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フランスでは水使用制限を拡大
冷却水が足りなくなりだしているフランスの原発
◆5月30日
5月24日号の「IMFの政権交代:でっち上げられたストロス・カーン逮捕劇 (その2)」で、以下のように書いた。
「今、フランスは旱魃で水不足から原子力発電所の冷却が危険な状態になっている、と言われている。政敵を葬って喜んでいる場合ではないのだ」
日本では5月に本格的な台風の直撃を受け被害がでているが、フランスや中国では今、水が足りなくて困った状況に陥りだしている。
特にフランスでは全国にある川沿いに建設されている原子力発電所の冷却水が足りなくなり出している様子で、このまま恵みの雨が降らねばブラックアウトになるかもしれない、という状況のようだ。恐らく相当なところにまで追い込まれることだろう。
フランスは原発推進国であり、発電量の7割以上が原発によるという。その原発が水不足で操業停止などに追い込まれたらどうなるであろうか? フランスは自国の原発は日本のようなお粗末な事故は起こさないという自信を示してきたが、どうであろうか? そのような驕りが、自然のちょっとした変動である降水量の不足、水不足、という一事で吹っ飛ぶような脆弱なものでしかない事を理解するべきであろう。
また中国でも「今後、気温が上昇するにつれ、干ばつはいっそう悪化すると懸念されている」と言われているから、全く予断を許さない状況のようだ。本来ならば、中国で降る雨が日本に降っているのかもしれない。
これから始まる地球規模の大変動は、このような人間の傲慢性を一挙に吹き飛ばし、人間が自然の脅威(怒り・慟哭)の前では、木の葉のような存在であることを思い知らされることになるだろう。そしてそれでも<生かされていることに感謝する心>をもつことの大切さを知ることになるだろう。
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●フランスでは水使用制限を拡大
http://www.boston.com/news/world/europe/articles/2011/05/28/
france_widens_limits_on_use_of_water/
【5月28日 boston.com】
ヨーロッパ連合の農産物生産者地域での旱魃が長期化しているため、フランス当局は水使用制限を全国の県の半分以上に拡大した。
26日時点でフランスの96の県の内50の県で水使用制限ないしは禁止措置が取られている。環境省のオンライン情報によれば5月20日時点では42県であった。
フランス気象庁によれば、フランスの主要な小麦生産地域であるオルレアン市では、今月の雨量は 0.14インチであるという、5月の平均は2.64インチである。この地域では過去4年間のデータによると、フランスの小麦生産量の内13%を生産している。
「旱魃が市場を支配している」と、パリに本部のあるアグリテル(Agritel)社はウェブサイトで書いている。先週この会社は、フランスの小麦生産は12%下落するだろうという予想を示した。
「小麦生産における重要な段階における現在の気象状況を考慮すれば、生産量の更なる下落も考えられる・・・」とアグリテルでは言っている。
穀物、ブドウ、菜種が生産されているフランスの北半分の土壌は、4月末で50年来の旱魃に襲われていると環境省が先週報告している。山岳地帯の雪として蓄えられている水の量は、1995年から2005年までの間の5月平均から見れば「非常に少ない」と環境省では言っている。
●干ばつが原子力発電所の操業に脅威を与えている
(http://www.qetic.jp/blog/pbr/?p=3528)(翻訳文)
http://ecologie.blog.lemonde.fr/2011/05/16/la-secheresse-menace-le-bon-fonctionnement-des-centrales-nucleaires/
【5月16日 Le Monde】
フランスで農家を苦しめている干ばつが影響を与える範囲は農業だけの問題ではなくなってきた。原子力発電所の機能と操業に関係しているのだ。
現在のフランスでは、干ばつによって 26の州で取水制限がおこなわているが、これが長引いた場合、いくつかの原子力発電所が機能停止せざるをえないと見られている。
フランスでは、 58の原子炉のうち、44カ所が川沿いにあり、川の水を使用している。
現在、フランスの原発が機能停止の脅威に立たされていると考えられる問題点は以下の三つだ。
まず、原子力発電所の操業は、川の水の量に関しての基準を満たさねばならない。
操業のためには川の水の流れが規定以上あることが必要だが、現在続いている干ばつにより、川の水の量が規定を下回りつつある。
原発は停止しても冷却を続けなければならないが、そのための冷却水を欠く恐れがあるのだ。
現在、 22の原子炉ですでに冷却水の不足の可能性が指摘されている。
二点目としては、冷却装置からの廃水の温度が一定の限度を超えるときには、出力を落とすか、停止するかしなければならない規定がある。現在、フランスの 20の原子炉がこの基準を満たせない恐れが出ている。
三点目に、廃水放射性物質が十分に希釈されるために、河川の水の流量が一定量に満たない場合は、水の流量が回復するまで廃水を貯水池にためておかねばならない。しかし、長引く干ばつで貯水池が満杯になれば、原子炉を数週間の間、停止しなければならない。
環境保護活動をしているステファン・ロム氏によれば、上記のような冷却水に関する規定を越えて操業を続けた場合、メルトダウン(炉心溶融)のような深刻なトラブルまで起こり得るという。
原子炉安全の責任者たちは安全な方法での電気供給への努力は怠らないと述べているが、上記のそれぞれの問題に該当する発電所と原子炉が複数にのぼっており、専門家たちは原発停止による電気供給の停止を懸念する。
●長江中・下流域で深刻な干ばつ=507万人の飲料水に影響―中国
Record China 5月29日(日)14時24分配信
2011年5月28日、新華社は長江中・下流域の干ばつについて報じた。
中国国家洪水干ばつ対策総指揮部弁公室によると、26日時点で干ばつ被害を受けた耕地面積は617万ヘクタールに達した。507万人、家畜344万頭が飲料水不足に悩まされている。
5月中旬、国家洪水干ばつ対策総指揮部及び水利部は被災地に対し、1億3500万元(約16億9000万円)の対策費を拠出した。また三峡ダムは5月に入ってから27億6400万立方メートルの水を追加放流している。
昨秋以来続く干ばつはきわめて深刻な事態を招いており、特に湖北省ではここ50年で最悪の干ばつとなった。今後、気温が上昇するにつれ、干ばつはいっそう悪化すると懸念されている。(翻訳・編集/KT)
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2011/05/30 (Mon) 自然現象
(新世紀人コメント)
ドイツだけではなくスイスでも原発廃止を要求する運動が激しくなってきているが、スイスは自国の原発だけではなく、隣国フランスの原発に危険性を高まる事を怖れての運動であると報じられていた。
この背景には、上で報じられている事も関係しているのかもしれない。
水が無ければ冷やす事が出来なくてメルトダウンを生ずるだろう。
日本の地震津波の脅威とはまた違った問題を抱えている訳だ。
サルコジの得意顔もいつまで続く事やら。
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