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あるお母さんが、子供の被曝が心配になって、市が測定している「空間の放射線量」を調べた。
なんと、地上5メートルのところで測っているではないか!
そこで、早速、市に電話をして「子供の被曝が心配なので、地上0.5メートルで測ってくれませんか」と御願いしました。
その答え。
「県衛生研究所内のモニタリングポストは、文部科学省からの委託事業として、空間放射線量率の測定を行うために設置しております。
検出器の位置が低すぎると、土壌成分の影響を受けてしまい、モニタリングポストの設置目的である空間の放射線量を適切に把握することができなくなってしまう恐れがございます。
そのため、検出器はホームページ記載の高さに設置しておりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。」
・・・・・・・・・
一言で言えば、「バカだねえ」ということになるし、もう少し突っ込めば、「あなた、誰から税金をもらって生活しているの?」と言いたくなります.
お母さんが頼んだのは、「文科省の委託事業」のことではなく、
「非常時だから、せっかく装置があるのなら、文科省と掛け合って地面付近の放射線量を測って欲しい」
と言っているのです.
子供が被曝するのは、「土壌成分の影響を受ける」からであり、それは文科省の委託事業の目的とは違います.
でも、神奈川県がもらったお金は税金です.この非常時に「学問的な目的で設置した装置を、県民の健康を守るために使わせてくれ」と国と折衝したかを、まず答えなければならないでしょう。
文科省が、
「県民の健康など関係ないので、目的外使用は許さない」
と答えたら、神奈川県としては装置を返したら良いと思います.
この非常時で、多くの人が心配している時に、「委託事業」などを振り回す時代錯誤の感覚には驚いてしまいます.
神奈川県は自分たちが税金で生活していること、県民を守る立場にあることに気がつき、地表0.5メートルで測ってください。
・・・・・・・・・
今度の福島原発の事故では、自治体の「市民無視」の行政が目立ちます.
法律を勉強せずに「1年100ミリまで大丈夫」と言ってみたり、チェルノブイリの経験を勉強せずに「ホットスポットは存在しない」と言ってみたり、私が今まで持っていた「真面目な地方自治体役人」のイメージは崩壊しました。
地方自治体の皆さん、この時こそ、税金を払っている人に恩返しをしましょう。
・・・・・・・・・追記・・・・・・
私が前の記事で「子供は軽装で、シャワーで良い」と言ったのは、3月中旬に比べて、今、福島原発から出ている放射性チリの量は、「1万分の1」になっているからです.
だから、3月から4月のブログとは今の環境は大きく違います.
また、窓を閉める必要もありません.
「花粉が飛んできた日」と、「花粉が飛んでいない日」とでは、花粉が飛んできたら窓を閉め、花粉が無いときには窓をあけて家の中に侵入してきた花粉を掃除するからです。
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また、子供を作りたいとか、妊娠している方でご心配されている方が多いのですが、胎児や妊婦は幼児よりやや放射線に強いので、お子さんが大丈夫な場所なら、妊娠は大丈夫です.
もちろん、大人に対して、細胞分裂が活発なので注意は必要です。
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「1年100ミリまで大丈夫」と言ったり、「放射線があっても平気」と言った市役所、教育委員会、その他の公的機関の記録をパソコンか何かに記録しておいてください。
私はNHKやテレビ、新聞を保管しています.何かの時に「健康に影響がない」とか「1年100ミリで大丈夫」と言った証拠がいるからです.
また、全国が汚染された時に備えて、瓦礫の持ち出し、乳牛の移動についても記録を保管しています.
哀しいことですが、このままではある程度の放射線障害が出ると思います.その時に、補償問題で裁判になりますから、記録を持っている人が提供して、助け合いをする必要があります。
これまでの公害事件でも、当事者は病気になって苦しいし、証明するものがなく泣き寝入りをした人が多くいます.
でも、その時は社会党なども力がありましたし、日教組、主婦連などもありましたが、今はまったく力がなくなっています.オール与党も困ったものです。
一人一人が自分を守る時代になったので、「安全だ」と言って動かなかった(不作為)証拠を取っておきたいと思います.
(平成23年5月23日 午前8時 執筆)
武田邦彦
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