える線量計の数が足りずに素のままで高濃度汚染区域内の作業をさせていたのはまさに犯罪行為だろう。
(この問題も、安全よりも人手の確保を重視する意図的な放置だと考えている。誰が、今の日本で国家プロジェクトにまでなっている福島第一に必要な線量計が届けられないと考えるだろうか)
建設業者が二次災害に遭うという問題はあるが、東電自体が建設業免許を持っているのだから、広い敷地に恵まれた福島第一でゆっくり休める施設が建設できないはずがない。(もうすぐできるようだが)
政府は事故対策従事者の劣悪な生活・作業環境をメディアの報道で知ったようなそぶりを見せ、東電に改善を迫ってきたが、それまでにそのような状況で作業を強いられていることを知らなかったというのでは、事故対策の最高責任主体としての体をなしていないと言える。
昨日も東電社員の高濃度内部被曝が見つかった。
初期のばたばた状況で被曝線量が多かったり思わぬ内部被曝があったことは想像に難くなかったが、問題は、保護レベルがいちおう高い東電社員ではなく、協力企業に雇われた“流し”の労働者である。
放射線防護を重視するのであれば、事故後の福島第一にかかわったひとの移動をきちんと管理していなければならないが、それをやる気さえないようだ。
※ 参照投稿
「一般・下請け社員や一般国民を“虫けら”同然に扱って当然という恥知らずの東電や政府が事故対策の主体を担っているという脅威」
http://www.asyura2.com/11/genpatu10/msg/320.html
● 食品放射能汚染の“洗浄”後測定を指示
厚労省も、野菜などに放射性物質が降り積もってその量が規制値を超えるようになった3月18日に犯罪的とも言える異様な連絡文書を各自治体に配布している。
それは、非可食部に付いている泥を落とす程度で測定するという規則をねじ曲げ、洗浄した野菜を切り刻んで測定するようにという連絡である。
これにより、従来の規則で測定していれば暫定規制値を超えるような野菜までが大手を振って市場に出回ることになった。
さらに、枝野官房長官は、野菜などの汚染食材について、「1年間食べ続けなければ健康に影響はない」と強弁してきたが、それは、1回の放射能漏洩で汚染された食品を放射性物質が減少していく過程につきあいながら摂取し続けた場合の話なのである。
厚労省食品安全委員会の暫定規制値は、単発の放出で放射性物質が半減期に応じて減り続けることを前提に算出されたもので、今回の事故のように継続的に放射性物質が漏出するような状況では適用できない。
細かい話は省略するが、菅政権は、「1年間食べ続けなければ安全」だとか、「安全側に立った規制」と口先で言うだけで規制値の内実さえきちんと説明しない。
とにかく、実際に防御するための政策に注力するのではなく、健康に問題なし安全だと思わせることに注力し続けた政権なのである。
※ 参照投稿
「厚労省の犯罪的行為:農産物の放射能汚染を小賢しい悪知恵で過小評価させた菅内閣」
http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/689.html
● 放射能汚染水の海洋投棄
これは、国際的にも大きな問題になり、震災と原発事故で苦しむ日本人に同情を寄せていた諸国民の感情を大きく変えてしまうきっかけにもなった出来事である。
また、平田オリザさんが韓国で“不穏当な”発言をして謝罪後取り消した件でもある。
政府・東電は、汚染水が原子炉から格納容器そして建屋へと流れ出していることを遅くとも3月24日時点では把握していた。
冷却を続けるためには注水しなければならない、注水すれば汚染水が建屋やトレンチなどに流れ出てくる。
このジレンマに苦しんでいた(いる)ことは理解できるが、経済力や技術力で劣る開発途上国ではない日本なら、真剣に対策を講じていれば、ぎりぎりまで海洋放出を避けることができたと思っている。
少し前にも書いたが、2号機の立て坑から流出した高濃度汚染水の問題も、知っていながら流し続けた疑いを強く持っている。最近の“流出事故”も同じだ。
そうせざるを得ないほど、深刻なレベルの汚染水流出だということもできる。
● ただでさえ苦悩にある避難者をさらに追い詰める賠償措置の先延ばし
これは東京電力に言いたいことだが、3月25日の自分たちの給料日の前に、非難を強いている人たちに補償のお金を支払うかなと思っていたらまったく音沙汰ナシだった。
東電は、これほどひとの痛みに鈍感で無頓着になれる企業なのだ。
4月になって関連地方自治体に一律のお金を配ってという手抜きに、政府が動き始めたが、5月になってからの国会で、その時点でわずか数千世帯しか仮払い補償金の振り込みが終わっていないと東電の社長が説明していた。
政府は銀行に東電に対する2兆円の融資を要請し、3月末にその融資は実行されている。
そのお金は何より原発事故被害者に優先的に使われるべきであり、それをきちんと指示し監視するのが政府の役割である。
また、一つ一つが政府からきちんと目配りされるような存在ではない農家・漁業者・中小商工業者に対する補償及び賠償は、細かい査定ではなく、前年度の売上(収入)月平均の90%〜100%といった一括処理で迅速な支払い(仮払い)をさせなければならない。
政府の遅い対応を見ていると、この機に淘汰されるものは淘汰されたほうがいいと思っているのではとつい考えてしまうほどである。
● 学校での年間被曝20mSv以下問題
厚労省は、ICRP勧告を盾に、学校での年間被曝を20mSv以下という目標を設定した。
(20mSvは、事故後の復旧段階での被曝という作業するおとなならいざしらず児童にとって関係のない話であり、その値は、職業的被曝限度の5年平均に相当する極めて高いものである)
管政権は、この問題でさえ、官僚機構をどやしつけて政策を改めるのではなく、あれこれわけのわからない言い訳を弄し続け、ようやく、文科大臣の口頭新目標“1mSv以下をめざす”で逃げ切ろうとしている。
(年間被曝20mSv以下規制がなくなったわけではない)
福島の父母たちやそれを支援する人たちの運動が大きく広がり、原子力安全委員会も20mSvの妥当性を肯定せず、医師会や海外からの批判も高まるなかで小手先の軌道修正を行っただけだ。
文科省は学校の放射線量規制をきつくすると福島県で義務教育ができなくといっているそうだが、それは、福島県でこれまでの法規制範囲の放射線量で義務教育をきちんとやろうとすると膨大なお金が必要になる(財政負担が生じる)から対策を採りたくないというだけの話だ。
何年か後に出るかどうかわからない病気や障害を少しでも少なくするために財政負担を増やすなんてしたくないという官僚ならではのわかりやすい判断だ。
(発病しても、原発事故との因果関係を立証するのは現在のような政府や司法であれば難しい)
● 識者を大勢集めて増税会議と見まがうばかりの復興会議
官僚政治の得意技が「諮問会議」制度の活用である。
自分たちで政策素案は持っているのだが、それを本決まりの政策として打ち出すのではなく、有識者や専門家と称する人たちを集め、議論を誘導して自分たちの政策に落とし込んでいくという手法である。
この手法のメリットは、中身はまごうことなく官僚(政府)の政策でありながら、諮問会議がなかに入っていることで、結果が悪くとも官僚(政府)が責任を追及されないで済むことにある。
今回のような非常事態では、国民に選挙で選ばれた与党と政府が全責任を負う覚悟で、復旧→復興の道筋を明らかにし財政的支えも手当てしなければならないと考えている。
しかし、菅政権は、政府税調のような感覚で6月中旬までに案をまとめるという悠長な動きである。
しかも、復興会議初日から、政治家でも閣僚でもない五百籏頭議長に「増税」を語らせるという有様である。
災害復旧のための一次補正の財政的手当を「年金」から行ったことからわかるように、財務省は、この機に消費税の税率をアップする道筋をつけようとしている。
(「年金」を人質に消費税アップをもくろむえげつなさだ)
なんのことはない、国民に選ばれたわけでもない復興会議のメンバーに増税まで決めさせ、自分たちが矢面に立つことなく政策を実現してしまおうという話なのだ。
消費税の税率アップが歳入全体での税収アップにつながるわけではないことは、89年の消費税導入、97年の消費税税率アップ後の経済・財政を顧みれば一目瞭然である。
菅政権は、復興政策の決定過程さえ官僚の差配に従うだけで、国民に選ばれた政治家としての気概を見せることをしなかった。
● 東電を温存するために国民に負担を強いる賠償スキーム
原発事故に伴う東電の賠償をめぐる政府の政策は、端的に言えば、東電(株主)・金融債権者を保護し、全国民に負担を強いるものと言える。
※ 参照投稿
「政府・東電一体化賠償スキームが国民の“健康”と“財布”をむしばむ!:「最後まで国が面倒を見る」が騙しの手口」
http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/497.html
● わかっていながらホットスポット地域住民を見捨てた菅政権
これも実に腹立たしい問題で、統治者というものにおぞましささえ感じさせる出来事である。
飯舘村や浪江町の南部(文科省MP32及びMP33の周辺)は、今では当時から動いていたことが明らかになっているSPEEDIで3月12日から高い線量が予測されていた地域である。
そして、文科省が実際に線量測定を始めた15日以降は、2号機の圧力抑制室損壊に伴う放射性物質の大量漏洩と風向きの影響でたいへんな量の放射性物質が降下したことがわかっている。
高い放射線量は21日頃まで続き、毎時100μSv(24時間2.4mSv・7日間16.8mSv)前後の値がずっと測定されていた。
このような汚染状況を政府は当然知っていた。(福島県もSPEEDIの情報は入手しているし、15日の線量値は公表データである)
しかし、20km圏という同心円での避難指示から踏み出すことなく、知らん顔をして該当地域住民の高線量被曝を放置してきた。
さらに、このようなホットスポット情報が周知されなかったため(周知しなくとも回避するような誘導がされなかったため)、避難指示を受けた20km圏の人たちが、高線量で汚染されていた飯舘村や浪江町に逃げ込み、しばらく生活するという“二次悲劇”さえ生んだ。
文科省は、原発事故からの放射性物質の放出が一段落した23日に積算線量計を設置し、その値をベースに各地の線量累積を発表している。
時々報道される飯舘村などの高い積算線量は、それでも、放射性物質の降下が峠を越えた3月23日以降の積み上げでしかないのだ。
すべての動きが、事故の行く末を見通したうえで、できるだけ放射能被害を小さく見せようとしたものであることがわかる。
4月下旬になってようやく、飯舘村に「計画的避難地域」という“難解な”指定がされた。
MP32及びMP33周辺の地域は、今なお計画的避難地域というだけで、将来の生活見通しもクリアにならないまま高線量のもとでの生活を強いられている。
(子どもを抱える家庭は負担に耐えながら“部分避難”をしたりしている)
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※ 1号機の地震による瓦解と早期メルトダウンに関する参照投稿
「1号機は津波ではなく地震による損傷でメルトダウン:再循環パイプの破損で津波前から毎時25トンの冷却水漏れ」
http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/584.html
「衆議院予算委員会の審議でみたグラフをもとに「1号機問題」を補足:ますます見えてくる管政権の国民軽視のエセ言動」
http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/625.html
「スクープ!東電自身が「1号機は津波ではなく地震で機能不全に陥った」と公言:姑息で間接的なやり方だが...」
http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/689.html
「「津波原因」説のゴリ押しで「地震原因」を封印する東電&保安院の大暴挙:D/W冷却系起動のみで1号機の冷却機能が正常だと!」
http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/702.html
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