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ついさっき昨夜のNHKニュースの録画2本を見たが、3月12日夕刻から夜にかけての「海水注入問題」がトップを飾っていた。
(家人の話やときどき覗く阿修羅で報道状況は知っていたが)
この問題の発端は、5月20日に政府関係者の誰かが読売新聞の誰かにリークしたことで、21日になって細野首相補佐官がそれへの対応文書を公表したことにある。
そこから、たいして重要とは思われない問題が、班目委員長や菅首相をまな板にのせるかたちで国会やメディアを賑わすことになる。
(私も、たいした問題じゃないといいながらけっこうな数の関連投稿をしている。それで今回もカラミついでで書いている)
昨日の「実は、海水注入は停まることなく継続していた」で一件落着かといえば、管政権(原子力災害緊急対策本部)の情報収集力や統率力の欠如がここまでひどいという現実をとてつもなく印象づけたことで、国民の相当範囲でもともと根強い管政権への不信感をいっそう高めたことは間違いなく、今後は政局へと繋がっていくはずだ。
「海水注入問題」の経緯をもう一度冷静に振り返れば(実際の経緯は別として現在の共有知)、問題はすべて東電内部にあることがわかる。
「海水注入問題」の流れをざっくり言えば、
「東電は海水注入やむなしと判断し、保安院にも準備と実施を連絡し、官邸は海水注入を指示しその後“再臨界”関連の検討を行い、フクイチ現場サイトは海水注入を開始し継続した」
というものだ。
“表舞台”で行われた出来事の流れを見て、何か問題があるだろうか?
そう、ないのだ。
東電の海水注入判断が遅かったという指摘はあるかもしれないが、その時点では、圧力の関係でどれほどの量が注入できていたかわからないとしても、注水は行われていて、淡水が底をつくことを見越しての判断だったのだから問題とはならない。
(12日の昼過ぎまでに1号機原子炉に20トンから80トンの淡水が注入されたと言われているが、毎時15トン近い蒸発量だから、20トンなら1時間20分ほど、80トンでも5時間20分ほどの“蒸発量”相当でしかない。注水は除熱(冷却)をする一方で蒸気を発生させ圧力を高める。1号機のこの時点は、原子炉に“穴”があいて、格納容器と圧力が同等になり格納容器の破損(高圧力状態)が最重要問題になっていた。ただたんに注水すればいいというものではないということは頭にとどめていただきたい)
落とし前的に公表された経緯によれば、“裏舞台”で、
「官邸にいた東電の武黒フェローが、政府サイドの空気を読み、東電本店に海水注入の停止を進言した。それで、本店とフクイチサイトがTV会議を行いや海水注入をとりあえずやめることにした。フクイチの吉田所長も反対しながらも了承した。しかし、原子炉と作業者の安全性を考慮して注水のほうが安全側だと判断して注水を継続した。その後、政府の対策本部からも海水注入命令が出て整合性がとれるようになった」
というものだから、
“裏舞台”の出来事については、菅首相をトップとする官邸サイドはなんらあずかり知らぬで済む。
政府はまったく関係なしに、東電自体が、この“事件”に関係した者たちの処分を決めることになる(まあ、勝手に決めればいいことだ)。
観点は、
「18:05に官邸から海水注入の指示が出ているなか、武黒フェローは、官邸から指示もないのに、なぜ、“空気”読みだけで海水注入の停止を進言してしまったのか?吉田所長は、テレビ会議で停止を了承していながら、なぜ、独断で海水注入を継続したのか?」
になる。
私は、この経緯が事実なら(そんなふうには思っていないが、終わりにしたいので(笑))、第1の罪は、官邸の海水注入指示がいまだ生きているなか、“KYS”(空気読みすぎ)で本社に勝手に停止を進言した武黒フォローにあり、第2の罪は、面従腹背で海水注入を継続した吉田所長にあると考える。
私自身は、12日夕刻過ぎでは、それで何かがどう大きく変わったというはないと思うが、海水の注入は間違っていないと考えている。
(官邸サイドがあの時点で(全炉心メルトダウンを知っていたのが条件だが)、再臨界のことを考慮するのは当然のことであり、それを(海)水の注入と絡めて考えるのも間違いではない。水は真水でも海水でも中性子の減速材だから再臨界を起きやすくする)
この件で報じられた吉田所長に対しては、満州事変ひいては大東亜戦争(アジア太平洋戦争)を引き起こすきっかけをつくった石原完爾など関東軍参謀たちへの喝采と同種のものも見受けられるが、行いの正当性(妥当性)と規律とは別問題である。
(私はまったく逆の立場の人間だが、当時の国防策として工業資源が豊かな満州の支配は理にかなっており、それを基礎に昭和20年まではひたすら軍事ではなく工業力の増大に邁進することで国防力を強化するという石原完爾氏のプランを、米英の策謀のなか対米英戦に突入するKYS政策でワヤにしてしまったことが、満州事変を日独伊三国同盟締結と並ぶ“歴史的大罪”にしたのだと考えている。当時の陸軍省(政府)は、軍規に反して兵を動かした関東軍司令官や参謀さらには国境まで越えた朝鮮軍司令官などを罰することなく黙認した。これが、「善かれと思うことなら独断専行でかまわない」という空気を軍部に充満させ、2.26事件を引き起こす雰囲気作りにも貢献した。皮肉なことに、昇進して参謀本部勤務だったときに起きた2.26事件で、石原完爾氏は “反乱将校”から「あんたがやったようにやっただけだ」と言われている)
最後に一言、隠れた“重罪人”は、5月20日の時点で読売新聞の誰かにリークした政府関係者である。
枝野長官は、小佐古さんが辞任の翌日に記者会見を開こうとしたら、「守秘義務違反」をちらつかせた。
そんなことに力を割くのなら、今なお事故進行中の重大時期にくだらんリークをした政府関係者をのちに処分するとだけは言っておくことだ。
昨夜から今朝にかけて見た関連テレビ番組から12日午後1号機問題の経緯をまとめておく。
念のため、事実かどうかは別である。
※ 項目末尾のNはNHKニュース(昨夜7時)、CはCX(フジテレビ)系今朝「知りたがり」(青山繁晴氏情報)
【3月12日】
●12:02 東電が注水優先を決定(C)
●14:53 淡水注入停止(N・C)
●15:18 東電から保安院に準備次第海水注入と連絡(N)
●15:36 1号機水素爆発(Cだが衆知)
●18:05 政府から海水注入に関する指示(N)
●18から 再臨界の可能性を検討(C)
18:20まで
●19:04 海水注入開始(N・C)
● 〜 以降、海水注入が継続(N・C)
3月12日の問題なら、14:53の淡水注入停止の理由(公表ではストック切れ)と、15:36の推測爆発をはさんで19:04まで注水がいっさい行われなかった“空白の時間”のなかにこそあると考えている。
その問題を考え中なので録画ニュースを見るのも遅くなった(笑)。
しかし、東電の武藤副社長の「新聞や国会で本件が議論になって、IAEA調査団のインタビューもあるから、(吉田は)記憶をもう1回よく考えてみた・・・」という説明にはほんとうに声を出して笑ってしまった。
「海水停止問題」が出た時点(21日)で東電は現場に確認するのが当たり前だし、吉田所長も事故関連報道情報は入手しているはずだ。
まあ、とにかく、この問題は終わりにして本筋に戻って欲しい。
また、この問題は、まったく東電内部の話なのだから、この問題で政局を動かすのは御法度だと与野党の政治家には認識して欲しい。
それにしても、誰が何の目的でこの騒動を引き起こしたのか今なおわからない(笑)。
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