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「Re: 「2号機圧力抑制室損壊原因」をめぐるtaked4700さんとのやりとり」
http://www.asyura2.com/11/genpatu11/msg/864.html
の続きです。
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Metolaさん、こんにちは。
横槍、大歓迎です。
私が事故分析にこだわるのは、国民の多くが事故原因をきちんと認識することが、原発を順次廃炉にしていく近道になると考えているからです。
(順次廃炉というのもひとによってはぬるいと思われるとわかっていますが、合意形成という観点から、新規建設はなしで、30年を経過した原発から順次廃炉にしていくという線が妥当なのかなと思っています。定期検査中や事故処理中の原発が“喪明け”を許されなければ、稼働中の原発も順次的検査に入り、来年1月ころまでにはすべての原発が運転停止状態になりますが)
また、あれこれ細かい技術的な問題まで書き込んでいるのも、事故調査委員会なるものが、技術用語を駆使した作文で事実と違った総括をする危険性を感じ取っているからです。
(なぜか事故調査委員会に原子炉の専門家が加わっていないようなので(“非原発推進派”じゃなければダメですからね。かといって反原発派を選ぶ勇気はない(笑))、ますます経産省技術官僚の仕切りで事故分析が行われる可能性が高い。彼らは、ゴマカシや誘導の作文が実にうまいので、疑念を持ち続けないひとはああそうかと納得してしまいかねない)
「ただ、今からどう戦えるかということに関心があるので原発の現状はどうなっているかということだけを問題にしています」というスタンスも理解できます。
私もコメント欄では、チェルノブイリに近いリスクを背負った短期収拾策を書いたりもしましたが、そのような対応策は今しばらく議論の俎上にも上らないだろうなと思っています。
>■注水措置について
【引用】
「そもそも、原子炉の循環が止まった段階で注水をしても、それだけでは温度は下がりませんし、炉心融解も止められません。ただ炉内の圧力が上がるだけです」
【コメント】
原子炉まわりに“穴”がなければ、蒸発に見合う量の注水で燃料棒を冠水させ続け炉心溶融を止めることができるはずです。
言われるように、注水による蒸発は炉内の圧力を上げるので、それが主蒸気逃がし弁の作動をうながし、格納容器の圧力上昇(損壊の危険性アップ)をもたらすことにつながります。
今回の事故でも、そのへんを考慮し、ベント・注水量増加・注水量減少などを組み合わせながら対応したと思っています。
【引用】
「どのボイラでもそう(だから1〜3号すべてに適用可能)ですが、温度暴走を防ぐために注水はパージとセットで行うべきです。ただ、原子炉の場合は、パージ(=ベントという作業に置き換えてください)というのが頻繁にできない。だから、初期段階で注水をしたという事態の意味していることは、冷却材としての水が無くなったということに過ぎません(最初の数日は)。冷却水の量を回復させる、それ以上にあまり意味がないのです。」
【コメント】
原子炉のベントは、S/C経由のウェットベントであれば、ベント弁はブローアウトパネルと同じように破裂弁なので、いったん開けばずっと気体は出て行くはずです。
(それはずっと希ガスや微粒子放射性物質が拡散し続けることを意味する)
ドライベントの弁は、開閉がどのような仕組みなのか捜査中なので、意図的に開かなければならないのか、1回実施すればずっと開き放しなのかちょっとわかりません。
(わかる方がいらっしゃったら、お教えください)
【引用】
「そして、私個人としては、三機とも水素爆発を起こしたわけで、初動段階の注水は効果は限定的であったと考えています。 」
【コメント】
2号機は水素爆発ではなく圧力による損壊だと考えています。
興味がないと言われているのに申し訳ありませんが、2号機のS/Cが「水素爆発」で壊れるロジックを教えていただければ幸いです。
燃料棒を冠水させ続ける注水は、2号機だけ、14日午前中まで成功していたと考えています。
このことから、事故後直ちに外部電源の復旧に注力していれば、最低でも2号機と4号機は現在のような惨状から逃れられたはずです。
(4号機原子炉建屋を爆破する必要もなかった)
1号機は確実ですが、3号機も津波の前に地震で配管が損傷している可能性が高いと思っています。
1・2号機は津波後すぐの3月11日16:36に15条通報がされていますが、3号機が15条事象に至ったのは14日7:44です。
3号機の12日の水位推移や圧力変化に照らすと、危険極まりない状態だったはずですが、15条通報はされていません。
ただ、3号機で水素爆発が起きたのは3月14日11:01ですから、隔離時冷却系もしくは高圧注水系による注水は、蒸発量と漏れを少しはカバーしたと考えています。
結局、内設の注水機能を失ってしまうことで外部消火系給水では追いつかず、全炉心メルトダウン→水素爆発、同時的に原子炉圧力容器に“穴”、続いて格納容器にも“穴”という事態に進んでしまったと思っています。
【引用】
「本来なら、圧力容器の外に水をかけて、圧力容器の外から冷やして行けば、炉心が融解して圧力容器のそこに貯まってしまったとしても、底が抜け落ちるのに時間がかかります。だから、海水の注入をするのであれば、真っ先に格納容器から開始するべきだったんです。あわせて、冷却系を循環させて圧力容器の冷却材の回復をする。すくなくとも世界的にはそれが一般的な初期対策だとおもいます。でもそれをせず、圧力容器に注入すると発表した。格納容器に水を「満たす」のは7日ほどかかるのからというのがその「言い訳」だったと記憶しています。 」
【コメント】
格納容器スプレイ系など交流電源を使うECCSは全滅ですから、外部から消火系での給水のみで格納容器を冠水させなければなりません。
原子炉の底部に届くまででも6千トン以上の注水が必要だそうですから、毎時20トンとして300時間(約12日)かかります。
初動段階では、海水のポンプアップをままならず貯蔵していた水を使えるだけのときもあったようですから、格納容器を冷やす程度の注水はできても、圧力容器を冷やすほどの注水ができたかどうか疑問です。
また、圧力容器は肉厚16cmの鋼鉄製ですから、単独で外から水で冷やす効果がどれくらいあるのかも疑問です。
もちろん、内外から冷やすというのは効果があると思っています。
【引用】
「初動段階を過ぎてからの注水については、意味が変わってきます。初動段階を過ぎてからの注水は汚染水を増やしただけでまだ爆発的な反応をさせたほうがよかったとすら感じています(4)。燃料が溶け落ちている今となっては、水素爆発の可能性もずっと叫ばれていますが、時間的にジルコニウムも酸化しきっているでしょうから、全くの無駄とすらおもいます。
水位について言えば、漏れていれば下がりますし、漏れていなくても循環しない限りは回復しないでしょう。水位についてはどうでもいいので、最初から注目していません」
【コメント】
「爆発的な反応をさせたほうがよかった」ということですが、3月15日以降、燃料プールはともかく、原子炉にも格納容器にも“穴”があいた状態で水もバシャバシャかかり続けているので、原子炉絡みで爆発的反応が起きることは考えにくいのですが、どのような爆発的反応を想定されていますか?
注水は、溶融した燃料のせめて表面だけでも冷却して固め、原子炉の“穴”の拡大を防ぎたいという意図だと思っています。
ですから、漏れ(汚染水)の問題もあって、基本的にはそれほどの注水をしていません。
(3号機はそのため原子炉まわりの温度が上がったのであわてて注水量を増やしました)
米国サイドの指示のようですが、格納容器での窒素充填ですが、おそらく再臨界状態での中性子線による水の分解から生じる水素爆発を防ごうという意図だと推測しています。
ベータ線やガンマ線でも放射線による水の分解は起きますが、それはたいした量ではなく核分裂停止後2、3日で水素爆発の危険性からは遠ざかるという資料を見ました。
窒素充填がテーマになることも、再臨界を疑わせる要因です。
「漏れていなくても循環しない限りは回復しないでしょう」ということはないと思います。圧力上昇の問題を脇におけば、蒸発量を超える注水をすれば水位は高くなります。
ただ、注水だけでは冷却機能として十分ではありません。
>■圧力容器について
【引用】
「簡単にいえば、圧力の変化から、1号機については超高圧だった4月上旬はまだ底が抜け落ちるところまでは行っていないと考えています。あっしらさんの考察もありますが、線量だけをみれば、たしかに格納容器に地震後の早い段階で燃料の一部が落ちていると推測できるのは事実です。とはいえ、燃料が格納容器内にもれるパスは底が抜け落ちる以外にもあるのです。そのなかでも最悪の事態と懸念しているパターンは、水に燃料が交じって外界に排出されるというものです(4)。 」
【コメント】
4月7日に100Sv超という高いCAMSが検出され、翌日から計器不良というかたちで値を公表しなくなりましたが、圧力容器の底が抜けるのなら、ここまでの時間経過はいらないだろうと思っています。
7日のCAMSが実測値なら、再臨界のほうが可能性があるのかなと思っています。
3月27日に“見つかった”5、6号機建屋の地下水流入量を考えると、それ以前に1号機の格納容器にも底に“穴”があいたと考えるのが自然ではないかなと考えています。
3月24日の時点で、1号機の場合「水に燃料が交じって外界に排出される」状況ですし、2、3号機もほぼ同じ状態になりました。
2号機建屋に入った3人の作業者の被曝入院は3月25日、2号機の「1千万倍事件」は27日です。
>■メルトダウンの恐ろしさについて
【引用】
「メルトダウンの定義は分野によってマチマチだとおもいますが、原子力業界の中でも反原子力業界の中でも、単に燃料が燃料が融解するに留まらず、臨界を伴う状態で、暴走しており、高温で、制御できない状態に進展することを指していると認識しています。ここ、阿修羅掲示板でも、メルトダウンについてはそういう書き方で統一しています(パニックを避けるためでも何でもなく、情報の混乱を避け、事後検証を用意にするためです)(メルトダウンを恐れて盲目になっている原子力関係者への警鐘のためでもあります)。それで、4月上旬は、1、2号機についてはメルトダウンはしていないと書いています。今は、してる、あるいは、し始めているかもしれないですね。下に落ちているものについてはなんとも言えません 」
【コメント】
メルトダウンは、燃料棒が溶融して落下することという定義で十分だと思います。
再臨界と核暴走も違う現象だと思っています。
【引用】
「ただ、わたしはメルトダウンし、水蒸気爆発が起きるよりも、汚染水の中に粉末状の燃料が含まれていることを恐れています。まず、燃料が落ちているのであれば、合金でボールを作り、それを燃料むけて転がして、溶かし混んでしまえば、臨界条件をくずせます。対策の余地がないわけではない。また水蒸気爆発まで発展したとしても、汚染地域の土砂の表面を削り取れば回復は早いです。どちらも相当の犠牲が伴うだろうけど、回復までの絵はかけます。(という絵も対策の遅さ故に潰れつつありますが)
地下汚染の場合はそうも行きません。正直、お手上げです。 」
【コメント】
すでに溶融燃料はあちこちに溶け落ち水もどこもかしこにもあるという状態ですから、水蒸気爆発まで発展することはないと考えています。
「燃料が落ちているのであれば、合金でボールを作り、それを燃料むけて転がして、溶かし混んでしまえば、臨界条件をくずせます」というのは、どういう方法で合金ボールを原子炉(ないし格納容器)に入れターゲットにぶつけるのでしょうか?それがいちばん大変なことだと思います。
(臨界については、今のところ、注水で収まるなら収まってもらう程度でいいのかなと思っています)
metolaさんが地下水汚染のことを非常に強く気にかけていられることは、2号機S/C損壊に関する投稿へのコメントで理解していました。
「原子炉→格納容器→建屋をはじめとする外界」という流れで、1〜3号機すべてで汚染水が流出しています。
溶融燃料がどのような形状になっているかわかりませんが、建屋や5、6号機建屋の地下水、付近の地下水などから放射性物質に汚染された水が大量に見つかっていますから、微粒子で水と一緒に流れ出した溶融燃料(FPも含む)もあるということになります。
とにかく、これからの汚染問題は、海洋汚染と地下水汚染がより深刻になると思っています。
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- Re: 「注水措置」や圧力容器の“穴”そしてメルトダウンの恐ろしさをめぐるmetolaさんとのやりとり metola 2011/5/30 00:38:47
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