113. 2011年5月29日 00:41:46: aQY6pXt3lQ
>>10597です。説明が足りていませんので補足します。 まず、小出助教の測定は3/15でした。 こちらの資料にはダスト分しか出ていないのですが: http://www.page.sannet.ne.jp/stopthemonju/home/11.3.25tokyomienaikumo.pdf ダストの吸引時刻が11:14〜12:14とのこと。場所は台東区。 空間線量率もこの時間帯前後に測られたものと思われます。 他の地点の計時変化からみても、東京の場合、3/15の空間線量率のピーク時間帯にあたっていたようです。 さて、私が2〜3倍と申し上げたのは、同日同時刻、すなわち3/15の新宿(モニタリングポスト)に比べてのことです。 まず、2〜3倍の根拠ですが、一つは放射能汚染分布が一様でないこと。もう一つは、新宿のモニタリングポストが地上10数メートルで測っていることから、地上のアルファ線、ベータ線はほぼ拾えないことと、民間測定チームの場合、概ね空中1m(地面の汚れを見る場合、ほぼ地表でも測ることあり)、この差が出ます。 傾向として、足立、葛飾、台東あたりの民間計測値は、新宿の数倍増し(今月に入って、線量率がほぼ横ばいになっていることから、5月のデータで比較してもこの傾向は見て取ることができます)、2〜5倍位の幅でばらつきがあります。このことから、新宿の同日のモニタリングポストの値から数倍の範囲内であれば、台東区での測定ならば、妥当な値と判定できるというのが、私の見解です。 3/15の基準となる新宿のモニタリングポストの値ですが、文科省のページで一応見ることができます。ただし、3/15までは時間毎ではなく、日の最高、最低で示されているのですが・・・ 文科省のページによると、過去最高値5/15 0.496μSvとありますが、生データを見てみると・・ http://113.35.73.180/report/201112w.html 3/15 10:00-11:00に0.160〜0.809μSv、 一時間平均で0.496μSvと出ています。 計測のタイミングの問題があると思いますが、0.809μ×3≒2、一時間平均値でも 0.496×4≒2 十分に測定方法などによる変動の範囲内と見ております。 空間線量率についての妥当性の検証は以上です。 105様、こんな感じでよろしいでしょうか。 なお、内部被曝についてですが、 前掲のレポートによると、呼吸による内部被曝210μSvとなっていますが、これは24時間分と思われるので、1時間で210/24で約10、さらに小出助教はガス状のものはダストサンプルにのらないので、ざっくり2倍、で20μSv、と言われたのかと推定されますが、仮にダスト分だけしかなかったとしても、10μSv確定、ということで。なお、3/15はまだ原子炉停止からそれ程日が経っていないため、短寿命の希ガスがかなり含まれており、その分もざっくり計算されていると思われます。 内部被曝の場合は、体内に取り込まれたものが、どう影響するかを、国の定める数値にしたがって、ベクレル(放射能の強さ)からシーベルト(放射能が人間に与える影響の評価値)に変換するため、空間線量率に一致しません。ダスト上の放射能が多い時期は、外部線量<(呼吸による)内部線量となり・・3月中旬、ダストがほぼ落ちて地面に放射能が広がると(4月以降)外部線量>(呼吸による)内部線量となります。蛇足ですが、4月以降の場合は汚染された土埃の吸入は、内部被曝上よろしくないということになります。 内部被曝の場合、放射能が体に取り込まれて、平均してどれくらい体内に滞留するか、物質の半減期と、代謝による半減期を考慮し、さらに、内部被曝の危険性を加味しての変換係数が定められている(はず)です。そもそもシーベルトは物理的な放射線の強さというよりも、放射線の人体への影響を示す単位(放射線の物理的な強さの単位はグレイ)ですので、内部被曝だと外部被曝よりも高く評価されるため、線量計の数字よりも大きくなることがあるのに矛盾はありません。 外部被曝時のベクレル→シーベルト換算係数と内部被曝時のベクレル→シーベルト換算は係数が異なるということ。 都の降下物(雨、ちり)データは http://113.35.73.180/monitoring/f-past_data.html で公開されていますが、肝心の3/15はまだ未計測。 千葉のデータなどから類推する他ありませんが、1時間分析値としては小出データは信用して大丈夫だと思います。
なお、今中助教による飯館村の3月下旬の現地調査報告もありますので、よろしければ御覧下さい。 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/seminar/No110/iitatereport11-4-4.pdf 比較的早い時期に、ある程度の核種分析まで行われています。文科省などの航空機調査に随分先立つ測定結果で、後から出た航空機調査と同傾向であり、信頼性は高いと思われます。 国の報告と脱原発側の報告が同じ傾向を示しているということで、どちらかの情報も(当然誤差の範囲があるので完全一致はしませんが)信頼してよいと思われます。
数値に対する安全か危険かの判断については、国と脱原発側で温度差がありますが、計測値自体は十分信頼できる値であると判断いたします。今回の小出助教、今中助教の調査は、科学的な値として、非常に重要なものだと思いますよ。それを政治的にどう判断されるかは、また別の問題と思います。 3/15〜16、3/20〜24の値は、突出して酷いため、4月以降の値との同レベルにはなりません。関東の場合、3/15は空気(ちり)、3/20〜24は雨の汚染が酷く、3/20〜24に降った雨にもたらされた放射性物質が地面にたまって、3/21以降、空間線量率が東京のモニタリングポストで0.04μSv/時程度だったものが、0.07μSv/時と高止まりしていることになっていると推測できます。また、塵の汚染度が3/15当時に比べ劇的に下がっているため、現在はガイガーカウンターの値よりも(呼吸からの)内部被曝値は相当少なくなっていると見込まれます。 小出氏を批判する側の論として、ガイガーカウンターの値よりも多く被曝するはずはない、といった議論がなされますが、ちりの放射能が多ければ、カウンター値よりも増えるし、ほとんど地面からの被曝の場合は、空間線量よりも相当低くなるという仕組みを理解して戴きたく思います。 但し、内部被曝は一切考慮する必要がないという立場の方は、小出助教の内部被曝計算は無視してください。 また、3/2x以降の累積線量が示されることがありますが、本来は3/11以降、せめて、3/15以降の累積線量を評価しないと、かなりの過小評価値と考えられます。各地の空間線量率、ちりの線量率の推移状況を確認して戴ければと思います。 多くの自治体が事故初期のデータを示していないと思いますが、最悪、ふくいちのモニタリングポストの推移を確認して戴ければ、事故全体の放射能放出パターンはわかると考えます。 |